頸部脊椎症(ウォブラー症候群)
Cervical Spondylomyelopathy (Wobbler Syndrome) 対象: 犬 分類: 整形・神経 最終更新: 2026-07-14
食事との関係
骨関連型では幼齢期の食べさせすぎ・急速な成長が発症要因の一つとされ、大型犬用フードでの計画的な成長管理が関わる(療法食の対象疾患ではない)
家で気づけるサイン
- ふらつく歩様(特に後肢を大きく引きずるような歩き方=「二段変速(two-engine)歩様」と呼ばれる)
- 足先の甲を地面に擦る・つまずく(ナックリング=協調運動障害のサイン)
- 首を下げてこわばる、首まわりを触られるのを痛がる
- 爪が片側だけ異常にすり減る
- 進行すると立てない・四肢の麻痺
- ※初期はごく軽いふらつきで見逃されやすい
受診の目安
早めに受診(ふらつき・首の痛み・四肢の協調運動障害に気づいたら)。急に立てない・四肢麻痺・排便排尿の異常は当日〜緊急(夜間救急)
年齢の傾向
椎間板関連型は中年齢(ドーベルマンで発症の目安が約7歳)、骨関連型は若齢(生後数か月〜4歳の超大型犬)
なりやすいとされる犬種・猫種
- ドーベルマン(椎間板関連型の代表・中年齢。家族性/遺伝的素因が示唆されるが確立した遺伝子検査はない)
- グレート・デーン(骨関連型の代表・若齢の超大型犬。同上)
- マスティフ・[[rottweiler|ロットワイラー]](骨関連型・若齢の大型〜超大型犬・MSD記載)
- 大型〜超大型犬全般に好発(疫学的関連。遺伝・栄養要因が示唆される)
詳しい解説
頸部脊椎症(ウォブラー症候群, Cervical Spondylomyelopathy)
頸部脊椎症は、首(頸椎)の骨や椎間板の異常な発育によって脊髄が圧迫される病気で、大型・超大型犬に多いとされます。ふらつく独特の歩き方から「ウォブラー(ぐらつく者)症候群」と呼ばれます。犬では大きく2つの型が知られます。
- 椎間板関連型(DAWS) — 中年齢の大型犬、とくにドーベルマンに多く、下方から椎間板が突出して脊髄を圧迫します(発症の目安は約7歳とされます)。
- 骨関連型 — 若齢の超大型犬(グレート・デーン、マスティフ、ロットワイラーなど、生後数か月〜4歳)で、頸椎の骨の形成異常が背景にあります。
いずれも脊髄の圧迫による症状で、初期はごく軽いふらつきのため見逃されやすく、進行するとふらつきが強まり、重症では四肢の麻痺に至ることがあります。
好発品種(根拠の別を明記)
- ドーベルマン — 椎間板関連型の代表。中年齢で発症しやすい(家族性・遺伝的素因が示唆されるが、確立した単一の遺伝子検査はない)。
- グレート・デーン・マスティフ・ロットワイラー — 骨関連型として MSD が若齢の超大型犬で記載(疫学的関連)。
- 大型〜超大型犬に広く起こりうる。遺伝要因に加え、幼齢期の栄養・急成長も関与しうるとされます。
飼い主が気づける徴候
- 後ろ足を大きく引きずるように歩く、フラフラする(特に後肢が目立つ)
- 足先の甲を地面に擦る・つまずく(ナックリング)
- 首を下げてこわばる、首まわりを触られるのを嫌がる・痛がる
- 爪が片側だけ極端にすり減っている
- 進行すると立ち上がれない、四肢が麻痺する
- ※ごく軽いふらつきから始まることが多く、初期は気づきにくい
受診目安・予防
- ふらつき・首の痛み・足のもつれ(協調運動障害)に気づいたら早めに受診を。 進行性のことがあります。
- 急に立てない・四肢の麻痺・排便排尿の異常は当日〜緊急。夜間でも救急対応のできる病院へ。
- 確立した予防法や一般的な遺伝子検査はありません。好発犬種では歩き方の変化に早く気づくことが早期把握の要です。
- 確定診断には MRI などの画像検査が必要で、獣医師の診察に基づきます。
- 幼齢の超大型犬では、食べさせすぎ・急激な成長を避ける計画的な体重・成長管理が、骨関連型のリスク低減に関わるとされます。
- 本ページは受診判断の支援を目的とし、診断・治療の選択は担当獣医師の診察に基づきます。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、頸部脊椎症(ウォブラー症候群)と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: ふらつく歩様(特に後肢を大きく引きずるような歩き方=「二段変速(two-engine)歩様」と呼ばれる)/足先の甲を地面に擦る・つまずく(ナックリング=協調運動障害のサイン) など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(2件)
- 業界標準確認日 2026-07-14
Degenerative Diseases of the Spinal Column and Cord in Animals
頸椎の異常発育による脊髄圧迫。椎間板関連型(DAWS)は中年齢の大型犬・特にドーベルマン(発症の目安約7歳)、骨関連型は若齢の超大型犬(グレート・デーン、マスティフ、ロットワイラー・生後数か月〜4歳)。四肢のふらつき(後肢の長い歩幅+前肢の短い歩幅=二段変速歩様)から重症例の四肢麻痺まで。遺伝・栄養要因が関与しうると記載
- 査読論文確認日 2026-07-14
da Costa RC, 2010, 総説(narrative review),…
大型・超大型犬に多い頸部脊椎症の総説。14通りの呼称・21の術式が提唱されてきた複雑な病態で、病因・病態生理・診断・その後の見通しを包括的に整理
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。