犬猫小町(準備中)

尿路結石症

Urolithiasis 対象: 犬・猫 分類: 腎泌尿器 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

結石の種類に応じた療法食が予防・溶解に関わる(ストルバイトは溶解可能な処方食、シュウ酸カルシウムは再発しやすく尿の飽和度を下げる処方食など。)

家で気づけるサイン

  • 血尿(尿がピンク〜赤みを帯びる)
  • 何度も少量ずつ排尿する・トイレに行く回数が増える
  • 排尿時に痛そうに鳴く・力むのに尿が出にくい
  • トイレ以外での粗相(特に猫)
  • 力んでも尿がまったく出ない・お腹が張る・ぐったりする(尿道閉塞の疑い)

受診の目安

緊急(夜間救急)=排尿しようとしても尿が出ない・何度も力むのに出ない場合は尿道閉塞の疑いで命に関わるため即受診(特に雄・猫は要注意)。血尿・頻回排尿・排尿時の痛みが続く場合は当日〜早めに受診

年齢の傾向

中年齢の犬・猫で報告が多い(結石の種類により傾向が異なる・一般値)

なりやすいとされる犬種・猫種

この病気に触れている図鑑のページ

19件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。

詳しい解説

尿路結石症(Urolithiasis)

腎臓から膀胱・尿道までの尿路に結石(石や結晶)ができる病気。犬・猫どちらにも多く、結石の種類(ストルバイト、シュウ酸カルシウム、尿酸塩、シスチンなど)によって好発品種も予防法も異なる。膀胱炎のような血尿・頻尿で気づかれることが多いが、最も注意すべきは結石が尿道に詰まる「尿道閉塞」で、尿が出せなくなると急速に全身状態が悪化し命に関わる。特に尿道が細い雄、そして猫で起こりやすい。

好発品種(根拠の別)

Merck Veterinary Manual によれば、シュウ酸カルシウム結石はミニチュア・シュナウザーチワワビション・フリーゼヨークシャー・テリアシー・ズーラサ・アプソなどの小型犬に多い(疫学的傾向)。尿酸塩結石はダルメシアンが代表的で、尿酸の輸送に関わる SLC2A9 遺伝子変異が確認されており、一部のイングリッシュ・ブルドッグやブラック・ロシアン・テリアにもみられる(遺伝的)。シスチン結石はイングリッシュ・ブルドッグ、マスティフフレンチ・ブルドッグニューファンドランドなどで報告される(遺伝的な代謝異常)。無菌性ストルバイトはイングリッシュ・コッカー・スパニエルの家系と雄のパグで知られる。猫では長毛種がシュウ酸カルシウムに好発するとされるが、特定品種というより全品種で起こりうる。裏付けの取れない品種名は挙げていない。

飼い主が気づける徴候

  • 血尿(尿がピンク〜赤みを帯びる)
  • 何度も少量ずつ排尿する・トイレに行く回数が増える
  • 排尿時に痛そうに鳴く、力むのに尿が出にくい
  • トイレ以外の場所での粗相(特に猫)
  • 力んでも尿がまったく出ない・お腹が張って苦しがる・ぐったりする(尿道閉塞の疑い)

受診目安・予防

尿がまったく出ない、何度も力むのに排尿できない、お腹を痛がってぐったりする場合は尿道閉塞の疑いがあり、命に関わるため夜間でも直ちに受診する(特に雄・猫)。血尿や頻回の排尿、排尿時の痛みが続く場合も、膀胱炎や結石の可能性があるため当日〜早めに受診したい。予防の基本は十分な飲水と、清潔で我慢させないトイレ環境づくり。結石は種類によって予防・食事管理が大きく異なり、再発も多いため、健診の尿検査や結石成分の分析をもとにした管理が有用となる。具体的な溶解・予防の食事処方や治療は獣医師の診察に委ねる(本項では扱わない)。

食事の考え方

結石の種類によって、食事の設計が変わります。 ここがこの病気の特徴です。

この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。

見られるのは主に次の3つです。

何を なぜ見るか
ミネラルの量 マグネシウムなど、結石の材料になる成分の量を調整します
尿のpH 結石の種類ごとに、できにくい酸性・アルカリ性の範囲が違います
飲水量 尿が薄くなるほど結石はできにくくなります。ウェットフードを活用する設計が多くとられます

ストルバイトとシュウ酸カルシウムでは逆方向の設計になることがあるため、 「尿路の療法食」とひとくくりにして選ぶことはできません。 どの種類の結石かは、尿検査や結石そのものの分析で確かめます。

猫では猫特発性膀胱炎との区別も食事の方針に関わります。

食事療法食(療法食)そのものの位置づけは 療法食、袋の読み方は 表示の読み方 にまとめています。

費用の目安

尿路結石症にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

実際に支払われた金額から

対象何の金額か金額値の種類もとの表
全診療・猫全体0〜4歳1年間にかかった総額32,662円平均p.63 図表2-3-8(0〜4歳)
全診療・猫全体0〜4歳1年間にかかった総額14,300円まんなかの値p.63 図表2-3-8(0〜4歳)
全診療・猫全体5〜9歳1年間にかかった総額47,600円平均p.63 図表2-3-8(5〜9歳)
全診療・猫全体5〜9歳1年間にかかった総額17,050円まんなかの値p.63 図表2-3-8(5〜9歳)

出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025

いつのデータか: 2023年4月から2024年3月までに保険の契約を始めた犬と猫の記録です。通院・入院・手術をあわせた金額です

読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています

動物病院の料金表から(項目ごと)

項目金額この検査・処置を行っていない病院もとの表
尿道閉塞解除犬猫共通4,000円1.6%p.43(PDF p.48)
膀胱洗浄犬猫共通2,500円4.2%p.42(PDF p.47)
膀胱切開(結石摘出)犬猫共通35,000円6.8%p.53(PDF p.58)
会陰尿道瘻設置犬猫共通62,500円25%p.54(PDF p.59)
尿検査(比重・試験紙・沈渣)犬猫共通1,500円0.5%p.66(PDF p.71)

「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。

出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)

いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です

読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、尿路結石症と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 血尿(尿がピンク〜赤みを帯びる)/何度も少量ずつ排尿する・トイレに行く回数が増える など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(2件)

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。

関連する読みもの