ペットロスとどう向き合うか
悲しみは病気ではありません
|------|------------|---------|------------| | 医療 | 心療内科・精神科の医師 | 医師による診療。診断・治療ができるのは医療機関だけです | 眠れない・食べられないが続く。日常生活に支障が続いている | | 公的な相談窓口 | 都道府県・政令指定都市が実施する公的な相談機関、保健所 | 行政が実施する相談。厚生労働省が全国共通の電話番号を案内しています | どこに相談すればいいか分からない。まず話を聞いてほしい | | 民間資格のカウンセリング | 民間団体が独自に認定した資格を持つカウンセラー | 国家資格ではありません。診断・治療は行いません | 時間をとって聴いてもらいたい。費用と内容に納得できる場合 | | 制度によらない、身近な支え | 同じ経験をした人の集まり、家族や友人、看取りに関わった動物病院 | 資格や制度にもとづく仕組みではありません | 「分かってもらえない」ことがつらいとき | 医療と民間資格のカウンセリングを、同じ土俵で比べないでください。医療は医師が診療を行う場で、民間資格のカウンセリングは制度上それとは別のものです。どちらが上という話ではなく、できることの範囲が違います。同じ理由で、身近な支えは医療の代わりにはなりません。 ### 医療を頼るとき 心療内科・精神科は、「ペットロス」という名前で行く必要はありません。眠れない、食べられない、動けない、といった実際に困っていることをそのまま伝えれば大丈夫です。 かかりつけの内科がある方は、まずそこで相談して紹介してもらう形でも構いません。 ### 公的な相談窓口 厚生労働省が案内している全国共通の電話窓口があります。 こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 厚生労働省のページによれば、この番号は都道府県・政令指定都市が実施主体で、「電話をかけた所在地の公的な相談機関に接続」されます。相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。加えて令和3年1月11日から、月曜〜金曜の18時30分〜22時30分(22時受付終了)は日本精神保健福祉士協会と日本公認心理師協会が対応しています(いずれも2026年8月7日時点の厚生労働省の記載)。つながらない時間帯があるのは、こうした体制の違いによるものです。 なお、この番号はナビダイヤルで、厚生労働省は「NTTドコモビジネスが定める通話料がかかります。電話会社の通話料割引サービスや、携帯電話の料金定額プランの無料通信は適用されません」と記載しています。長く話すことになりそうなときは、通話料のかからない窓口もあります。厚生労働省の同じ一覧に載っているよりそいホットライン 0120-279-338は、24時間・通話料無料と案内されています。 窓口を探すときは、住んでいる自治体の保健所も入口になります。保健所は地域保健法にもとづいて相談や訪問指導を行う機関で、身近な相談先として案内されています。都道府県・指定都市には精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 第6条にもとづく精神保健福祉センターも置かれていますが、こちらは「相談及び指導のうち複雑困難なもの」を担う技術的中核機関という位置づけです。まずは保健所や上記の電話窓口から入り、必要に応じて案内してもらうほうが近道になることが多いはずです。 窓口の担当者が家族との死別に詳しいとは限りません。それでも、「どこにも話す先がない」状態から一段抜けるための入口にはなります。 ### 民間資格のカウンセリングを選ぶとき ペットロスに関わるカウンセラーの資格は、民間団体が独自に認定しているものです。 比較のために書いておくと、心理職で法律にもとづく国家資格は公認心理師です。公認心理師法(平成27年法律第68号・平成29年9月15日全面施行)第44条は、第1項で「公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない」、第2項で「前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない」と定めています。名称の使用が法律で制限されているのは、この資格の呼び方についてです。それ以外の「〇〇カウンセラー」「〇〇士」といった呼称に、この法律による制限はかかりません。 これは、民間資格のカウンセリングが役に立たないという意味ではありません。ただ、選ぶ側が自分で確かめる部分が多くなる、という意味です。申し込む前に、次の点を見ておくと判断しやすくなります。 - どの団体が認定した資格で、どのような養成課程があるのか
- 1回あたりの料金、想定される回数、キャンセルの規定が事前に示されるか
- 医療行為(診断・治療)ではないことが説明されているか
- 高額な継続契約や、物品の購入が前提になっていないか 料金や契約の説明が曖昧なまま進む場合は、いったん止めて構いません。悲しみの最中は、判断が普段どおりにいかない時期です。 ### 制度によらない、身近な支え 気持ちを誰かに聞いてもらうこと自体が支えになる、というのは環境省の資料にも沿う考え方です。同資料は「悲しい気持ちを友人などにきいてもらったり」と書いています。同じ経験をした人の集まりに参加する、家族や友人に話す、看取りに関わった動物病院で話を聞いてもらう。形式は問いません。 一方で、合う場と合わない場があります。行ってみて苦しくなったら、続けなくていいのだと思います。「支え合う場だから抜けにくい」と感じる必要はありません。 ## 子どもにはどう伝えますか 家族の中に子どもがいる場合、大人が自分のことで精一杯になる時期と、子どもが支えを必要とする時期が重なります。 家族との死別を直接扱った公的資料は見つかりませんでした。参考になるものとして、文部科学省が学校向けにまとめた「子どもの心のケアのために ―災害や事件・事故発生時を中心に―」(平成22年7月)があります。同資料は、災害や事件・事故に遭遇し「家や家族・友人などを失う」といった強い衝撃を受けたあとに子どもへ現れうる反応を整理したものです。家族との死別を想定した資料ではないため、そのまま当てはまるものではありませんが、次のように記されています。 - 恐怖や喪失体験などの心理的ストレスによって、心の症状だけでなく身体の症状も現れやすいことが子どもの特徴である
