亡くなった後の手続き
犬の死亡届・マイクロチップ・ペット保険
|--------|------|--------|------|--------| | 犬の死亡の届出 | 登録している犬 | お住まいの市区町村 | 死亡から30日以内 | 世田谷区の例では無料 | | マイクロチップの死亡等の届出 | 登録した犬・猫 | 環境大臣(指定登録機関) | 遅滞なく(日数の指定なし) | かかりません | | ペット保険の失効・解約 | 加入していた場合 | 契約先の保険会社 | 会社の定めによる | ― | このうち犬の死亡の届出は、お住まいの市区町村がマイクロチップの「狂犬病予防法の特例」制度に参加しているかどうかで、必要になったりならなかったりします。その分かれ目は後ろで説明します。 なお、亡くなった直後にすることと、急がなくていいことは 犬・猫が亡くなったら にまとめています。 ## 犬の死亡の届出は、どこに、いつまでに 狂犬病予防法第四条第四項は、登録を受けた犬の所有者について「犬が死亡したとき……は、三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地……を管轄する市町村長に届け出なければならない」と定めています。届出先は、登録している市区町村です。 届出書に書く内容は、狂犬病予防法施行規則第八条で三つと決められています。死亡した犬の死亡当時の所有者の氏名と住所、登録年度と登録番号、そして死亡の年月日です。登録番号は鑑札に記載されているので、まず鑑札を探してみてください。 同じ条の第二項は、届出書に「鑑札及び注射済票を添付しなければならない」としています。ただし、そのあとに「正当な理由があるときは、この限りでない」と続きます。紛失していても届出はできます。 実際、世田谷区の案内も鑑札・予防注射済票の返却について「紛失の場合は不要です」と書いています。 届出をすると登録が抹消され、翌年度以降の狂犬病予防注射の案内も届かなくなります。 ## マイクロチップを登録していた場合は、どうなりますか 環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」に登録していた場合は、そちらにも死亡の届出をします。動物愛護管理法第三十九条の八が、登録を受けた犬または猫が死亡したときは「遅滞なく」環境大臣に届け出ることとしています。日数の指定はありません。 環境省のQ&Aは、この手続きについて「オンライン又は紙による届出ができます」「こちらの手続には、手数料はかかりません」「この届出の際にも、登録証明書が必要になりますので、なくさないように気をつけてください」と記しています。費用はかからず、自宅からできる手続きです。 紙で出す場合は、登録サイトから用紙をダウンロードし、登録証明書の写しを添えて指定登録機関(公益社団法人日本獣医師会)へ郵送する方法が案内されています。 登録証明書が見当たらないときは、再交付を受けることができます。環境省のQ&Aによれば、再交付の手数料はオンライン申請で300円、紙の申請で1,300円です。 ## 犬の場合、二か所に届け出るのですか お住まいの市区町村によって違います。 ここが、この手続きでいちばん行き違いの起きるところです。 マイクロチップの登録には「狂犬病予防法の特例」という仕組みがあります。厚生労働省の説明によれば、市区町村がこの特例制度に参加していると、指定登録機関から市町村へ狂犬病予防法第四条の手続きに必要な情報が通知され、「狂犬病予防法第4条の規定による犬の登録の申請等があったとみなされるとともに、装着されているマイクロチップが犬の鑑札とみなされる」ことになります。 死亡のときも同じ流れが働きます。動物愛護管理法施行規則第二十一条の十第四項は、死亡等の届出を動物愛護管理法第三十九条の五第八項の届出(登録事項の変更の届出)とみなすと定めており、その届出が市町村へ通知されると、動物愛護管理法第三十九条の七第四項によって狂犬病予防法第四条第四項の届出があったものとみなされます。つまり、特例制度に参加している市区町村では、環境省の登録機関への死亡の届出だけで足りる仕組みになっています。 実際、特例制度に参加している世田谷区は、犬が亡くなったときの案内としてこう書いています。マイクロチップを装着し環境省データベースへ所有者情報を登録している場合、「環境省データベース『犬と猫のマイクロチップ情報登録』にて死亡の届出を行う場合、区への届出は必要ありません」。一方、マイクロチップを装着していない犬については、亡くなってから30日以内に死亡届の提出が必要としています。 参加していない市区町村では、環境省への届出とは別に、市区町村への死亡の届出が必要です。 ## 参加している市区町村は、どのくらいありますか 環境大臣指定登録機関が公表している「狂犬病予防法の特例制度に参加する市区町村一覧」(作成日2026年8月1日)には、参加自治体数332と記載されています。この一覧に並ぶ市区町村は1,747件ですから、参加しているのはおよそ5分の1にあたります。 当サイトでこの一覧を都県ごとに数えたところ、首都圏の4都県では212市区町村のうち87が参加していました。内訳は次のとおりです。 | 都県 | 参加している市区町村 | 一覧に載っている市区町村 | |------|------|------| | 東京都 | 45 | 62 | | 千葉県 | 25 | 54 | | 神奈川県 | 11 | 33 | | 埼玉県 | 6 | 63 | 同じ首都圏でも、東京都では三分の二以上が参加しているのに対し、埼玉県では63のうち6にとどまります。隣の市と自分の市とで手続きが違う、ということが普通に起こります。 ## 窓口や方法も、市区町村ごとに違います 期限(30日以内)は法律で決まっていますが、どこに、どうやって出すかは市区町村が決めています。首都圏の三つの例を挙げます。 世田谷区は、マイクロチップを登録していない犬について、死亡届を窓口のほか郵送・ファクスでも受け付け、オンライン手続きも案内しています。死亡届の手数料は無料と記載されています。鑑札と注射済票は窓口または郵送で返却します。 