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猫特発性膀胱炎(FIC)

Feline Idiopathic Cystitis 対象: 猫 分類: 腎泌尿器 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

飲水量を増やす食事(ウェット等)や体重管理が再発予防に関わる。尿路の療法食が用いられる場面もあり方針は獣医師が判断。

家で気づけるサイン

  • 何度もトイレに行く(頻尿)、少量ずつ何度も排尿する
  • 排尿時に鳴く・痛がる、力むのに少ししか出ない
  • 血尿(尿が赤い・ピンク)
  • トイレ以外の場所で排尿する
  • 陰部をしきりになめる
  • ※オスで「尿が出ない・何度も力むのに出ない」は尿道閉塞の危険サイン

受診の目安

尿が出ない・繰り返し力むのに出ない・ぐったり・嘔吐(特にオス)は緊急(夜間救急)。血尿・頻尿のみなら早めに受診

年齢の傾向

若〜中年齢の成猫に多い(おおむね1〜10歳)

なりやすいとされる犬種・猫種

  • 特定品種の強い好発なし(環境・ストレス・肥満・室内飼育が主要因・疫学的知見)
  • ペルシャで多く見られたとの報告があるが統計的有意差は示されていない(疫学的知見)

詳しい解説

猫特発性膀胱炎(Feline Idiopathic Cystitis, FIC)

猫特発性膀胱炎は、細菌感染や結石など明らかな原因が見つからないのに膀胱の炎症・排尿トラブルを繰り返す病気で、猫下部尿路疾患(FLUTD)のもっとも多い原因です。原因ははっきり解明されていませんが、ストレスと膀胱・神経内分泌のはたらきの相互作用が関与すると考えられています。室内飼育・多頭飼育・運動不足・肥満などが背景要因として知られます。

似た症状を示す尿路結石症や細菌性膀胱炎とは区別が必要で、FICはこうした既知の原因を除外して診断されます。オス猫では尿道が長く狭いため、炎症や栓子で尿道が詰まる「尿道閉塞」が起こると命に関わる緊急事態になります。

好発の背景(品種より環境・ストレス)

  • 特定品種の強い好発は知られていません。 主要因は環境ストレス・室内飼育・運動不足・肥満で、飼育環境の影響が大きい病気です。
  • ペルシャで多く見られたとする報告はありますが、統計的な有意差は示されていません。

飼い主が気づける徴候

  • トイレに何度も行く、少量ずつ何度も排尿する
  • 排尿時に鳴く・痛がる、力んでいるのに少ししか出ない
  • 尿が赤い・ピンク色(血尿)
  • トイレ以外の場所(床・布団など)で排尿する
  • 陰部をしきりになめる
  • オスで尿が出ない・何度も力むのに出ないのは尿道閉塞のサイン

受診目安・予防

  • 尿が出ない・繰り返し力むのに出ない・ぐったり・嘔吐(特にオス)は緊急。尿道閉塞は数日で命に関わるため、夜間でも救急対応のできる病院へ。
  • 血尿・頻尿だけでも、他の病気(結石・感染)との区別のため早めに受診を。
  • 予防・再発対策として、トイレを清潔に・数を増やす、静かで安心できる居場所や隠れ場所を用意する、飲水量を増やす、適正体重を保つといった環境の工夫が役立つとされます。
  • 飲水量を増やす食事や尿路の療法食が用いられる場面もあります。方針は担当獣医師の診察に基づきます。
  • 本ページは受診判断の支援を目的とし、治療の選択は担当獣医師の診察に基づきます。

食事の考え方

この病気では、食事そのものより水をどれだけ飲むかが中心の話題になります。

この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。

尿が濃いままだと膀胱への刺激が続きやすいため、飲水量を増やす工夫が組み合わされます。

  • ウェットフードを併用する — 食事から水分をとる形にする
  • 水飲み場を家の何か所かに置く — 猫は少しの手間で飲むのをやめます
  • 器の材質や置き場所を変えてみる — ひげが当たらない広さ、静かな場所

ストレスが関わる病気とされるため、食事だけで完結しません。 トイレの数や置き場所、同居猫との距離といった暮らしの側も一緒に見ていきます。

尿路の結石が背景にある場合は設計が変わるので、尿路結石症との区別が前提になります。

食事療法食(療法食)そのものの位置づけは 療法食、袋の読み方は 表示の読み方 にまとめています。

費用の目安

猫特発性膀胱炎(FIC)にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

実際に支払われた金額から

対象何の金額か金額値の種類もとの表
全診療・猫全体0〜4歳1年間にかかった総額20,205円平均p.63 図表2-3-8(0〜4歳)
全診療・猫全体0〜4歳1年間にかかった総額12,645円まんなかの値p.63 図表2-3-8(0〜4歳)

出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025

いつのデータか: 2023年4月から2024年3月までに保険の契約を始めた犬と猫の記録です。通院・入院・手術をあわせた金額です

読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています

動物病院の料金表から(項目ごと)

項目金額この検査・処置を行っていない病院もとの表
尿道閉塞解除犬猫共通4,000円1.6%p.43(PDF p.48)
膀胱洗浄犬猫共通2,500円4.2%p.42(PDF p.47)
尿検査(比重・試験紙・沈渣)犬猫共通1,500円0.5%p.66(PDF p.71)

「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。

出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)

いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です

読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、猫特発性膀胱炎(FIC)と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 何度もトイレに行く(頻尿)、少量ずつ何度も排尿する/排尿時に鳴く・痛がる、力むのに少ししか出ない など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(3件)

  • 業界標準確認日 2026-07-11

    Lower Urinary Tract Disease in Cats

    FICは猫下部尿路疾患(FLUTD)の最多原因。血尿・頻尿・排尿困難・不適切排尿が特徴。尿道が長く狭いオスで尿道閉塞が起こりやすい

    出典サイト

  • 業界標準確認日 2026-07-11

    Feline idiopathic cystitis (FIC) in cats

    ストレス・室内飼育・多頭飼育・環境エンリッチメント不足などの関与を記載

    出典サイト

  • 査読論文確認日 2026-07-11

    Defauw PAM ほか, 2011, 症例対照研究, Journal of …

    FIC猫は体重が有意に高く活動性が低い。引越し等の環境変化がリスク。品種の有意差は示されず

    PubMed (PMID 22075439)DOI 10.1016/j.jfms.2011.08.001

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。