先天性感音難聴
Congenital Sensorineural Deafness 対象: 犬 分類: 神経・耳 最終更新: 2026-07-14
食事との関係
食事との直接の関係は知られていない
家で気づけるサイン
- 名前を呼んでも反応しない、音に無反応
- 大きな音・掃除機・拍手などに驚かない
- 眠っているとき近づいても気づかず、触れると過剰に驚く
- 片側性は気づかれにくい(音の方向がわかりにくい程度)
- 子犬で兄弟より噛みつき遊びが激しい・呼び戻しが効かない
受診の目安
生命に関わる進行はないため緊急ではない。ただし白毛/斑/マール/青眼の個体で疑ったら聴力評価(BAER検査)を。脱走・交通事故の予防など安全管理の観点から早期把握が望ましい
年齢の傾向
先天性(生まれつき)。子犬の聴覚は生後3〜4週で完成し、それ以降にBAER検査で判定できる。加齢に伴う難聴とは別
なりやすいとされる犬種・猫種
- ダルメシアン(犬種中で最高頻度。パイボールド斑・青い虹彩と関連。片側/両側を合わせ最大約30%との報告・Strain 2004)
- オーストラリアン・キャトル・ドッグ(白い被毛/斑と関連。有病率10.8%・うち両側性3.3%・Sommerlad 2012)
- ブル・テリア(白色個体で先天性難聴。家系的関連)
- イングリッシュ・セター(ベルトン=斑毛・ピーボールドの毛色と関連)
- イングリッシュ・コッカー・スパニエル(MSD/Strainが好発として記載・頻度は好発犬種中では低め)
- オーストラリアン・シェパード(マール×マール=ダブルマール交配で難聴・眼異常のリスク)
- ドゴ・アルヘンティーノ(白色被毛と関連・Strain 2021)
- ボストン・テリア/カタフーラ等(MSD記載)
詳しい解説
先天性感音難聴(Congenital Sensorineural Deafness)
先天性感音難聴は、生まれつき内耳(蝸牛)の感覚細胞がうまく発達・維持されないために起こる、生まれつきの聴覚障害です。多くは白色・斑(パイボールド)・マールといった被毛の色素パターンを作る遺伝と関連しており、色素が乏しい個体で発生しやすいことが知られています。片耳だけの片側性と、両耳の両側性があります。加齢に伴う難聴とは仕組みが異なります。
好発犬種の代表がダルメシアンで、難聴犬の多くが白色被毛の個体です。オーストラリアン・キャトル・ドッグやブル・テリア、イングリッシュ・セター(ベルトン)など、白色・斑の被毛を持つ犬種で報告されています。オーストラリアン・シェパードなどマールを持つ犬種では、マール×マール(ダブルマール)の交配で難聴・眼の異常のリスクが高まるとされます。なお、青い目の白毛の猫でも先天性の難聴が古くから知られています(本KBは犬種を対象に記載)。
好発品種(根拠の別を明記)
- ダルメシアン — 犬種中で最も高頻度。パイボールド斑・青い虹彩と関連(Strain 2004)。
- オーストラリアン・キャトル・ドッグ — 白い被毛/斑と関連(Sommerlad 2012: 有病率10.8%)。
- ブル・テリア・イングリッシュ・セター・イングリッシュ・コッカー・スパニエル — 白色・斑(ベルトン)の毛色と関連する好発犬種(MSD・Strain 2004)。
- オーストラリアン・シェパード — マール×マール交配(ダブルマール)で難聴・眼異常のリスク。
- ドゴ・アルヘンティーノ — 白色被毛と関連(Strain 2021)。
- ボストン・テリア ほか — MSDが好発として記載。カタフーラ等も知られる。
- いずれも「色素の乏しさ(白毛・青眼・斑・マール)」が共通の背景で、好発犬種以外でも起こりうる。
飼い主が気づける徴候
- 名前を呼んでも反応しない、音に無反応(片側性は気づかれにくい)
- 大きな音・掃除機・拍手・玩具の音に驚かない
- 眠っているときに近づいても気づかず、触れると過剰にびっくりする
- 呼び戻しが効かない、兄弟犬より噛みつき遊びが激しい(子犬)
- ※片側性は「音の方向がわかりにくい」程度で見逃されやすい
受診目安・予防
- 生命に関わる進行はないため緊急ではありません。 ただし気づかないと脱走・交通事故など安全面のリスクにつながります。
- 白毛/斑/マール/青眼の個体や好発犬種で難聴を疑ったら、BAER(脳幹聴性誘発反応)検査で片側/両側を確認できます(子犬期から判定可能)。
- 繁殖ではダブルマール(マール×マール)交配を避けることが予防とされます。
- 難聴があっても、視覚(ハンドサイン)・振動・触覚での合図や、背後から驚かせない配慮で十分に暮らせるとされます。
- 本ページは受診・生活管理の判断を助けることを目的とし、診断は担当獣医師の診察に基づきます。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、先天性感音難聴と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 名前を呼んでも反応しない、音に無反応/大きな音・掃除機・拍手などに驚かない など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(3件)
- 業界標準確認日 2026-07-14
Deafness in Dogs
灰青色や白色の被毛パターンの犬に難聴がみられ、ダルメシアン・ブルテリア・オーストラリアンヒーラー(=キャトルドッグ)・カタフーラ・イングリッシュコッカースパニエル・パーソンラッセルテリア・ボストンテリア等が好発。生後3〜4週未満では検出が難しく、電子的検査(聴力検査)が推奨されると記載
- 査読論文確認日 2026-07-14
Strain GM, 2004, 有病率調査(cross-sectional p…
好発犬種(ダルメシアン・イングリッシュセター・イングリッシュコッカースパニエル・ブルテリア・オーストラリアンキャトルドッグ等)で難聴を検査。ダルメシアンで最も高頻度、難聴犬の94〜96%が白色被毛。品種横断の有病率は2.41〜29.87%
- 査読論文確認日 2026-07-14
Sommerlad SF ほか, 2012, 有病率調査, BMC Veteri…
オーストラリアン・キャトル・ドッグ899頭で先天性感音難聴の有病率10.8%(片側7.5%・両側3.3%)。顔のマスク斑・体の斑があると難聴リスクが低く、メスでリスクが高い
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。