犬猫に穀物は必要?
「穀物は悪」は本当?犬の進化と猫の消化能力、最新研究から穀物の真実を解説します。
約4分 最終更新: 2026-07-28
「犬猫に穀物は不要」「穀物はフィラー(かさ増し)」。この"常識"を最新研究で検証します。 ## なぜこれが気になるの? ペットフード選びで「穀物不使用」を売りにする商品が増えています。SNSでも「穀物は犬猫にとって不要なフィラー」という意見をよく目にします。 本当にそうなのでしょうか?最新の研究を見てみましょう。 ## わかりやすく解説 ### 犬は穀物を消化できるように進化した 犬はオオカミの子孫ですが、人間の農耕社会と共に暮らす中で AMY2B遺伝子(デンプンを消化する酵素の遺伝子)のコピー数をオオカミの平均5倍に増やしました。 つまり、犬は進化の過程で 穀物を消化できる体を獲得している のです。 ### 猫も穀物を消化できる 「猫は肉食動物だから穀物は消化できない」という主張も見かけますが、2023年の研究(Zhu ら、Journal of Animal Science)で 猫30頭に5種類の穀物(米・トウモロコシ・小麦・大麦・オーツ麦)を与えたところ、全て正常に消化された と報告されています。 猫は確かに真性肉食動物ですが、「穀物を全く消化できない」わけではありません。 ### 全粒穀物の健康メリット 2023年の研究(Martilla ら、Scientific Reports)では、全粒穀物(特にライ麦)を含むフードが 犬の腸内環境に好ましい影響 を与えたと報告されています。食物繊維がプレバイオティクスとして働き、善玉菌の増殖を促した可能性があります。 ### 穀物=安いフィラーなのか? 一部のフードで穀物が「かさ増し」として使われているのは事実です。しかし、全ての穀物がかさ増しというわけではありません。 - 全粒穀物(玄米・オートミール・大麦): 食物繊維・ビタミンB群・ミネラルの供給源。NRC(National Research Council, 2006)でも炭水化物の栄養価が認められています
- 精製穀物(白米・小麦粉): 栄養価は全粒穀物に劣りますが、消化吸収は良い。消化器が弱い犬猫には逆にメリットがあることも
- コーングルテンミール: 安価な植物性タンパク補填として使われることがあり、主原料としては望ましくない場合も ### FDAのDCM調査との関連 FDAのDCM(拡張型心筋症)調査では、穀物フリーフードとの関連が指摘されましたが、因果関係は未確定です(詳しくは別コラム「グレインフリーの落とし穴」参照)。 2025年のRCT(Morris ら)では穀物の有無で心機能に差は見られませんでしたが、穀物フリーが積極的に健康に良いというエビデンスも見つかっていません。 ## 飼い主としてどうすればいい? - 穀物アレルギーの確定診断がない限り、穀物を避ける科学的理由はほとんどありません
- 穀物入りフードを選ぶなら、全粒穀物(玄米・オートミール・大麦)が含まれている商品が望ましいです
- 大切なのは「穀物の有無」ではなく 「栄養設計が適切かどうか」 です
- 穀物に対するアレルギーが疑われる場合は、獣医師に相談して除去食試験を受けましょう ## もっと詳しく知りたい方へ - Zhu ら(2023年、PMID 36789882)は猫の穀物消化能力を5種類の穀物で検証した研究です
- Martilla ら(2023年、PMID 37407634)は全粒穀物(ライ麦)の犬の腸内環境への好影響を報告した研究です
- Morris ら(2025年、PMID 40642821)は穀物の有無と犬の心機能を18ヶ月追跡した最新RCTです(Hill's資金提供に注意) --- 📖 読了目安: 4分 🔬 参考文献: PMID 40642821 (Morris 2025) / PMID 37407634 (Martilla 2023) / PMID 36789882 (Zhu 2023) / FDA DCM Investigation / NRC 2006 ⚕️ 気になる症状がある場合は、必ず獣医師にご相談ください。
出典(5件)
- 査読論文Morris EM et al. J Anim Sci 2025 — 穀物の有無で心機能差なしRCTPubMed (PMID 40642821)
- 査読論文Martilla S et al. Sci Rep 2023;13 — 全粒穀物(ライ麦)が犬の腸内環境に好影響PubMed (PMID 37407634)
- 査読論文Zhu L et al. J Anim Sci 2023;101 — 猫30頭に5種穀物:全て正常に消化PubMed (PMID 36789882)
- 公的基準・規制FDA DCM Investigation (2018-2022)(原ページはFDAサイト再編で公開終了。2026-07-03時点のアーカイブ)出典サイト
- 業界標準NRC 2006 Ch.3 — Carbohydrates and Fiber
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この記事は一般的な情報であり、診断や個別の助言ではありません。 うちの子に合うかどうかは、かかりつけの獣医師にご相談ください。