家族性皮膚筋炎
Familial Canine Dermatomyositis 対象: 犬 分類: 皮膚・免疫 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
食事との直接的な因果は確立していない。巨大食道を伴う重症例では誤嚥・栄養管理上の配慮が必要になりうる(獣医師の指導下)
家で気づけるサイン
- 顔(特に目や口のまわり)・耳の先・しっぽの先・四肢の出っ張った部分の脱毛とかさぶた
- こすれやすい部位・日光や熱にさらされる部位で悪化する皮膚病変
- 重症例では筋肉の萎縮(特に頭部=側頭筋・咀嚼筋)、食べにくさ・飲み込みにくさ・巨大食道による吐き戻し
- 爪の変形・脱落
受診の目安
早めに受診(若齢での顔・耳・しっぽ先の左右対称な脱毛/かさぶたは皮膚科的相談を。飲み込みにくさ・繰り返す吐き戻しがあれば当日受診)
年齢の傾向
若齢発症が典型(多くは生後6か月頃までに、早ければ生後12週で皮膚症状が出る。成犬発症の報告もある)
なりやすいとされる犬種・猫種
- コリー(ラフ・コリー)(遺伝子検査あり・DMSリスク検査)
- シェットランド・シープドッグ(遺伝子検査あり・DMSリスク検査)
この病気に触れている図鑑のページ
2件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。
詳しい解説
家族性皮膚筋炎(Familial Canine Dermatomyositis)
皮膚と筋肉に炎症を起こす免疫介在性の疾患で、若齢のコリー(ラフ・コリー)とシェットランド・シープドッグに好発することが知られる(MSD/Merck Veterinary Manual、2026-07-11確認)。皮膚の小血管に炎症(虚血性の血管障害)が起こることが背景にあり、こすれやすい部位・日光や熱にさらされる部位で悪化しやすい。遺伝的な素因が強く、コリーでは常染色体優性の遺伝形式が報告されている。近年の多犬種ゲノムワイド関連解析(Evans JM, et al. 2017, PLoS Genet, PMID 28158183)では、3つのリスク遺伝子座とDLA(主要組織適合遺伝子複合体)ハプロタイプの組み合わせで発症確率が層別化されることが示され、これが市販の遺伝子リスク検査の基盤になっている。
多くは生後6か月頃までに、早いものでは生後12週で顔まわりの皮膚症状が出る。軽症で皮膚症状だけのこともあれば、重症例では頭部や四肢の筋肉が萎縮し、食べにくさ・飲み込みにくさにつながることもある。その後の見通し・重症度には幅があり、断定はできない。治療の詳細は獣医師(皮膚科)の判断領域であり、本ページは受診判断の支援にとどめる。
好発品種(根拠の別)
- コリー(ラフ・コリー)(本KB未収録。KBの border-collie は別品種のため紐づけない): MSD が挙げる代表的好発犬種で、常染色体優性遺伝が報告されている。DMSリスクを推定する遺伝子検査が利用できる(遺伝子検査あり)。
- シェットランド・シープドッグ(シェットランド・シープドッグ): コリーと並ぶ好発犬種。同じDMSリスク遺伝子検査の対象(遺伝子検査あり)。
- 上記2品種以外にも「皮膚筋炎様」の虚血性皮膚症が他犬種(成犬発症を含む)で報告されるが、古典的な家族性DMSとは区別され、確立した品種好発として扱うには根拠が限られる(本ページでは品種を断定しない)。
飼い主が気づける徴候
- 顔(目・口のまわり)・耳の先・しっぽの先・四肢の出っ張り部分の、左右対称に出やすい脱毛とかさぶた
- こすれ・日光・熱にさらされる部位で悪化する
- 重症例では、頭の筋肉(こめかみ周り)がやせて見える/食べにくそう・飲み込みにくそう・繰り返す吐き戻し
- 爪の変形・脱落
受診目安・予防
- 早めに受診: 若齢での顔・耳・しっぽ先の左右対称な脱毛/かさぶたは、皮膚科的な原因の切り分けが必要。
- 当日受診: 飲み込みにくさ・繰り返す吐き戻し(巨大食道による誤嚥のリスク)があるとき。
- 予防・早期発見: コリー・シェルティ系ではDMSリスクを推定する遺伝子検査が繁殖前スクリーニングに用いられる。発症例では日光・熱・外傷を避ける生活管理が増悪予防に役立つとされる。
- 本ページは受診判断の支援であり、治療・薬剤の指南ではない。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、家族性皮膚筋炎と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 顔(特に目や口のまわり)・耳の先・しっぽの先・四肢の出っ張った部分の脱毛とかさぶた/こすれやすい部位・日光や熱にさらされる部位で悪化する皮膚病変 など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(3件)
- 業界標準
merckvetmanual.com
- 査読論文
Evans JM, et al. 2017, 多犬種ゲノムワイド関連解析(GWA…
- 査読論文
Wahl JM, et al. 2008, 遺伝子発現プロファイリング・免疫学的…
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。