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膵炎

Pancreatitis 対象: 犬・猫 分類: 消化器 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

低脂肪の食事管理が中心的に関わる(犬では重度の高中性脂肪血症がリスク因子。)

家で気づけるサイン

  • 繰り返す嘔吐(犬で目立ちやすい)
  • 食欲不振・元気がない
  • 腹痛(前足を伸ばしてお尻を上げる“祈りのポーズ”をとることがある)
  • 下痢・脱水
  • 猫では嘔吐が目立たず、食欲不振・元気消失・体重減少など漠然とした不調が中心のことがある

受診の目安

当日受診(激しい嘔吐の反復・強い腹痛・ぐったり・脱水があれば緊急(夜間救急)。猫は症状が漠然としやすく悪化に気づきにくいので注意)

年齢の傾向

明確な年齢・性別素因は確立されていない(中年齢以降の犬で報告が多いとされる・一般値)。猫でも年齢・性差の素因は知られていない

なりやすいとされる犬種・猫種

詳しい解説

膵炎(Pancreatitis)

消化酵素をつくる膵臓が炎症を起こす病気。軽症から命に関わる重症まで幅があり、犬・猫どちらにも起こる。犬では嘔吐や腹痛が比較的はっきり出る一方、猫では食欲不振や元気消失など漠然とした不調にとどまりやすく、飼い主が気づきにくい点が重要なポイント。原因は特定できないことも多いが、犬では高脂肪の食事や重度の高中性脂肪血症などが関与しうる。

急に激しく発症する場合と、慢性的にくすぶる場合がある。「たまに吐く」「なんとなく食欲がない」が続くときは、この病気が隠れていることがある。

好発品種(根拠の別)

MSD Veterinary Manual は、ミニチュア・シュナウザーが「著明に過剰発生」し、ヒトの遺伝性膵炎の家系に似た遺伝的素因をもつ可能性があると記載する(同品種は家族性の高中性脂肪血症を起こしやすいことと関連するとされる)。ヨークシャー・テリア、コッカー・スパニエル、ダックスフンドプードル、そり犬などでも発生の増加が報告されている(いずれも疫学的傾向)。猫では明確な年齢・性別の素因は知られていないが、シャム猫が過剰発生の可能性があるとされる。裏付けの取れない品種名は挙げていない。

飼い主が気づける徴候

  • 繰り返す嘔吐(犬で目立ちやすい)
  • 食欲不振・元気がない
  • 腹痛。前足を伸ばしてお尻を高く上げる“祈りのポーズ”をとることがある
  • 下痢・脱水
  • 猫では嘔吐が目立たず、食欲不振・じっとして動かない・体重減少など漠然とした不調が中心のことがある

受診目安・予防

激しい嘔吐を繰り返す、強い腹痛でお腹を触られるのを嫌がる、ぐったりして脱水している場合は当日受診、悪化が急な場合は夜間救急を検討する。猫は症状が控えめで悪化に気づきにくいため、食欲不振や元気のなさが続く時点で受診したい。予防としては、犬では急な高脂肪食や脂っこい人の食べ物の一気食いを避け、肥満を管理すること、好発品種や高脂血症のある犬は健診で血中脂質を確認しておくことが早期発見に役立つ。食事管理は低脂肪が中心となるが、具体的な治療・食事処方は獣医師の診察に委ねる(本項では扱わない)。

食事の考え方

脂肪の量を抑えることが、この病気の食事管理の中心です。

この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。

何を なぜ見るか
脂肪 膵臓を働かせる引き金になるため、低脂肪の設計が要点になります
消化のよさ 負担を減らすため、消化されやすい形の原材料が選ばれます
食物繊維 溶けるものと溶けないもののバランスが調整されます

人の食べ物、とくに脂の多いもの(揚げ物・バター・脂身)を分け与えることが 引き金になる場合があります。イベントや来客の多い時期は特に注意が向けられます。

急性の症状が出ているあいだの食事の進め方は、状態によって大きく変わります。 自宅で判断せず、必ず獣医師の指示に従ってください。

食事療法食(療法食)そのものの位置づけは 療法食、袋の読み方は 表示の読み方 にまとめています。

費用の目安

膵炎にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

実際に支払われた金額から

対象何の金額か金額値の種類もとの表
全診療・トイ・プードル1,891頭の記録1年間にかかった総額93,280円平均p.20 図表2-2-2(トイ・プードル)
全診療・トイ・プードル1,891頭の記録1年間にかかった総額58,848円まんなかの値p.20 図表2-2-2(トイ・プードル)
全診療・ミニチュア・ダックスフンド414頭の記録1年間にかかった総額88,564円平均p.24 図表2-2-14(ミニチュア・ダックスフンド)
全診療・ミニチュア・ダックスフンド414頭の記録1年間にかかった総額54,425円まんなかの値p.24 図表2-2-14(ミニチュア・ダックスフンド)
全診療・ヨークシャー・テリア279頭の記録1年間にかかった総額99,362円平均p.27 図表2-2-23(ヨークシャー・テリア)
全診療・ヨークシャー・テリア279頭の記録1年間にかかった総額66,864円まんなかの値p.27 図表2-2-23(ヨークシャー・テリア)
全診療・ミニチュア・ピンシャー80頭の記録1年間にかかった総額116,589円平均p.38 図表2-2-56(ミニチュア・ピンシャー)
全診療・ミニチュア・ピンシャー80頭の記録1年間にかかった総額76,824円まんなかの値p.38 図表2-2-56(ミニチュア・ピンシャー)

出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025

いつのデータか: もとの資料に、いつからいつまでを数えたかの記載がありません

読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、膵炎と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 繰り返す嘔吐(犬で目立ちやすい)/食欲不振・元気がない など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(1件)

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。

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