食事の基本
療法食
最終更新: 2026-07-12
療法食
疾患別の療法食分類。療法食は「特定の疾病又は健康状態にあるペットの栄養学的サポートを目的に、獣医療において獣医師の指導のもとで食事管理(いわゆる食事療法)に使用されることを意図したもの」(公取協「療法食について」2026-07-12確認)。維持食(総合栄養食)とは栄養特性が異なるため、自己判断で開始・変更・中止せず、必ず獣医師の指導下で用いる。コンテンツでは推奨・効能の断定を避け、「対応・管理・ケア」の範囲にとどめる(→ 区分定義は categories、薬事表現は industry/laws.md)。
制度上の位置づけ(公取協 2026-07-12 一次確認)
- 獣医師の指導が前提: 公正競争規約は、療法食に「獣医師の指導に基づいて給与するべきものである旨の注意書き」を表示するよう定める
- 届出制: 療法食である旨を表示する際は「商品名・対象となる犬または猫の疾病または健康状態・根拠となるデータの所在」を協議会に届け出る
- 治療効果は謳えない: 病名の記載は可能だが、フード側は治療効果を標榜できない(→ categories 療法食欄)
- 「療法食」は表示上の4区分(総合栄養食/間食/療法食/その他の目的食)のひとつ
疾患別テーブル(公取協定義+各社公式 2026-07-12 一次確認)
各行の「食事設計の考え方」は栄養学的サポートの設計思想であり、治療法・処方ではない。実際の適否・銘柄選択・給与量は獣医師が個体の検査結果に基づいて判断する。
| 対応疾患・目的 | 食事設計の考え方(栄養学的サポート) | 主要メーカーのライン例 | 獣医師管理の要点 |
|---|---|---|---|
| 腎臓 → 慢性腎臓病 | リン・タンパク質量の調整、ナトリウム配慮、オメガ3脂肪酸 | ヒルズ k/d、ロイヤルカナン 腎臓サポート、SPECIFIC 腎臓ケア | 腎臓の状態に応じ獣医師が選択。血液・尿検査でモニタリングしながら継続 |
| 尿路 → 尿路結石症(ストルバイト/シュウ酸カルシウム)、猫は 猫特発性膀胱炎 も | ミネラル(マグネシウム等)量の調整、尿pHのコントロール、飲水量を増やす設計(ウェット活用) | ヒルズ c/d Multicare、ロイヤルカナン ユリナリーS/O | 結石の種類で設計が正反対になる(シュウ酸カルシウムは食事で溶解できない)。尿検査に基づき獣医師が選択 |
| 肝臓 → 肝リピドーシス・門脈体循環シャント | 良質タンパクの適正量、銅の調整、亜鉛・抗酸化物、分岐鎖アミノ酸 | ヒルズ 肝臓ケア、ロイヤルカナン 肝臓サポート | 病態(シャント/銅蓄積型 等)で方針が変わるため獣医師の診断が前提 |
| 消化器 → 膵炎(低脂肪型)・IBD・慢性下痢 | 高消化性、脂肪量の調整(膵炎・高脂血症は低脂肪)、可溶/不溶性食物繊維のバランス、プレバイオティクス | ヒルズ i/d、ロイヤルカナン 消化器サポート、SPECIFIC 胃腸ケア | 急性膵炎は低脂肪が要点。原因(膵炎/腸疾患/脂質代謝)で処方が分かれる |
| 皮膚・食物アレルギー → 食物アレルギー・アトピー性皮膚炎 | 加水分解タンパク、または新奇・単一のタンパク源、必須脂肪酸の強化 | ヒルズ 皮膚ケア(アレルゲン配慮)、ロイヤルカナン 低分子プロテイン/セレクトプロテイン | 除去食試験(獣医師の指示のもと数週間、単一の食事に限定)に用いる。おやつ・他フードの混入で崩れる |
| 体重管理(肥満・減量) | 低カロリー・高タンパクで除脂肪量を維持、高繊維で満腹感、L-カルニチン | ヒルズ Metabolic、ロイヤルカナン 満腹感サポート | 目標体重と給与量を獣医師と設定。特に猫の急激な減量は 肝リピドーシス を招く懸念があり緩やかに行う |
| 糖尿病 → 糖尿病 | 食物繊維を高めて食後血糖の急上昇を抑制、複合炭水化物。犬猫で設計思想が異なる(猫=高タンパク・低炭水化物寄り) | ヒルズ w/d、ロイヤルカナン 糖コントロール | 糖尿病の治療と並行し獣医師の管理下で用いる。給餌タイミングの一貫性が要点 |
| 心臓 → 僧帽弁閉鎖不全症 | ナトリウム量の調整、タウリン・L-カルニチン、オメガ3脂肪酸(EPA/DHA) | ヒルズ 心臓ケア、ロイヤルカナン 心臓サポート | 進行度により方針が変わる。他疾患(腎臓等)併発時は優先順位を獣医師が判断 |
| 関節(変形性関節症。背景に 股関節形成不全・前十字靭帯断裂 等) | オメガ3脂肪酸(EPA)強化、グルコサミン・コンドロイチン、適正体重を保つカロリー設計 | ヒルズ 関節ケア、ロイヤルカナン 関節サポート | 減量との併用が要点(体重管理が関節負荷の軽減に直結) |
主要メーカー(日本の食事療法食)
- 日本ヒルズ・コルゲート — プリスクリプション・ダイエット。k/d(腎臓)・c/d(尿ケア)・i/d(消化)・w/d(体重・糖尿)・Metabolic(体重管理)等の記号体系が獣医療現場の共通言語。獣医チャネル2強の一角
- ロイヤルカナン ジャポン — 食事療法食。腎臓サポート/ユリナリーS/O/消化器サポート/糖コントロール/満腹感サポート/低分子プロテイン等、疾患名に対応した製品名。獣医チャネル2強の他方
- Dechra/SPECIFIC — デンマーク生まれの獣医栄養学ベース療法食。動物病院ルート中心の「獣医チャネル専業」型
いずれも「診察に基づく獣医師の推奨・栄養指導により選択する」ことを前提に販売される(各社公式 2026-07-12確認)。
根拠(evidence)の扱い
- 各行の食事設計は各社公式・公取協の分類に基づく栄養学的サポートの設計思想であり、個別製品の治療効果を保証するものではない
- 病気ごとの詳細と受診の目安は、各疾患のページを参照。療法食は診断の代わりにはならない
- このページは分類と制度の説明にとどめ、効果があるかどうかの断定はしない
このページは受診や診断の代わりにはなりません。迷ったとき、いつもと違うと感じたときは、 かかりつけの獣医師に相談してください。