犬猫小町(準備中)

高脂血症

Hyperlipidemia 対象: 犬 分類: 内分泌・代謝 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

低脂肪の食事管理が中心的に関わる

家で気づけるサイン

  • 外見上の徴候は乏しく、健診の血液検査で偶発的に見つかることが多い
  • 重度で膵炎を併発した場合は嘔吐・腹痛・食欲不振
  • まれに皮膚の黄色い隆起(黄色腫)や眼の変化

受診の目安

早めに受診(健診で指摘されたら絶食後の再検査を相談。嘔吐・腹痛を伴う場合は当日受診)

年齢の傾向

原発性は若〜中年齢から。加齢で悪化する傾向。続発性は基礎疾患の発症年齢に依存

なりやすいとされる犬種・猫種

詳しい解説

高脂血症(Hyperlipidemia)

血液中の脂質(中性脂肪=トリグリセリド、コレステロール)が高い状態。食後の一時的な上昇は正常だが、空腹時にも持続して高い場合は異常とされる。犬種特有の体質による「原発性(家族性)」と、甲状腺機能低下症・クッシング症候群・糖尿病などに続く「続発性」に大別される。多くは無症状で健診の血液検査で見つかるが、重度の高トリグリセリド血症は膵炎の誘因になりうると報告されている。

好発品種

日本の犬を対象にした犬種間比較研究(Mori ら 2010)では、ミニチュア・シュナウザーシェットランド・シープドッグで血中脂質が顕著に高いと報告された。ミニチュア・シュナウザーは原発性(家族性)高脂血症の代表犬種として最初に記載された犬種で、総説(Xenoulis & Steiner 2010)でも体質性の高脂血症が多いとされる。ビーグルなども好発として挙げられることがある。いずれも疫学的・体質的な関連で、確定的な単一遺伝子検査が一般化しているわけではない。

飼い主が気づける徴候

  • 多くは無症状で、健診や別件の血液検査で偶然見つかる
  • 重度で膵炎を併発すると、嘔吐・元気消失・おなかを痛がる姿勢・食欲不振
  • まれに皮膚に黄色い小さな隆起(黄色腫)ができる、眼の角膜が白く濁る

受診目安・予防

健診で脂質高値を指摘されたら、正確な評価のため12時間絶食後の再検査を相談する。嘔吐・腹痛など膵炎を疑う症状があるときは当日受診する。予防・早期発見には空腹時の血中脂質検査が有効で、好発犬種では若齢からの定期確認が勧められる。基礎疾患による続発性を除外するための検査が行われることもある。(具体的な食事内容・治療は獣医師の判断による)

食事の考え方

脂肪の量を抑えることが、この状態の食事管理の中心です。

この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。

何を なぜ見るか
脂肪 血液中の脂質に直結するため、低脂肪の設計が要点になります
食物繊維 脂質の吸収に関わるため、量が調整されることがあります
カロリー 太っている場合は減量も並行します

人の食べ物、とくに揚げ物やバター、肉の脂身を分け与えることが積み重なると管理が難しくなります。 おやつも含めて、脂の入り口すべてを見直す形になります。

この状態は膵炎の背景になることがあり、 その場合は低脂肪の設計がいっそう重要になります。

食事療法食(療法食)そのものの位置づけは 療法食、袋の読み方は 表示の読み方 にまとめています。

費用の目安

高脂血症にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

実際に支払われた金額から

対象何の金額か金額値の種類もとの表
全診療・ミニチュア・シュナウザー243頭の記録1年間にかかった総額59,084円平均p.26 図表2-2-20(ミニチュア・シュナウザー)
全診療・ミニチュア・シュナウザー243頭の記録1年間にかかった総額29,040円まんなかの値p.26 図表2-2-20(ミニチュア・シュナウザー)
全診療・ビション・フリーゼ28頭の記録・少なく相場とは言えません1年間にかかった総額60,551円平均p.41 図表2-2-65(ビション・フリーゼ)
全診療・ビション・フリーゼ28頭の記録・少なく相場とは言えません1年間にかかった総額25,303円まんなかの値p.41 図表2-2-65(ビション・フリーゼ)
全診療・シェットランド・シープドッグ84頭の記録1年間にかかった総額64,513円平均p.44 図表2-2-74(シェットランド・シープドッグ)
全診療・シェットランド・シープドッグ84頭の記録1年間にかかった総額34,494円まんなかの値p.44 図表2-2-74(シェットランド・シープドッグ)

出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025

いつのデータか: もとの資料に、いつからいつまでを数えたかの記載がありません

読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、高脂血症と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 外見上の徴候は乏しく、健診の血液検査で偶発的に見つかることが多い/重度で膵炎を併発した場合は嘔吐・腹痛・食欲不振 など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(2件)

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。