お骨をどうするか
納骨・お墓・自宅での供養
|------|------------|------------------| | 手元供養 | 骨壺のまま自宅に置く。分骨や粉骨をしてペンダント等に納めることも | 自分の手元にあります | | 納骨堂 | 霊園・寺院の屋内の棚や霊座に、骨壺のまま預ける | 多くは可能(契約期間の定めがあることが多い) | | 個別墓 | 霊園の区画に、その子だけの墓所を持つ | 施設により可能とされることがあります | | 樹木葬 | 樹木を墓標とする区画に納める | 施設・区画により異なります | | 合同慰霊碑(合同供養塔・合祀墓) | ほかのご家族の子のお骨と一緒に納める | できません | | 海洋散骨 | 粉状にしたお骨を海に還す | できません | 「取り出せない」ことが悪いわけではありません。管理の負担を残さずに済むこと、寺院や霊園にお参りの場を託せることを理由に、合祀を選ぶ方もいます。ただ、取り消せない選択だけは、そうと知ったうえで選んでほしいというのがこの記事の主旨です。 ## どの形を用意している施設が多いのか 当サイトが首都圏の104施設を調べ、掲載基準を満たした92施設のうち、公式サイトに供養の受け皿を明記していたのは75施設でした。その内訳は次の通りです(複数の形を持つ施設があるため、合計は施設数と一致しません)。 | 供養の形 | 記載のあった施設数 | |---------|----------------| | 納骨堂 | 62 | | 合同慰霊碑(合同供養塔・合祀墓) | 57 | | 個別墓 | 32 | | 樹木葬 | 5 | | 海洋散骨 | 5 | | 手元供養の支援(公式に項目として掲げていたもの) | 2 | 集計は crematories-directory.csv の memorial_types 列を、掲載基準を満たした92施設について数えたものです(2026年8月7日時点)。 読み取れることが2つあります。ひとつは、納骨堂と合同慰霊碑がほぼ標準装備だということ。もうひとつは、樹木葬と海洋散骨は選べる施設がまだ少ないということです。この2つを希望するなら、火葬をどこに頼むかを決める段階から探しておくと、後の選択肢が広がります。 受け皿を持っているかどうかは、施設の業態でもはっきり分かれました。霊園を併設する火葬場は48施設中47施設が供養の受け皿を明記していた一方、移動火葬車は13施設中5施設でした。移動火葬車は自前の霊園を持たないことが多く、そのぶん提携先の霊園へ納骨を代行する形をとる事業者があります。ある移動火葬車の事業者は、提携霊園への納骨代行を無料とし、合同収骨スペースを15,ペット火葬円(年間管理費無料)と公表していました。 ## 合同慰霊碑は、あとから取り消せません これが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。 合同慰霊碑への納骨(合祀)は、ほかのご家族の子のお骨と同じ場所に納める形です。ですから、あとから「やっぱり手元に戻したい」と思っても、その子のお骨だけを取り出すことはできません。 施設の姿勢の問題ではなく、構造上できないのです。 調べた施設のなかには、この点を公式サイトに明記しているところがありました。 - ある霊園は「一度合同納骨堂へ入れた場合は、他の子のお骨が入っているため連れて帰ることはできかねます」と書いています
- 別の霊園は納骨先を3つ示したうえで、合祀について「お骨は当園の合同供養塔に収めます。御返骨はできません。」と明記しています
- 別の施設は、合同供養塔からの取り出しは不可、個別墓地は可、と区別して案内しています 一方で、この点をはっきり書いていない施設のほうが多いのが実情です。92施設のうち、合祀したあとは取り出せない旨を公式サイトで明記していると当サイトが確認できたのは、上に挙げた3施設でした(このほかに、合同火葬のプランそのものが返骨なしであることを明記している施設は複数あります)。書かれていないから取り出せる、ということではありません。 合祀はどの施設でも取り出せないと考えたうえで、契約前に確認してください。 費用は、合祀のほうが安く設定されているのが一般的です。実際に公表されていた額には、合同納骨(永代供養)10,ペット火葬円、合同埋葬20,ペット火葬円(永久合祀)、体格別に16,500〜33,ペット火葬円、当施設で火葬した場合は0円で他施設火葬は5,ペット火葬円、といった幅がありました。安いのは、その後の管理費がかからない構造だからです。 迷っている段階なら、いったん納骨堂か手元供養にしておくほうが、選択肢が残ります。 納骨堂から合祀へ移す道は用意されていても、その逆はできません。実際、納骨堂の期間が終わったタイミングで合同墓へ移す運用を明記している施設が2施設ありました。 ## 納骨堂は「買う」のではなく「借りる」ことが多い 納骨堂について、契約の前に必ず確かめてほしいことがあります。多くは使用期間の定めがあり、期間ごとに更新料または年間の管理料がかかります。 納骨堂の契約条件を公式サイトに書いていたのは、92施設のうち38施設でした。そのうち17施設が、年額・年ごとの更新・管理料のいずれかに触れていました。実際の記載には、次のような幅があります。 - 1年以内は8,800円、1年以上は初年度13,200円で2年目以降は8,800円/年