横浜市(特例制度には参加していません)は、区役所の窓口に加えて横浜市電子申請・届出システムでの死亡届出を受け付けています。港南区の案内には「届出には犬の鑑札番号が必要です」とあり、鑑札または鑑札番号のわかる書類を手元に用意するよう書かれています。 さいたま市(同じく参加していません)は、窓口・電子申請・郵送の三通りを案内しています。郵送の場合は、死亡届の用紙の余白に鑑札をセロハンテープなどで貼り付けて送る方法が示されており、鑑札を紛失した場合は欄外にその旨を書き添えるとされています。 このように、返すもの・使える方法・提出先の呼び名まで違います。「お住まいの市区町村名+犬 死亡届」で検索するか、窓口に電話で確かめるのが確実です。 この記事の内容も、最終的にはお住まいの市区町村の案内が優先します。 ## 猫の場合は、何かありますか 猫には、犬のような登録制度がありません。 狂犬病予防法で登録と死亡の届出を定めているのは第四条で、これは犬についての規定です。同法第二条第一項ただし書は、犬以外の対象動物について適用される条文を「第七条から第九条まで、第十一条、第十二条及び第十四条の規定並びにこれらの規定に係る第四章及び第五章の規定」に限っており、第四条は含まれていません。市区町村への死亡の届出は必要ありません。 ただし、マイクロチップを登録していた猫は、環境省の登録機関への死亡の届出が必要です。 動物愛護管理法第三十九条の八は「登録を受けた犬又は猫」と書いており、犬と猫を区別していません。手続きも手数料も犬と同じです。 ## ペット保険は、放っておくと止まりますか 契約は自動的には終わりません。保険会社への連絡が必要です。 扱いは会社によって違います。 公式のよくある質問で確認したところ、ある会社は、亡くなった日から90日以内であればマイページから、91日以上経過している場合は書面での手続きが必要で、その際は客観的に死亡日が確認できる書面(死亡診断書、火葬・葬儀の領収書等)の提出を求めることがあるとしています。別の会社は、亡くなったことを証明する書類(死亡診断書または火葬領収書等)があれば亡くなった日から契約が失効し、書類がなければ書類の取寄せ依頼日または連絡した日から失効する、と説明しています。保険料については、前者が未経過分を日割り計算で返還するとし、後者は失効日までの保険料を日割りで計算するとしています。 前者の会社は、手続きが完了するまでは契約が続いているものとして保険料を請求するため、行き違いで請求が続く場合があるとも書いています。引き落としがしばらく止まらなくても、それだけで慌てなくて大丈夫です。 失効の手続きを終えた後でも、まだ請求していない診療費を請求できるとしている会社もあります。 後者の会社のよくある質問には「保険金のご請求は、失効手続きを終えられた後でも可能です。保険金支払事由が生じた日から3年以内にご請求ください」と明記されています。3年という期間は、保険法第九十五条第一項が「保険給付を請求する権利……は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する」と定めていることに対応します。ここで挙げたのは2社の例で、扱いは会社や約款によって異なります。期限や必要書類の詳細は、加入していた会社にご確認ください。 ## 火葬の領収書は、しばらく取っておいてください 保険の手続きでは、死亡日を確認する書類として「火葬・葬儀の領収書」が挙げられていました。ところが、火葬をする側で証明書を出してくれるかどうかは、事前にはわかりにくいのが実情です。 当サイトが調査した首都圏のペット火葬・葬儀業者104施設のうち、掲載基準を満たす92施設について、記録している64項目すべてを対象に「火葬証明」「埋葬証明」で全文検索したところ、該当する記載は1件もありませんでした(2026年8月7日時点の照合)。海洋散骨の証明書を発行すると書いている施設は1件ありましたが、火葬や埋葬そのものを証明する書類にふれた記載は見当たりませんでした。記載がないことは、発行しないことを意味しません。ただ、少なくとも「サイトを見れば書いてある」とは期待できない、ということです。 書類が必要になりそうなら、申し込みのときに一言確認しておくと確実です。そして、支払いの領収書は受け取って、しばらく手元に残しておいてください。 後から探すのは、思いのほか負担になることがあります。 ## そのほか、気づいたときで構わないこと 期限のない連絡もいくつかあります。フードやサプリメントの定期便、ペットホテルやトリミングサロンの会員登録、写真プリントの定期サービスなど、契約が続いているものは、思い出したときに止めれば十分です。 かかりつけの動物病院へ一報を入れるかどうかも、ご家族の気持ち次第です。長く診てもらった病院ほど、伝えたい気持ちと、まだ話せない気持ちの両方があるのかもしれません。急ぐ必要はありません。 ## 最後に 書類に「死亡」と書き込む作業は、事務のようでいて、こたえることがあります。一度で終わらせようとせず、途中でやめても構いません。「三十日以内」という決まりは、裏を返せば、その日のうちに動かなくてよいということでもあります。 もし期限を過ぎてしまったときも、お住まいの市区町村の窓口に事情を伝えて相談してみてください。手続きの入口は閉じていません。 --- この記事について: 手続きの内容は、狂犬病予防法および同施行規則、動物の愛護及び管理に関する法律および同施行規則、保険法の条文(e-Gov法令検索・2026年8月7日取得)と、環境省・厚生労働省・各市区町村の公表資料にもとづいています。特例制度に参加する市区町村の数は、環境大臣指定登録機関が公表する一覧(作成日2026年8月1日)を当サイトで集計したものです。保険の記述は、公式のよくある質問で確認できた2社の例で、すべての会社に当てはまるものではありません。火葬施設に関する数値は、首都圏104施設(うち掲載基準を満たす92施設)の公式サイト調査(2026年8月7日照合)によります。制度・窓口・保険の条件は変わることがあるため、最終的な確認はお住まいの市区町村および契約先へお願いします。→ 編集方針と出典の扱い
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