アミロイドーシス
Amyloidosis 対象: 犬・猫 分類: 腎泌尿器・全身 最終更新: 2026-07-14
食事との関係
腎障害が進んだ場合は腎臓ケアの食事管理が関わることがある(獣医師の指示による)。
家で気づけるサイン
- 水をよく飲む・尿量が増える/食欲低下・体重減少(腎障害が進んだサイン)
- 元気がない、まぶた・四肢のむくみ(腎からの蛋白の漏れ)
- シャー・ペイ:原因不明の反復する発熱と、飛節(かかと)など関節の腫れ・痛み(シャーペイ熱)
- シャム/オリエンタル:元気消失、粘膜が白っぽい、お腹の張り(肝の腫大・突然の腹腔内出血)
- ※初期は目立った症状が出にくい
受診の目安
突然の虚脱・粘膜蒼白・お腹の膨満(肝破裂による腹腔内出血の疑い)は緊急。反復する発熱・関節の腫れ、多飲多尿・体重減少・むくみは早めに受診
年齢の傾向
家族性は中年齢での顕在化が多い(アビシニアンは若〜中年齢、シャー・ペイは幼〜若齢の反復発熱が先行しうる)。反応性(続発性)は基礎疾患の経過に依存
なりやすいとされる犬種・猫種
- アビシニアン(猫・家族性/腎髄質アミロイドーシスの遺伝的素因。AA型・確立した遺伝子検査は本KB作成時点で一般的でない)
- シャム(猫・全身性/肝優位のAAアミロイドーシス。シャム/オリエンタルで知られる遺伝的素因)
- シャー・ペイ(犬・家族性シャーペイ熱に伴う反応性(AA)アミロイドーシス。腎/肝に沈着・HAS2上流の重複と関連)
- 上記以外でも、慢性炎症・感染・腫瘍などに続発する反応性(AA)アミロイドーシスは犬猫に起こりうる(MSD)
詳しい解説
アミロイドーシス(Amyloidosis)
アミロイドーシスは、「アミロイド」と呼ばれる異常な蛋白が臓器に少しずつ沈着し、正常な組織を押しのけて働きを損なう病気の総称です。犬猫では、慢性の炎症・感染・腫瘍などに続いて起こる反応性(AA型)アミロイドーシスが中心で、遺伝的な素因を持つ品種も知られています。腎臓・肝臓・心臓など主要な臓器に及ぶと重篤になりうるとされます(MSD Veterinary Manual)。
品種によって沈着しやすい臓器が異なるのが特徴です。アビシニアン猫とシャー・ペイ犬では腎臓(腎髄質)に沈着して腎不全として現れやすく、シャム/オリエンタル猫では肝臓を中心とした全身性で、肝腫大や突然の腹腔内出血として現れることがあります。初期は無症状のことが多く、診断が難しい病気とされます。
好発品種(根拠の別を明記)
- アビシニアン(猫) — 家族性の腎髄質アミロイドーシスの遺伝的素因が知られる(Boyce 1984、蛋白はAA型: DiBartola 1985)。確立した遺伝子検査は本KB作成時点で一般的でない。
- シャム(猫・オリエンタル系を含む) — 全身性/肝優位のAAアミロイドーシスが知られる(Niewold 1999 でアビシニアンとは沈着パターンが異なることが示されている)。
- シャー・ペイ(犬) — 家族性シャーペイ熱(反復性発熱と飛節の腫れ)に伴う反応性(AA)アミロイドーシスが代表的な品種特異疾患(DiBartola 1990、HAS2上流の重複との関連: Olsson 2011)。腎・肝に沈着しうる。
- なお、これらの好発種以外でも、長引く炎症・感染・腫瘍などに続発する反応性アミロイドーシスは犬猫に起こりうるとされる(MSD)。
飼い主が気づける徴候
- 水をよく飲む・尿量が増える、食欲が落ちる、体重が減る(腎障害が進んだサイン)
- 元気がない、まぶたや四肢がむくむ(腎臓から蛋白が漏れることによる)
- シャー・ペイ:原因不明の熱を繰り返す、飛節(かかと)など関節が腫れて痛がる(シャーペイ熱)
- シャム/オリエンタル:元気消失、粘膜が白っぽい、お腹が張る(肝腫大・突然の腹腔内出血)
- ※初期は目立った症状が出にくい
受診目安・予防
- 突然の虚脱・粘膜蒼白・お腹の膨満(肝破裂による腹腔内出血の疑い)は緊急。 夜間でも救急対応のできる病院へ。
- 熱を繰り返す・関節が腫れる(シャーペイ熱の疑い)、多飲多尿・体重減少・むくみに気づいたら早めに受診を。
- 好発犬猫種は定期健診での尿検査(蛋白尿)・血液(腎数値)・腹部の評価が早期把握に役立つとされる。シャー・ペイでは発熱エピソードを記録しておくと手がかりになる。
- 反応性(AA)アミロイドーシスでは、素地となる慢性炎症のコントロールが重要とされる。確立した遺伝子検査は本KB作成時点で一般的でない。
- 本ページは受診判断の支援を目的とし、診断・治療の選択は担当獣医師の診察に基づきます。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、アミロイドーシスと診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 水をよく飲む・尿量が増える/食欲低下・体重減少(腎障害が進んだサイン)/元気がない、まぶた・四肢のむくみ(腎からの蛋白の漏れ) など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(6件)
- 業界標準確認日 2026-07-14
Amyloidosis in Animals
アミロイド(異常な蛋白)が臓器に沈着する疾患。遺伝性はアビシニアン猫・チャイニーズ・シャー・ペイ犬で知られ、反応性(AA)アミロイドーシスは慢性炎症・免疫疾患・一部の腫瘍等に続発。腎・肝・心などの主要臓器に及ぶと致死的になりうると記載
- 査読論文確認日 2026-07-14
Boyce JT ほか, 1984, 症例集積(病理), Vet Pathol …
アビシニアン猫の家族性腎アミロイドーシスを記載
- 査読論文確認日 2026-07-14
DiBartola SP ほか, 1985, 生化学的特性研究, Lab Inv…
アビシニアン猫のアミロイド蛋白がAA型(反応性アミロイド)であることを同定
- 査読論文確認日 2026-07-14
Niewold TA ほか, 1999, 比較蛋白解析, Amyloid 6(3…
シャムとアビシニアンのAA蛋白は一次配列と沈着パターンが異なる(シャム=肝優位/全身、アビシニアン=腎髄質)ことを示す
- 査読論文確認日 2026-07-14
DiBartola SP ほか, 1990, 症例集積, J Am Vet Me…
チャイニーズ・シャー・ペイ犬の家族性腎アミロイドーシスを記載
- 査読論文確認日 2026-07-14
Olsson M ほか, 2011, ゲノム関連解析(遺伝学), PLoS Ge…
シャー・ペイのHAS2上流の不安定な重複が、品種特徴の皮膚表現型と周期性発熱症候群(シャーペイ熱)に関連。シャーペイ熱は反応性(AA)アミロイドーシスの素地となる
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。