眼瞼内反症
Entropion 対象: 犬 分類: 眼 最終更新: 2026-07-14
食事との関係
食事との直接の関連はない
家で気づけるサイン
- 目やに・涙が多い(涙やけ・流涙)
- 目をショボショボさせる・つぶる(まばたきが増える・眼瞼のけいれん)
- 目を気にして前足でこする・床に擦りつける
- 白目の充血、まぶしがる(羞明)
- 進行すると角膜が白く濁る・青みがかる(角膜潰瘍・混濁のサイン)
受診の目安
早めに受診(涙・目やに・目を細める、特に子犬期)。強く目を痛がる・目が白く濁る・急に見えていない様子は当日受診(角膜潰瘍の疑い)
年齢の傾向
多くは1歳未満の若齢で現れる(先天的・発育性)。加齢・眼の痛み・瘢痕による後天性(痙攣性/瘢痕性)もある
なりやすいとされる犬種・猫種
詳しい解説
眼瞼内反症(Entropion)
眼瞼内反症は、まぶたの縁が内側に巻き込まれ、睫毛や顔の被毛が眼の表面(角膜・結膜)を擦ってしまう状態です。多くの犬種で最も多い遺伝性の眼瞼異常とされ、顔のしわ・落ちくぼんだ目・皮膚のたるみといった顔つき(構造)に由来して起こりやすくなります。放置すると刺激で涙や目やにが増え、慢性化すると角膜に傷(角膜潰瘍)や濁り・色素沈着を招くことがあります。
多くは1歳未満の若齢で現れますが(先天的・発育性)、加齢や眼の痛み・瘢痕によって後から生じる型(痙攣性・瘢痕性)もあります。英国の一次診療データでは、重度の短頭種や、体が大きい犬種ほどリスクが高いことが示されています。
好発品種(根拠の別を明記)
- シャーペイ — 英国一次診療で有病率が最も高い(15.4%・VetCompass 2025)。顔のしわと眼瞼の構造に由来(疫学的関連・構造的素因)。
- チャウ・チャウ — 有病率9.3%(同)。落ちくぼんだ目と厚い皮膚が背景。
- ナポリタン・マスティフ — 有病率6.9%(同)。超大型で皮膚のたるみが大きい。
- ブルドッグ — 重度短頭種でリスクが上がるグループ。鼻ひだの睫毛や下眼瞼が角膜を刺激しやすい。
- セント・バーナード — 超大型で、下眼瞼のたるみ(眼瞼外反)を伴う複合型(いわゆる「ダイヤモンドアイ」)を生じやすい。体重が大きいほどリスクが上がる。
- 大型〜超大型・重度短頭の犬種に広く好発(VetCompass で体重増・重度短頭がリスク要因)。
飼い主が気づける徴候
- 目やに・涙が多い(涙やけ・流涙)
- 目をショボショボさせる・つぶる(まばたきが増える・眼瞼のけいれん)
- 目を気にして前足でこする、顔を床に擦りつける
- 白目が充血する、まぶしそうにする(羞明)
- 進行すると角膜が白く濁る・青みがかる(角膜に傷ができたサイン)
受診目安・予防
- 涙・目やに・目を細める様子に気づいたら早めに受診を。 特に子犬期の好発犬種は、放置で角膜が傷つく前に眼科相談を。
- 強く目を痛がる・目が白く濁る・急に見えていない様子は当日受診(角膜潰瘍の疑い)。
- 遺伝的・構造的な素因が背景にあり、繁殖選択が発生予防に関わります。
- 確定診断とまぶたの整復は獣医師・眼科の領域です。子犬期の一過性のけいれん性内反は成長で変化することもあり、対応の判断は診察に基づきます。
- 本ページは受診判断の支援を目的とし、診断・治療の選択は担当獣医師の診察に基づきます。
費用の目安
眼瞼内反症にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。
動物病院の料金表から(項目ごと)
| 項目 | 金額 | この検査・処置を行っていない病院 | もとの表 |
|---|---|---|---|
| 眼瞼内反症手術犬猫共通 | 22,500円 | 28.6% | p.49(PDF p.54) |
「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。
出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)
いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です
読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります
この数字の読み方
金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。
病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、眼瞼内反症と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 目やに・涙が多い(涙やけ・流涙)/目をショボショボさせる・つぶる(まばたきが増える・眼瞼のけいれん) など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(2件)
- 業界標準確認日 2026-07-14
Eyelids in Animals
眼瞼内反はまぶたの縁が内巻きになり睫毛や被毛が角膜を擦る状態で、多くの犬種で最も多い遺伝性の眼瞼欠陥。結膜・角膜の刺激から、慢性化で瘢痕・色素沈着・角膜潰瘍を招くと記載
- 査読論文確認日 2026-07-14
O'Neill DG ほか, 2025, 横断疫学研究(一次診療コホート・Vet…
英国一次診療の眼瞼形態異常2019年データ。眼瞼内反の全体有病率0.33%に対し、シャーペイ15.4%・チャウチャウ9.3%・ナポリタンマスティフ6.9%と品種差が極端。重度短頭種で、また成犬体重の増加とともにオッズ比が上昇(60kg以上で約28倍)。主徴候は眼脂・流涙・眼瞼けいれんで、結膜炎・角膜潰瘍を併発しやすい
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。