肝リピドーシス(脂肪肝)
Hepatic Lipidosis 対象: 猫 分類: 肝 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
発症の引き金が「食べないこと」で、回復には十分な栄養摂取(給餌管理)が中心になる。急な食事変更・過度な減量は誘因になりうる。方針は獣医師が判断
家で気づけるサイン
- 数日〜数週間続く食欲不振・拒食
- 急な体重減少(大幅に痩せる)
- 黄疸(皮膚・歯ぐき・白目が黄色っぽくなる)
- よだれ(流涎)、嘔吐
- 元気消失、動きたがらない
- 首を下げてうなだれる(頸部腹屈)
受診の目安
当日受診(猫が2日以上ほとんど食べない・黄疸・ぐったりは急いで受診)。衰弱が強ければ救急
年齢の傾向
発症年齢は幅広いが、多くは中年齢
なりやすいとされる犬種・猫種
- 特定品種の強い好発なし(性別・品種の偏りは知られない・疫学的知見)
- 肥満(過体重)と絶食・拒食が主要因。中年齢に多い(疫学的知見)
詳しい解説
肝リピドーシス(脂肪肝, Hepatic Lipidosis)
肝リピドーシスは、肝臓の細胞に脂肪が過剰に溜まって肝機能が急速に低下する病気で、猫でもっとも多い後天性の肝疾患の一つです。命に関わることもあります。もともと太り気味(過体重)の猫が、数日〜数週間食べられなくなることをきっかけに急に発症するのが典型で、猫に特有の病態として知られます。
引き金となる「食欲不振」の背景には、食事の切り替え(急なダイエットや好まないフードへの変更)、引っ越し・預け先・新しい同居動物といったストレスなど、さまざまな要因があります。
好発の背景(品種より肥満と絶食)
- 特定品種の強い好発は知られていません。 性別・品種の偏りも報告されておらず、多くは中年齢で発症します。
- 最大のリスクは肥満(過体重)で、そこに絶食・拒食が加わると発症の引き金になります。太った猫ほど注意が必要です。
飼い主が気づける徴候
- 数日〜数週間、ごはんをほとんど食べない
- 急に大きく痩せる
- 皮膚・歯ぐき・白目が黄色っぽい(黄疸)
- よだれが増える、嘔吐する
- 元気がなく動きたがらない
- 首を下げてうなだれる姿勢(頸部腹屈)
受診目安・予防
- 猫が2日以上ほとんど食べない・黄疸・ぐったりに気づいたら当日受診を。 「食べない期間」が長引くほど危険が高まります。衰弱が強ければ救急対応を。
- 予防の基本は肥満をつくらない体重管理と、絶食させないこと。食欲の低下が続くときは早めに受診してください。
- 減量が必要な場合も、急激なダイエットは避けてください。獣医師の指導のもと、無理のないペースで進めます。
- 本ページは受診判断の支援を目的とし、治療の選択は担当獣医師の診察に基づきます。
食事の考え方
この病気では、食べられるようにすること自体が管理の中心になります。
この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。
猫が数日食べない状態が続くと、体の脂肪が肝臓に集まってこの状態を招くことがあります。 そのため「量を減らす」方向ではなく、必要なカロリーをどう入れるかが課題になります。
| 何を | なぜ見るか |
|---|---|
| カロリー | 足りない状態が続くこと自体が引き金になるため、確保が優先されます |
| たんぱく質 | 質のよいものを適正量。制限が必要かどうかは状態によって変わります |
| 必須栄養素 | タウリンなど、猫に欠かせないものが不足しないようにします |
減量中の猫では特に注意が向けられます。 急に体重を落とすと、この状態を招く懸念があるためです。 減量は獣医師と目標を決めて、ゆるやかに進めます。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、肝リピドーシス(脂肪肝)と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 数日〜数週間続く食欲不振・拒食/急な体重減少(大幅に痩せる) など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(2件)
- 業界標準確認日 2026-07-11
Feline Hepatic Lipidosis
猫で最も多い後天性の肝疾患で致死的になりうる。過体重の猫が拒食・絶食を引き金に発症。黄疸・よだれ・肝腫大・頸部腹屈・体重減少等を記載
- 査読論文確認日 2026-07-11
Webb CB, 2018, 総説, Journal of Feline Med…
性別・品種の偏りは認められず、多くは中年齢で発症すると記載
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。