甲状腺機能低下症
Hypothyroidism 対象: 犬 分類: 内分泌 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
直接の療法食対象ではない。体重管理の観点で食事内容の相談が行われることがある
家で気づけるサイン
- 元気消失・活動性の低下
- 食欲は増えていないのに体重が増える
- 左右対称の脱毛・毛づやの低下・毛が薄くなる(体幹や尾)
- 皮膚の乾燥・寒がるようになる
- 重度例では顔つきがむくむ
受診の目安
早めに受診(急変は少ないが、慢性徴候が続くため健診・血液検査で相談)
年齢の傾向
中〜高齢(概ね4〜10歳)に多い。中〜大型犬でやや多い傾向
なりやすいとされる犬種・猫種
- ゴールデン・レトリバー(疫学的関連)
- アメリカン・コッカー・スパニエル(疫学的関連)
- シェットランド・シープドッグ(疫学的関連)
- ダックスフンド(疫学的関連)
- ミニチュア・シュナウザー(疫学的関連)
- ドーベルマン(疫学的関連・大規模研究で最もリスクが高い犬種の一つ)
- ボクサー(疫学的関連)
- アイリッシュ・セター(疫学的関連)
この病気に触れている図鑑のページ
60件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。
犬種
アイリッシュ・ウォーター・スパニエル・アイリッシュ・セター・アイリッシュ・テリア・アザワク・アフガン・ハウンド・アメリカン・アキタ・アメリカン・スタッフォードシャー・テリア・アラスカン・マラミュート・イングリッシュ・セター・イングリッシュ・ポインター・ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル・ウェルシュ・テリア・エアデール・テリア・オールド・イングリッシュ・シープドッグ・キースホンド・クーバース・クランバー・スパニエル・グレート・デーン・ゴードン・セター・コリア・ジンドー・ドッグ・サモエド・サルーキ・シャー・ペイ・ジャーマン・ショートヘアード・ポインター・ジャーマン・ピンシャー・ジャーマン・ワイアーヘアード・ポインター・ジャイアント・シュナウザー・スキッパーキ・スパニッシュ・ウォーター・ドッグ・ダルメシアン・チェスキー・テリア・チベタン・マスティフ・チャウ・チャウ・トイ・マンチェスター・テリア・ドーベルマン・ドゴ・アルヘンティーノ・ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー・ノルウェジアン・エルクハウンド・グレー・バセンジー・ハンガリアン・ビズラ・ビアデッド・コリー・ファラオ・ハウンド・フィールド・スパニエル・ブービエ・デ・フランダース・プチ・バセット・グリフォン・バンデーン・ブラック・アンド・タン・クーンハウンド・ブリアード・ブリタニー・スパニエル・ブルマスティフ・プレサ・カナリオ・ベルジアン・シェパード・ドッグ・ボクサー・ポリッシュ・ローランド・シープドッグ・ホワイト・スイス・シェパード・ドッグ・マンチェスター・テリア・ローデシアン・リッジバック・ロットワイラー・ワイマラナー・秋田犬・土佐(トサ)
詳しい解説
甲状腺機能低下症(Hypothyroidism)
甲状腺ホルモンの分泌が慢性的に不足することで、全身の代謝が低下する内分泌疾患。犬で最も一般的な内分泌疾患の一つで、多くは自己免疫性のリンパ球性甲状腺炎や甲状腺の萎縮を背景に、数か月〜年単位でゆっくり進む。徴候が「加齢による衰え」と紛らわしく見過ごされやすいが、血液検査で評価できる。
好発品種
大規模疫学研究(O'Neill ら 2022, VetCompass)では、ドーベルマン・ボクサー・アメリカン・コッカー・スパニエル・シェットランド・シープドッグなどでリスクが高いと報告されている。MSD Veterinary Manual はゴールデン・レトリバー・ミニチュア・シュナウザー・ダックスフンド・アイリッシュ・セターなども好発として挙げる。いずれも「疫学的にその犬種で多い」というレベルの関連で、単一遺伝子の確定的な遺伝子検査が一般化しているわけではない。
飼い主が気づける徴候
- 元気がなく寝ている時間が増える、散歩を嫌がる
- 食事量は変わらないのに太る
- 体幹や尾を中心に左右対称に毛が薄くなる・抜ける、毛づやが悪い
- 皮膚が乾燥する、寒がる
- 重度例では顔がむくんだような表情になる
受診目安・予防
急に悪化する病気ではないため、上記の慢性徴候に気づいたら早めに動物病院へ相談する。診断は血液中の甲状腺ホルモンなどの検査で行う。中高齢では定期健診に甲状腺の項目を含めると早期発見につながる。体重・被毛・活動性の変化を家庭で記録しておくと、受診時の相談がスムーズになる。(具体的な治療内容は獣医師の判断による)
費用の目安
甲状腺機能低下症にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。
実際に支払われた金額から
| 対象 | 何の金額か | 金額 | 値の種類 | もとの表 |
|---|---|---|---|---|
| 犬全診療・柴 | 1年間にかかった総額 | 91,014円 | 平均 | p.23 図表2-2-11 |
| 犬全診療・柴 | 1年間にかかった総額 | 63,305円 | まんなかの値 | p.23 図表2-2-11 |
出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025
いつのデータか: もとの資料に、いつからいつまでを数えたかの記載がありません
読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています
動物病院の料金表から(項目ごと)
| 項目 | 金額 | この検査・処置を行っていない病院 | もとの表 |
|---|---|---|---|
| 甲状腺ホルモン(T4)検査犬猫共通 | 4,000円 | 7.3% | p.70(PDF p.75) |
「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。
出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)
いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です
読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります
この数字の読み方
金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。
病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、甲状腺機能低下症と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 元気消失・活動性の低下/食欲は増えていないのに体重が増える など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(2件)
- 確認日 2026-07-11
MSD Veterinary Manual: Hypothyroidism in…
MSD Veterinary Manual: Hypothyroidism in Animals(msdvetmanual.com/endocrine-system/the-thyroid-gland/hypothyroidism-in-animals、確認日2026-07-11)
- 確認日 2026-07-11
O'Neill DG ら 2022, 疫学コホート研究(VetCompass),…
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。