犬猫小町(準備中)

認知機能不全症候群

Cognitive Dysfunction Syndrome (CDS) 対象: 犬・猫 分類: 神経(高齢) 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

食事が直接の原因となる疾患ではない。加齢に配慮した栄養管理の研究はあるが、療法食・サプリメントの要否は獣医師に相談する

家で気づけるサイン

  • 見当識の低下(部屋の隅や家具の裏で立ち止まる・帰り道や出入口がわからなくなる)
  • 家族や同居動物との関わり方の変化(甘え方が変わる・呼びかけへの反応が鈍る)
  • 睡眠と覚醒リズムの乱れ(昼夜逆転・夜鳴き・夜間の徘徊)
  • トイレの失敗(覚えていたはずの排泄場所を忘れる)
  • 活動の変化(目的のない徘徊・同じ場所をぐるぐる回る・意欲の低下)
  • 不安・落ち着きのなさ(今までなかった怖がり方をする)

受診の目安

早めに受診(急な行動変化は痛み・内分泌疾患・感覚器(視覚・聴覚)の衰えなど他の病気でも起こるため、まず受診で除外する)

年齢の傾向

高齢(犬は7〜8歳以降で増え、加齢とともに有病率が上昇。猫でも高齢で認知機能の低下がみられる)

なりやすいとされる犬種・猫種

  • 特定の好発品種は確立していない(加齢に伴う神経変性で、あらゆる犬種・猫種で起こりうる。長寿の小型犬ほど高齢個体が多く目立つ傾向)

この病気に触れている図鑑のページ

4件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。

詳しい解説

認知機能不全症候群(Cognitive Dysfunction Syndrome (CDS))

高齢の犬・猫にみられる、加齢に伴って脳がゆっくりと変性していく神経の病気。人の認知症に例えられ、学習・記憶・見当識・社会的なやりとり・睡眠・活動などに徐々に変化が現れる(Purina Institute / JAVMA 2026)。犬では8歳以上の推定14%が該当し、加齢とともに有病率が上がることが知られる。11〜13歳で約19%、15歳では最大45.3%まで上昇したとの報告もある(WSAVA 2019)。「歳のせい」で片づけられやすいが、徴候を早く捉えておくことが大切。

診断は、痛み・内分泌疾患・感覚器の衰えなど他の病気を除外したうえで行う「除外診断」であり、飼い主が家庭での様子を記録しておくことが役立つ(PMC12390195)。

好発品種(根拠の別)

CDSは加齢に伴う神経変性であり、特定の犬種・猫種に強く偏るという確立した根拠はない。あらゆる品種で起こりうる。長寿の小型犬では高齢まで生きる個体が多いぶん目にとまりやすい傾向はあるが、これは「その品種がなりやすい」こととは別である。裏付けの取れない品種の好発は挙げない。

飼い主が気づける徴候

獣医行動学ではDISHAAという頭文字で徴候を整理する(JAVMA 2026)。

  • 見当識(Disorientation): 部屋の隅や家具の裏で立ち止まる、帰り道や出入口がわからなくなる
  • 社会的な関わり(Interaction): 家族や同居動物への甘え方・接し方が変わる、呼びかけへの反応が鈍る
  • 睡眠(Sleep-wake cycle): 昼夜が逆転する、夜鳴き、夜間の徘徊
  • 排泄(House-soiling): 覚えていたはずのトイレの場所を忘れて失敗する
  • 活動(Activity): 目的のない徘徊、同じ場所をぐるぐる回る、意欲の低下
  • 不安(Anxiety): 今までなかった怖がり方・落ち着きのなさ

受診目安・予防

上記のような変化が続く場合は早めに受診する。特に急な行動の変化は、痛み・内分泌疾患・視覚や聴覚の衰えなど別の病気が隠れていることがあり、まず受診してそれらを除外することが重要。7歳以降はDISHAA質問票などで定期的に行動をチェックし、平常時のベースラインを把握しておくと変化に早く気づける(6〜12ヶ月ごとが目安)。根本的な予防法は確立していないが、生活環境に適度な刺激と運動を取り入れることや、併存する他疾患の管理が挙げられる。具体的な対応・投薬は獣医師の診察に委ね、本項では扱わない。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、認知機能不全症候群と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 見当識の低下(部屋の隅や家具の裏で立ち止まる・帰り道や出入口がわからなくなる)/家族や同居動物との関わり方の変化(甘え方が変わる・呼びかけへの反応が鈍る) など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(4件)

  • Canine Cognitive Dysfunction Syndrome Wo…

    DOI 10.2460/javma.25.10.0668

  • Cognitive Dysfunction Syndrome in dogs

  • The Science of Canine Cognitive Decline and Dysfunction: Prevalence, Diagnosis and Clinical Signs

  • Diagnosis of Canine Cognitive Dysfunction Syndrome: A Narrative Review

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。