脱毛症X
Alopecia X 対象: 犬 分類: 内分泌・皮膚 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
食事との直接的な因果は確立していない
家で気づけるサイン
- かゆみや皮膚炎を伴わない、左右対称の脱毛(胴体・首・しっぽ・太もも後面・お腹)
- 顔と足先は毛が残りやすい
- 脱毛部の皮膚が黒ずむ(色素沈着)
- 毛が抜けたあとに綿毛のような柔らかい毛(子犬のような毛質)だけが残る/毛づやが落ちる
- 全身状態は元気・食欲とも問題ないことが多い(美容的な問題として現れる)
受診の目安
早めに受診(かゆみを伴わない左右対称の脱毛は、甲状腺機能低下症やクッシング症候群など他の内分泌疾患との鑑別が必要。まず原因の切り分けを)
年齢の傾向
若〜中年(多くは3歳前後までに気づかれる)
なりやすいとされる犬種・猫種
- ポメラニアン(一般に好発・旧「成長ホルモン反応性脱毛」の代表)
- プードル(ミニチュア)(一般に好発)
- シベリアン・ハスキー(一般に好発・北方系/密毛種)
- チャウチャウ(一般に好発・北方系/密毛種)
- キースホンド(一般に好発・北方系/密毛種)
- サモエド(一般に好発・北方系/密毛種)
この病気に触れている図鑑のページ
1件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。
犬種
詳しい解説
脱毛症X(Alopecia X)
かゆみや皮膚の炎症を伴わないまま、胴体を中心に左右対称の脱毛が進む非炎症性の脱毛症。かつて「成長ホルモン反応性脱毛」などと呼ばれていた病態が、遺伝を含む複数の要因を反映して現在は「alopecia X(脱毛症X)」と総称されるようになった(MSD/Merck Veterinary Manual、2026-07-11確認)。毛周期が止まってしまう(hair cycle arrest)タイプの脱毛で、ホルモンの産生・毛包への作用の異常に遺伝的素因が関わると考えられているが、原因は完全には解明されていない。
ポメラニアンや北方系・密毛種(プラッシュコート)に多く、全身状態は元気なまま「見た目(被毛)」の問題として現れるのが特徴。ただし、かゆみを伴わない左右対称の脱毛は甲状腺機能低下症やクッシング症候群など他の内分泌疾患でも起こるため、これらを除外してから診断される。名前に「X」が付くとおり不確定要素が多く、原因・その後の見通しの断定は避けるべき疾患。治療の選択は獣医師の判断領域であり、本ページは受診判断の支援にとどめる。
好発品種(根拠の別)
いずれも家族集積・症例集積にもとづく「一般に好発と言われる」レベルで、確立した遺伝子検査はない。
- ポメラニアン(ポメラニアン): 旧称「成長ホルモン反応性脱毛」の代表犬種としてMSDにも明記される、最も知られた好発犬種。
- ミニチュア・プードル(プードル): 北方系以外で報告される代表例。
- シベリアン・ハスキー(シベリアン・ハスキー)/チャウチャウ/キースホンド/サモエド/アラスカン・マラミュート: 北方系・密毛種(プラッシュコート)に好発傾向。チャウチャウ・キースホンド・サモエド・アラスカン・マラミュートは本KB未収録。
飼い主が気づける徴候
- かゆみや赤み・かさぶたを伴わない、左右対称の脱毛(首・胴・しっぽ・太もも後面・お腹に出やすい)
- 顔と足先は毛が残りやすい
- 脱毛した皮膚が黒ずむ(色素沈着)
- 抜けたあとに綿毛のような柔らかい毛だけが残る/毛づやが落ちる
- 元気・食欲は普通のことが多い(体調不良ではなく「見た目」で気づく)
受診目安・予防
- 早めに受診: かゆみを伴わない左右対称の脱毛は、まず甲状腺機能低下症・クッシング症候群など他の内分泌疾患との鑑別が必要。原因の切り分けが第一歩。
- 予防・早期発見: 確立した遺伝子検査はないため、北方系・密毛種では被毛のボリューム低下や毛質の変化に早く気づくことが手がかり。
- 命に関わる病気ではないことが多いが、自己判断でサプリやホルモン剤を使わず、まず受診して診断を受けることが大切。本ページは治療の指南ではない。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、脱毛症Xと診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: かゆみや皮膚炎を伴わない、左右対称の脱毛(胴体・首・しっぽ・太もも後面・お腹)/顔と足先は毛が残りやすい など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(2件)
- 業界標準
ポメラニアン等で成長ホルモン反応性脱毛と呼ばれていた病態が、遺伝を含む複合的要因を反映してalopecia Xと呼ばれるようになった
- 査読論文
Welle MM. 2023, 総説(犬の非炎症性脱毛の分類・診断補助), Ve…
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。