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慢性腎臓病

Chronic Kidney Disease (CKD) 対象: 犬・猫 分類: 腎泌尿器 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

診断後は腎臓ケアの食事管理が管理の柱の一つ。

家で気づけるサイン

  • 水をたくさん飲む・尿の量が増える(多飲多尿)
  • 体重が減る、食欲が落ちる
  • 元気がない、寝ている時間が増える
  • 嘔吐、脱水(皮膚の戻りが悪い)
  • 口臭が強い・口内炎、被毛のパサつき
  • ※初期(ステージ1〜2)は目立った症状が出にくい

受診の目安

早めに受診(多飲多尿・体重減少に気づいたら)。ぐったり・食べない・繰り返す嘔吐・強い脱水は当日受診

年齢の傾向

中〜高齢で有病率が上昇(おおむね5〜6歳以降)。老齢の猫では非常に多い。犬にもみられる

なりやすいとされる犬種・猫種

  • 特定品種の強い好発なし(加齢が主因・疫学的知見)
  • 純血種の遺伝性腎症(多発性嚢胞腎=ペルシャ系ほか)が二次的にCKDへ進むことはある

この病気に触れている図鑑のページ

4件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。

詳しい解説

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease, CKD)

慢性腎臓病は、腎臓の働きが数か月〜数年かけて少しずつ低下していく病気で、高齢の猫でもっとも多い慢性疾患の一つです(犬にもみられます)。腎臓は老廃物の排泄・水分バランス・血圧の調整などを担いますが、いったん失われた機能は元に戻らないとされます。有病率は5〜6歳以降で上昇し、老齢の猫では高頻度に認められます。

初期(IRISステージ1〜2)は目立った症状が出にくく、腎機能の75%以上が失われて初めて明らかなサインが現れることが多いとされます。だからこそ、症状が出る前の定期健診での早期把握が重要になります。

好発の背景(品種より加齢)

  • 特定品種の強い好発は知られていません。 最大の要因は加齢で、どの猫でも歳とともにリスクが高まります。
  • 一部の純血種では遺伝性・先天性の腎症が報告され、そうした基礎疾患が二次的にCKDへ進むことがあります(例: 多発性嚢胞腎ペルシャ系など)。ただしCKD全体としては加齢が主因です。

飼い主が気づける徴候

  • 水を飲む量・尿の量が増える(多飲多尿)。トイレの砂の塊が大きくなる
  • 体重が徐々に減る、食欲が落ちる
  • 元気がなく寝ていることが増える
  • 嘔吐、脱水(背中の皮膚をつまむと戻りが遅い)
  • 口臭が強くなる、口内炎、被毛のパサつき
  • ※初期は無症状のことが多い

受診目安・予防

  • 多飲多尿・体重減少に気づいたら早めに受診を。 進行してからでは対応の幅が狭まります。
  • ぐったり・まったく食べない・繰り返す嘔吐・強い脱水は当日受診
  • 中〜高齢の猫は年1回以上の健診で血液(クレアチニン・SDMA)・尿検査・血圧をチェックすると、無症状の早期段階で気づきやすくなります。
  • 診断後は腎臓ケアの食事管理が管理の柱の一つになります。方針は担当獣医師の診察に基づきます。
  • 本ページは受診判断の支援を目的とし、治療の選択は担当獣医師の診察に基づきます。

食事の考え方

診断がついたあと、食事の管理は柱のひとつになります。

この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。

腎臓の負担に関わる栄養素として、次のあたりが調整の対象になります。

何を なぜ見るか
リン 腎臓から出ていきにくくなるため、量を抑える設計が中心になります
たんぱく質 量と質の両方を見ます。減らせばよいという単純な話ではなく、痩せさせないこととの兼ね合いで決まります
ナトリウム 血圧との関係で配慮されます
オメガ3脂肪酸 魚油亜麻仁油に多く含まれ、腎臓ケアの設計に組み込まれることがあります

水を飲む量も食事と切り離せません。ウェットフードを組み合わせる、水飲み場を増やすといった工夫が、 食事の設計と並んで話題になります。

血液検査(クレアチニン・SDMA)と尿検査、血圧を見ながら続けるかどうかを判断していくため、 食事を変えたあとも定期的な受診が前提になります。

食事療法食(療法食)そのものの位置づけは 療法食、袋の読み方は 表示の読み方 にまとめています。

費用の目安

慢性腎臓病にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

実際に支払われた金額から

対象何の金額か金額値の種類もとの表
全診療・混血猫1年間にかかった総額44,866円平均p.50 図表2-2-92
全診療・混血猫1年間にかかった総額21,660円まんなかの値p.50 図表2-2-92
全診療・アメリカン・ショートヘアー1年間にかかった総額130,291円平均p.53 図表2-2-101
全診療・アメリカン・ショートヘアー1年間にかかった総額75,460円まんなかの値p.53 図表2-2-101

出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025

いつのデータか: もとの資料に、いつからいつまでを数えたかの記載がありません

読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています

動物病院の料金表から(項目ごと)

項目金額この検査・処置を行っていない病院もとの表
尿検査(比重・試験紙・沈渣)犬猫共通1,500円0.5%p.66(PDF p.71)
血圧測定犬猫共通1,500円31.4%p.71(PDF p.76)

「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。

出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)

いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です

読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、慢性腎臓病と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 水をたくさん飲む・尿の量が増える(多飲多尿)/体重が減る、食欲が落ちる など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(3件)

  • 業界標準確認日 2026-07-11

    IRIS Staging System

    血中クレアチニンとSDMAで4ステージに分類し、蛋白尿と血圧でサブステージ化する国際的な病期分類

    出典サイト

  • 業界標準確認日 2026-07-11

    Renal Dysfunction in Dogs and Cats

    5〜6歳以降で有病率が上昇し、紹介施設の老齢猫では最大60%。腎機能の75%以上が失われるまで明らかな症状が出にくい。多飲多尿・体重減少・食欲低下・嘔吐・脱水・口内潰瘍等を記載

    出典サイト

  • 査読論文確認日 2026-07-11

    Sparkes AH ほか, 2016, コンセンサスガイドライン, Journ…

    ISFM 猫CKD診断・管理コンセンサスガイドライン。高齢猫で最も多く診断される疾患の一つと位置づけ

    DOI 10.1177/1098612X16631234

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。

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