- 霊座の使用料が3年間で30,ペット火葬〜150,ペット火葬円(再契約可・管理費なし)
- 一般棚の管理料が5,500円/年、霊壇は使用権料187,ペット火葬円に加えて管理料13,200円/年
- 永代供養の納骨が22,ペット火葬円/年(毎年更新)、合祀は11,ペット火葬円
- 共同霊座11,ペット火葬円/年。ただし1年限定で更新はできないと明記 最後の例のように、期間が終わったあとどうなるかまで書いてある施設は多くありません。 期間満了後は合祀へ移る運用の施設もあります。「永代供養」という言葉も、施設によって意味の幅があり、年間管理料がかかる場合とかからない場合の両方が実際にありました。 一方で、自社で火葬した場合は納骨堂を一定期間無料にしている施設もあります(火葬後2年間無料、当園火葬分は2年間無料など)。無料の期間が終わったあとに何が起きるのかは、預ける前に聞いておくと安心です。 契約の前に、次の4つを確認してください。 1. 使用できる期間はどれくらいですか。 1年か、3年か、期限なしか
- 更新はできますか。更新料と年間の管理料はいくらですか。 更新できない区画も実在します
- 期間が終わったら、お骨はどうなりますか。 合祀へ移るのか、返してもらえるのか
- 途中でやめて、家に連れて帰ることはできますか。 骨壺のまま保管する方式なら戻せるとしている施設があります ## 個別墓・樹木葬・海洋散骨を考えるとき 個別墓は、霊園の区画にその子だけの墓所を持つ形です。公表されていた額には、永代個別墓地77,ペット火葬円、個別区画50,ペット火葬円から、特別区画180,ペット火葬円から、といった例がありました。墓石やプレートを別に用意する施設もあります。区画の使用料とは別に年間の管理料がかかるかどうかは、施設によって異なりました。 樹木葬を掲げていたのは5施設です。神奈川に2、東京に2、埼玉に1で、費用を公式サイトに明記していない施設もありました。数が少ないので、希望するなら早い段階から探しておくと選びやすくなります。 海洋散骨を供養の受け皿として掲げていたのも5施設でした。公表されていた費用の例には、海洋散骨10,ペット火葬円(貸切は55,ペット火葬円)という記載があり、また別の霊園は散骨を5,500円/体としています。自社で2か月に1度実施し海洋散骨証明書を発行するとしている事業者もありました。 散骨については、犬や猫の遺骨を対象にした国の基準はありません。ただし人の遺骨については、令和2年度の厚生労働科学特別研究事業の研究報告書に「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」が収載されています。研究班がまとめたもので、法的な拘束力はありません。 そこでは、焼骨は形状を視認できないよう粉状に砕くこと、海洋の場合は海岸から一定の距離以上離れた海域で行うこと、プラスチック・ビニール等を原材料とする副葬品等を投下しないこと、契約は文書によること、費用に関する明細書を契約書に添付すること、散骨後に散骨証明書を作成・交付することが挙げられています。これは犬や猫を直接の対象としたものではありませんが、頼む先を決めるときに何を聞けばよいかの手がかりにはなります。 なお、海に還したあとは戻せません。一部だけを手元に残しておく(分骨する)方法は、多くの施設が対応しています。 ## 家に置いておく、という選び方 骨壺のまま自宅に置くことは、供養の形として広く行われています。当サイトの調査でも、個別火葬で返ってきたお骨の行き先として「ご自宅へお連れ帰りいただくことができます」「自宅安置」と案内している施設が複数ありました。置き場所や作法についての決まりはありません。 分けて持つこともできます。92施設のうち、公式サイトで分骨について何らかの対応を書いていたのは32施設、粉骨(パウダー加工)に触れていたのは26施設でした。ただし、当サイトの調査では「分骨についての記載はなかった」と記録した施設が40、「粉骨についての記載はなかった」と記録した施設が46あります。書かれていない=できない、ではありません。 