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拡張型心筋症

Dilated Cardiomyopathy (DCM) 対象: 犬・猫 分類: 心疾患 最終更新: 2026-07-14

食事との関係

猫ではタウリン欠乏がDCMの原因となりうる(1987年以降の市販キャットフードへの添加で激減・非市販食では今も起こりうる)。犬でも豆類主体のグレインフリー等いわゆる「BEG食」で食事関連・タウリン応答性DCMが報告されている(Freeman 2018/FDA調査中)。食事の選択・変更は担当獣医師の指示による

家で気づけるサイン

  • 疲れやすい・散歩や運動を嫌がる(運動不耐)
  • 元気・食欲の低下
  • 咳が続く、呼吸が速い・浅い・苦しそう(肺水腫・胸水のサイン)
  • お腹が張ってくる(腹水)
  • 失神・ふらつき
  • 突然死のことがある(特にドーベルマン・ボクサー)
  • ※初期は無症状で、不整脈が先行することが多い

受診の目安

緊急(夜間救急)— 開口呼吸・チアノーゼ・呼吸困難・失神・虚脱は救急。無症状期でも好発犬種は健診+心エコー・ホルター心電図での定期評価を

年齢の傾向

中〜高齢の大型・超大型犬に多く、牡にやや多い。ポルトガル・ウォーター・ドッグは幼齢発症の家族性型が知られる。猫はタウリン欠乏に関連する場合がある(現在は市販フードへの添加でまれ)

なりやすいとされる犬種・猫種

詳しい解説

拡張型心筋症(Dilated Cardiomyopathy, DCM)

拡張型心筋症は、心臓の筋肉(心筋)の収縮する力が弱まり、心室が薄く引き伸ばされるように広がって、血液を全身に送り出せなくなっていく病気です。進行すると肺に水がたまる肺水腫や胸水・腹水を起こし、うっ血性心不全に至ります。大型・超大型犬でもっとも多い心筋症で、中〜高齢の牡にやや多く見られます(MSD)。

初期は無症状のことが多く、不整脈だけが先行して現れる時期があります。ドーベルマンボクサーでは、それまで元気だった犬が不整脈から突然死することもあるため、好発犬種では症状が出る前のスクリーニングが重要になります。

好発品種(根拠の別を明記)

飼い主が気づける徴候

  • 疲れやすい、散歩や運動を嫌がる(運動不耐)
  • 元気・食欲がない
  • 咳が続く、呼吸が速い・浅い、苦しそうにする(肺に水がたまるサイン)
  • お腹が張ってくる(腹水)
  • 失神する、ふらつく
  • 突然死してしまうことがある(特にドーベルマン・ボクサー)
  • ※初期は目立った症状がなく、不整脈が先に現れることが多い

受診目安・予防

  • 開口呼吸・チアノーゼ(舌や歯ぐきが青紫)・呼吸困難・失神・虚脱は緊急。夜間でも救急対応のできる病院へ。
  • 咳や運動を嫌がる様子が続く、疲れやすいと感じたら早めに受診を。
  • 好発犬種は心エコー・ホルター心電図による定期スクリーニングが早期把握に役立ちます。ドーベルマンはPDK4(DCM1)、ボクサーはSTRN(ARVC)などの遺伝子検査が補助になります。
  • 家庭での安静時呼吸数のモニタリングは、心不全の悪化を早く捉えるのに有用とされます。
  • 猫ではタウリンが不足しない食事が予防上重要で、犬でも食事関連DCMが議論されています。食事の選択・変更は担当獣医師の診察に基づきます。
  • 本ページは受診判断の支援を目的とし、治療の選択は担当獣医師の診察に基づきます。

食事の考え方

この病気では、食事との関係が特に議論されてきた経緯があります。

この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。

何を なぜ見るか
タウリン 不足がこの状態に関わる犬種が知られており、血中の値が調べられることがあります
L-カルニチン 心臓の筋肉のエネルギーに関わる栄養素として検討されることがあります
ナトリウム 心不全の段階に進んだ場合に量の調整が話題になります

グレインフリーとの関係について

2018年、FDAが「豆類やじゃがいもを主原料として多く含むフード」を食べた犬の報告について 調査を始めたことが広く伝えられました。ただしFDA自身が、報告の件数だけでは 因果関係の立証に十分ではないと述べています。

その後、犬60頭を18か月追跡した比較試験でも、穀物の有無による心機能の差は認められていません。

「グレインフリーだから危ない」と単純化できる段階ではありません。 気になる場合は、袋を持って獣医師に相談してください。 素材ごとの説明はじゃがいもえんどう豆のページにあります。

食事療法食(療法食)そのものの位置づけは 療法食、袋の読み方は 表示の読み方 にまとめています。

費用の目安

拡張型心筋症にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

動物病院の料金表から(項目ごと)

項目金額この検査・処置を行っていない病院もとの表
心電図検査犬猫共通2,500円22.3%p.71(PDF p.76)
心エコー検査犬猫共通4,000円16.1%p.74(PDF p.79)

「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。

出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)

いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です

読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、拡張型心筋症と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 疲れやすい・散歩や運動を嫌がる(運動不耐)/元気・食欲の低下 など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(5件)

  • 業界標準確認日 2026-07-14

    Dilated Cardiomyopathy in Dogs and Cats

    大型犬に多くドーベルマン・ボクサー・グレートデン・ジャーマンシェパード・アイリッシュウルフハウンド・スコティッシュディアハウンド・ニューファンドランド・セントバーナード・ラブラドールが好発。中〜高齢の牡に多い。猫はタウリン欠乏が主因だったが1987年の市販食への添加後は激減し現在は多くが特発性。徴候に腹水・頻呼吸・呼吸困難・咳を記載

    出典サイト

  • 査読論文確認日 2026-07-14

    Meurs KM ほか, 2012, 変異同定研究, Human Genetic…

    ドーベルマンの家族性DCMでPDK4遺伝子のスプライス部位変異(DCM1)を同定

    PubMed (PMID 22447147)

  • 査読論文確認日 2026-07-14

    Meurs KM ほか, 2010, GWAS・変異同定研究, Human Ge…

    ボクサーの不整脈原性右室心筋症(ARVC)でSTRN(ストリアチン)3'非翻訳領域の欠失変異を同定。ボクサーの心筋症はDCMと区別される

    PubMed (PMID 20596727)

  • 査読論文確認日 2026-07-14

    Pion PD ほか, 1987, 臨床研究(心エコー・タウリン補充試験), S…

    猫の低血漿タウリンに関連する心筋不全を報告し、タウリン補充で左室機能が正常化する可逆性DCMを示した

    PubMed (PMID 3616607)DOI 10.1126/science.3616607

  • 査読論文確認日 2026-07-14

    Freeman LM ほか, 2018, 総説(コメンタリー), Journal…

    犬の食事関連DCM(ボーティック/エキゾチック/グレインフリー=BEG食)との関連を論じ、FDA調査を含めた現状を整理

    PubMed (PMID 30451613)

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。

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