- 幼稚園から小学校低学年までは、腹痛・嘔吐・食欲不振・頭痛などの身体症状が現れやすく、興奮や混乱などの情緒不安定、行動上の異変も出現しやすい
- 小学校の高学年以降は、身体症状とともに、元気がなくなって引きこもりがちになる(うつ状態)など、大人と同じような症状が現れやすくなる
- 基本的な対応方法として、ふだんと変わらない接し方を基本に安心感を与えること、症状が現れるのは普通であることを本人に伝え、一人で悩まず信頼できる人に相談できるようにすること
- 一時的な幼児返り(心理的退行現象)が認められても、無理に制止せず経過観察すること 同資料は、症状から急性ストレス障害(ASD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)が疑われる場合には、児童精神科医などの専門医を受診する必要がある、としています。子どもについても、判断に迷うときは小児科やスクールカウンセラーなど、身近な相談先から入って構いません。 大人が泣いているところを見せていいのか、と迷う方もいます。当サイトはそこに答えを持っていません。ただ、同資料はp.4で「子どもの心の回復には、子どもが安心できる環境が不可欠であり、それには、周りの大人の心の安定が大切である」とし、保護者についても同様だと述べています。自分のつらさを別の場所で受けとめてもらうことは、子どものためにもなります。 ## 残された子のことが気になるとき 多頭飼いの家庭では、残された子の様子が変わったように見えることがあります。 食べる量が減った、鳴くことが増えた、探しているように見える。そうした変化が「悲しんでいるから」なのかどうかを、当サイトが断定することはできません。そして、ここが実務として大事な点なのですが、体調の変化が病気によるものかどうかを確かめられるのは獣医師です。気持ちの問題だと決めてしまう前に、かかりつけの動物病院に相談してください。 飼い主自身に余裕がない時期でもあります。残された子のために気丈に振る舞わなければ、と考えなくて大丈夫です。世話が回らないと感じたら、家族で分担する、預かってもらうといった選択肢も含めて考えてください。 ## 供養が区切りになることもあります 環境省の資料は、悲しみを吐き出す方法のひとつとして「お別れのセレモニーを行う」ことを挙げています。火葬のあとにも、続けて手を合わせられる場を用意している施設は少なくありません。 当サイトが東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県のペット火葬・葬儀施設104件を調べ、掲載基準を満たした92施設(全施設で公式サイトを確認・調査日2026年8月7日)を集計すると、次のようになりました。 | 公式サイトに記載があった内容 | 92施設中 | |------------------|---------| | 納骨堂・合同慰霊碑・個別墓・樹木葬など、火葬後も足を運べる供養の場 | 75施設 | | うち納骨堂 | 62施設 | | うち合同慰霊碑 | 57施設 | | うち個別墓 | 32施設 | | 定期的な合同供養祭・法要(月例から年1回まで幅があります) | 32施設 | | ペットロスのカウンセリングの案内 | 1施設 | 集計は各施設の公式サイトの記載にもとづくもので、記載がないことは実施していないことを意味しません(supply: memorial_types 列・memorial_service 列および全項目の本文検索)。 この表から言えることは2つです。ひとつは、手を合わせに行ける場所を残しておきたいなら、火葬の施設を選ぶ段階でその有無を見ておくと選択肢が広がるということ。もうひとつは、葬儀・火葬の事業者は、悲しみそのものの相談先としては想定されていない場合が多いということです。カウンセリングの案内が確認できたのは92施設のうち1施設でした。心の相談先は、前の項で整理した4つの系統から探すほうが見つけやすいと思います。 供養の形式そのもの(納骨堂・手元供養・樹木葬など)は、葬儀・供養のページで説明しています。 ## 最後に 悲しみに、正しい形も、標準的な長さもありません。誰かの回復のはやさと比べる必要もありません。 環境省の資料は「悲しい気持ちを友人などにきいてもらったり」と書いています。話せる相手がいない日は、公的な窓口があります。こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(ナビダイヤル・通話料がかかります)は、かけた地域の公的な相談機関につながります。相談対応の曜日・時間は都道府県により異なります。通話料のかからない窓口を探すなら、厚生労働省が案内するよりそいホットライン 0120-279-338(24時間・無料)があります。日常生活に支障が続いているときは、心療内科・精神科という選択肢があります。 いま思い出せるのがつらい記憶ばかりだとしても、それは一緒に過ごした時間の総量とは関係がありません。急がなくて大丈夫です。 --- この記事について: 悲しみの現れ方・相談先の記述は、環境省パンフレット「共に生きる 高齢ペットとシルバー世代」(令和元年9月)、厚生労働省の相談窓口案内、公認心理師法(e-Gov 法令検索で条文を取得)、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、地域保健法、文部科学省「子どもの心のケアのために」の各一次資料を2026年8月7日に確認して作成しています。施設の数値は、当サイトが東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県のペット火葬・葬儀施設104件を調査し、掲載基準を満たした92施設を集計したものです(同日時点・公式サイトの記載ベース)。電話番号・受付体制・通話料は変更されることがあるため、最終的な確認は各窓口の公式ページでお願いします。→ 編集方針と出典の扱い
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