対応しているかどうかは直接聞いてください。 費用の実例としては、粉骨は3,ペット火葬〜5,500円程度という記載が多く、他の施設で火葬したお骨は11,ペット火葬〜13,200円、あるいは10,ペット火葬〜20,ペット火葬円としている施設もありました。分骨用の容器は、1個無料(追加は600円から)、1,100円、2,200円からといった記載がありました。粉骨をすると「容積が3割程度減る」「骨壺が約半分になる」と案内している施設があり、小さな骨壺やペンダント型の容器に納められるとしています。 分骨は、お骨上げのときに一緒に済ませておくと、あとから頼むより手数が少なくて済みます。 ある施設は「拾骨の時に分骨されることをお勧めいたします」と案内しています。粉骨も、火葬当日は半額あるいは無料としている施設がありました。あとからでもできますが、当日決められるなら、そのほうが楽です。 一方で、手元に置き続ける場合は、いずれ誰がどう引き継ぐか、という話がいつか出てきます。いま答えを出す必要はまったくありません。そういう日が来ることだけ、頭の隅に置いておいていただければ十分です。 なお、「飼い主と同じお墓に一緒に入れるか」を知りたい方は少なくないと思いますが、当サイトが調べた104施設では、この点を公式サイトで確認できた施設がありませんでした(記載が見つからなかったという意味で、対応していないという意味ではありません)。希望する場合は、個別に問い合わせる必要があります。 ## 自宅の庭に埋めてもよいのでしょうか これはよく聞かれることですが、法律の当てはめが少し込み入っています。ここでは断定を避け、条文と公的な案内が何を言っているかだけを整理します。 まず、人のお墓について定めた墓地、埋葬等に関する法律は「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」と定めています。ただしこの法律の「埋葬」は人の死体を土中に葬ることを指しており、条文上、動物は対象に含まれていません。つまり、この法律を理由に許可が必要になるものではありません。 次に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律です。同法第2条第1項は「廃棄物」を「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの」と定義しており、条文の文言としては動物の死体が含まれています。そして第16条は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定めています。 ここで、一本の通知がよく引き合いに出されます。昭和52年8月3日の環計第78号「廃棄物の定義等について」(当時の厚生省が兵庫県の照会に回答したもの。現在は環境省のサイトに掲載されています)は、「照会に係る動物霊園事業において取り扱われる動物の死体は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二条第一項の廃棄物には該当しない」としています。ペット霊園や火葬業者が廃棄物処理業の許可なしに営業できる根拠は、この通知です。 ただし、この通知が述べているのは「動物霊園事業において取り扱われる場合」であって、飼い主が自宅で埋葬する場合を直接扱ったものではありません。 この2つを同じものとして語る説明を見かけますが、通知の文面はそこまで書いていません。 では飼い主が自宅で埋める場合はどうなのか。自治体のなかには、この点について公式に案内を出しているところがあります。北見市は、自分の所有する敷地内で「弔う意志をもって適切に埋葬する」場合は「ただちに廃棄物処理法に抵触するものではありません」としたうえで、次のように書いています。 - できるだけ深く掘る(1メートル以上が望ましい)
- 土に還らない副葬品は入れない
- 他人の所有地や公共の場所には埋葬しない。廃棄物処理法や軽犯罪法に抵触する場合がある
- 埋葬により臭気・地下水汚染・土壌汚染など周囲に迷惑をかけた場合は、不法行為とされ損害賠償責任を負う場合がある 軽犯罪法第1条第27号は「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」を対象としています。公園・河川敷・山林・他人の土地に埋めることが避けられるべきなのは、この点からも一貫しています。 整理すると、確かなことは次の2点です。 自分の土地でないところ(公園、河川敷、道路脇、他人の敷地、共有地)に埋めることは避けてください。そして、自分の土地であっても、周囲に影響が及べば別の責任が生じる可能性があります。 その先の細かい可否は、自治体によって案内の内容も、そもそも案内を出しているかどうかも違います。