毛球症
Trichobezoar (Hairball) 対象: 猫 分類: 消化器 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
繊維を調整した毛玉ケア用フードが毛の排出補助に用いられることがある(日常のケア食であり療法食ではない)。過度なグルーミングが背景なら、食事より皮膚科的な原因検索が優先される
家で気づけるサイン
- チューブ状の湿った毛のかたまりを吐き戻す
- 吐こうとして空えずき(からえずき)を繰り返す
- 食欲・元気の低下、便秘(便に毛が混じる)
- ※時々の吐き戻しで自然に治まることが多い
- 頻回・慢性化する場合は、消化管の動きの低下や皮膚トラブル(過度なグルーミング)が背景にあることがある
受診の目安
定期観察 — ただし空えずきの反復・食欲廃絶・便秘・元気消失を伴えば当日受診(消化管閉塞の疑い)
年齢の傾向
全年齢。長毛種・換毛期・グルーミングが増える時期に頻度が上がりやすい
なりやすいとされる犬種・猫種
- ラグドール(長毛・被毛の長さから広く知られている範囲の情報)
- サイベリアン(長毛・トリプルコートで飲み込む毛の量が多い。広く知られている範囲の情報)
- ノルウェージャン・フォレスト・キャット(長毛ダブルコート・広く知られている範囲の情報)
- ラガマフィン(長毛・広く知られている範囲の情報)
- ペルシャ/メインクーン等(長毛の代表例)
- ※品種特異的な遺伝病ではなく、被毛長・過度なグルーミング・消化管の動きの低下が主因
この病気に触れている図鑑のページ
6件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。
詳しい解説
毛球症(Trichobezoar / Hairball)
毛球症は、グルーミング(毛づくろい)で飲み込んだ毛が消化されずに胃の中でからまり、塊(毛球・trichobezoar)となる状態です。多くの猫では、たまった毛をチューブ状のかたまりとして吐き戻すことで自然に排出され、大きな問題にはなりません。一方で、まれに毛球が大きく硬くなって胃や腸を刺激・閉塞し、命に関わることがあります。
毛球そのものは病気というより「日常のできごと」に近い現象です。ただし頻度が高い・慢性化している場合は、その裏に別の問題(消化管の動きの低下、過度なグルーミングを招く皮膚のかゆみや食物不耐性など)が隠れていることがあります(Cannon 2013)。ここを見落とさないでください。
好発の背景(品種より被毛長・グルーミング)
- 毛球症は特定品種の遺伝病ではなく、被毛の長さ・量と、グルーミングの多さが主な要因です。
- ラグドール・サイベリアン・ノルウェージャン・フォレスト・キャット・ラガマフィン など長毛・厚い被毛の猫は、飲み込む毛が多く頻度が上がりやすい(被毛の長さに基づく、広く知られている範囲の情報)。
- ペルシャ・メインクーン等 も長毛の代表例。
- 逆に、短毛猫で毛球の吐き戻しが頻回な場合は、皮膚のかゆみ(過度なグルーミング)や消化管の不調など基礎疾患のサインとして注意が必要とされます(Cannon 2013)。
飼い主が気づける徴候
- チューブ状の湿った毛のかたまりを吐き戻す
- 吐こうとして空えずき(からえずき)を繰り返すが、何も出ない
- 食欲・元気の低下、便秘(便に毛が混じる)
- 換毛期にグルーミングや吐き戻しが増える
- ※ときどきの吐き戻しは多くの猫でみられ、それだけでは異常とは限らない
受診目安・予防
- 空えずきを繰り返す/食べられない・飲めない/便秘や元気消失を伴う場合は当日受診(消化管閉塞の疑い)。
- 毛球の吐き戻しが月に何度も・慢性的に続くときは、単なる毛球で片付けず、消化管や皮膚の基礎疾患がないか獣医師に相談を。
- 予防の基本はこまめなブラッシング(長毛種・換毛期は頻度を上げる)で、飲み込む毛の量を減らすこと。
- 繊維を調整した毛玉ケア用フードが排出の補助に用いられることがありますが、過度なグルーミングが背景なら、まず皮膚科的な原因検索が優先されます。
- 本ページは受診判断の支援を目的とし、治療の選択は担当獣医師の診察に基づきます。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、毛球症と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: チューブ状の湿った毛のかたまりを吐き戻す/吐こうとして空えずき(からえずき)を繰り返す など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(3件)
- 業界標準確認日 2026-07-11
Managing Hairballs in Cats
毛は消化されず胃内で塊(毛球/trichobezoar)を作り、長毛種で飲み込む毛が多い。多くは吐出されるが、まれに消化管閉塞を起こしうると記載
- 業界標準確認日 2026-07-11
Trichobezoars in Cats
過度なグルーミング(皮膚疾患・ストレス)や消化管運動の低下でリスク増。持続的な嘔吐・腹痛・便秘、飲食できない場合は閉塞を疑い受診が必要と記載
- 査読論文確認日 2026-07-11
Cannon M, 2013, 総説(review), J Feline Med…
頻回の毛球、とくに短毛猫での高頻度は、飲み込む毛の増加や消化管運動の変化をもたらす基礎疾患(かゆみ性皮膚疾患・食物不耐性等)のサインでありうると指摘
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。