実際、首都圏の区のページを見ると、区が有料で引き取る手続きは詳しく書かれている一方、自宅の敷地への埋葬については触れていないページもありました(世田谷区は3,100円・25キログラム未満で「お骨の返却はできません」、葛飾区は1頭2,600円で「合同の火葬埋葬になり、ご返骨できません」と案内しています。いずれのページにも自宅埋葬についての記載はありません)。迷う場合は、お住まいの市区町村の環境・清掃の窓口に確認してください。 それがいちばん確実です。 なお、上に引いた自治体の案内は、火葬していないご遺体を埋める場合について書かれたものです。火葬後のお骨(焼骨)を庭に埋める場合について、同じような公的な目安は確認できませんでした。 ## 実務として考えておきたいこと 法律とは別に、庭への埋葬には現実的な論点があります。判断の材料として挙げておきます。 賃貸住宅の場合。 土地・建物は自分の所有ではありません。庭付きの賃貸であっても、原状回復や管理会社との関係が生じます。埋める前に確認が必要です。 いつか引っ越すかもしれない場合。 家を売る、建て替える、実家を離れる。そのとき、埋めた場所を連れて行くことはできません。掘り返して移すという選択もありますが、それを心情的に難しいと感じる方もいます。将来の転居の可能性があるなら、骨壺のまま手元に置くほうが、連れて行けます。 掘り返されるおそれ。 十分な深さがないと、動物に掘り返されることがあります。北見市の案内が深さに触れているのは、この点への配慮です。また、庭の工事や配管の掘削が入る可能性のある場所は避けたほうが無難です。 骨壺ごと埋めるかどうか。 陶器やプラスチックの骨壺は土に還りません。土に還ることを望むのであれば、容器をどうするかを含めて考える必要があります。この点を案内している施設もあるので、火葬を頼んだ施設に聞いてみてください。 実際、返骨後の選択肢として庭への埋葬を公式に案内している施設もあります(調べた92施設のうち4施設)。ある霊園はよくある質問で、火葬後のお骨の行き先を「(1) ペット霊園の個別墓地に納骨する (2) ペット霊園の共同墓地に埋葬する (3) お庭に埋葬する」と並べて示していました。特別なことではありません。 ## 決める前に聞いておく5つ どの形を選ぶにしても、次の5つを聞いておけば大きな行き違いは避けられます。 1. あとから取り出せますか。 合祀と散骨は取り出せません。納骨堂・個別墓は施設によります
- 使用期間はありますか。更新料と管理料はいくらですか。 「永代」の語がある場合も、年間管理料の有無を必ず確認してください
- 期間が終わったら、お骨はどうなりますか。 合祀へ移るのか、連絡が来るのか
- ほかの施設で火葬したお骨も受け入れてもらえますか。 受け入れる場合、自社火葬より料金が高く設定されていることがあります
- お参りできる時間と場所はどうなっていますか。 合同の慰霊祭や法要を定期的に行っている施設もあります(92施設のうち32施設が、月例法要や春秋の合同慰霊祭などを公式サイトに記載していました) 金額と条件は、できればメールなど文字に残る形でもらっておくと安心です。 ## 最後に お骨の置き場所を決めることは、区切りをつけることとよく結びつけて語られます。けれど、区切りをつけたくない時期に無理に決める必要はありません。 環境省のパンフレット「共に生きる 高齢ペットとシルバー世代」は、ペットロスについてこう書いています。「愛するペットを失ったことを悲しむのは決して特別なことではありません。悲しい気持ちを友人などにきいてもらったり、お別れのセレモニーを行うなど、悲しみを十分に吐き出すようにしましょう。」お別れのセレモニーや納骨が気持ちの助けになる方もいれば、しばらく手元に置いておくことが助けになる方もいます。どちらも間違いではありません。 決めなくてよいことは、決めないままで大丈夫です。取り消せない選択だけ、急がずに。 --- この記事について: 供養の受け皿の分布・契約条件・費用の例は、当サイトが首都圏のペット火葬・葬儀業者104施設の公式サイトを調査し、掲載基準を満たした92施設について集計したものです(2026年8月7日時点)。法令の記述は e-Gov法令検索の条文、当時の厚生省の通知、自治体および厚生労働科学研究の公表資料にもとづいています。本文で引用した公式サイトの文言は、施設によって方針や条件が分かれることを示すためのもので、特定の施設を推奨・非難する意図はないため施設名は伏せています。料金・条件は改定されることがあるため、最終的な確認は各施設へお願いします。→ 編集方針と出典の扱い
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