食事の基本
栄養基準・給餌量
最終更新: 2026-07-12
栄養基準・給餌量
総合栄養食が満たすべき養分基準(AAFCO / FEDIAF)と、1日の給餌カロリーを求める標準式(RER / DER)。フードを選ぶとき・与える量を決めるときの、計算の土台になる数値。数値はいずれも栄養「基準」であり、フードの効能を保証・断定するものではない(薬機法・景表法。)。
1. 栄養基準テーブル(AAFCO / FEDIAF)
| standard | scope | key_values | jp_relation |
|---|---|---|---|
| AAFCO Dog Food Nutrient Profiles | 犬・成長/繁殖 | 粗タンパク 22.5% / 粗脂肪 8.5% / Ca 1.2% / P 1.0%(乾物基準・最低値) | 公取協の総合栄養食基準はAAFCOを基礎に規定(→ categories.md) |
| AAFCO Dog Food Nutrient Profiles | 犬・維持 | 粗タンパク 18.0% / 粗脂肪 5.5% / Ca 0.5% / P 0.4%(乾物基準・最低値) | 同上 |
| AAFCO Cat Food Nutrient Profiles | 猫・成長/繁殖 | 粗タンパク 30.0% / 粗脂肪 9.0% / Ca 1.0% / P 0.8% / タウリン 0.10%(押出)・0.20%(缶) | 同上 |
| AAFCO Cat Food Nutrient Profiles | 猫・維持 | 粗タンパク 26.0% / 粗脂肪 9.0% / Ca 0.6% / P 0.5% / タウリン 0.10%(押出)・0.20%(缶) | 同上 |
| FEDIAF Nutritional Guidelines (2021) | 犬・猫 | 欧州の栄養基準。犬はエネルギー基準 95 または 110 kcal/kg^0.75、猫は 75 または 100 kcal/kg^0.67 を前提に最低値を規定。最低値だけでなく一部に上限値も設定 | AAFCO/NRCと概ね整合。日本の実務ではAAFCOと並ぶ参照基準 |
乾物基準(DM basis)の注意: AAFCO値はすべて水分を除いた乾物あたり。一方フードのパッケージ「成分表示(保証分析値)」は水分込みの給与状態(as-fed)で書かれる。両者は水分量ぶんズレるため、ラベル値とAAFCO最低値を直接比べない(乾物換算が必要)。
AAFCO 養分基準(乾物基準・最低値の一覧)
| 対象 | ライフステージ | 粗タンパク | 粗脂肪 | カルシウム | リン | Ca:P比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 犬 | 成長・繁殖 | 22.5% | 8.5% | 1.2% | 1.0% | 1:1〜2:1 |
| 犬 | 維持 | 18.0% | 5.5% | 0.5% | 0.4% | 1:1〜2:1 |
| 猫 | 成長・繁殖 | 30.0% | 9.0% | 1.0% | 0.8% | — |
| 猫 | 維持 | 26.0% | 9.0% | 0.6% | 0.5% | — |
- 猫のタウリンは必須(体内合成が乏しい): 押出(ドライ/エクストルーデッド)0.10%、缶(ウェット)0.20%(乾物基準・成長/維持とも同値)。缶の値が高いのは加工・原料での損失分を見込むため。
- 猫は「必須アミノ酸・アラキドン酸・ビタミンA・タウリン」を食事から摂る必要があり、犬用フードで代替できない(真性肉食動物の特徴)。犬猫でタンパク最低値が大きく異なる(維持: 犬18% vs 猫26%)のもこのため。
- 上表は代表的マクロ栄養素のみ。微量ミネラル・ビタミンにも各最低値(一部に上限)が規定される。詳細はAAFCO/FEDIAF原典を参照。
2. 給餌量計算(RER / DER)
給餌カロリーは「安静時エネルギー要求量(RER)」を基に、状態別の係数を掛けて「1日エネルギー要求量(DER=MER)」を求める。RER式は犬猫共通(WSAVA / Pet Nutrition Alliance)。
RER (kcal/日) = 70 × 体重(kg)^0.75
DER (kcal/日) = RER × 係数(下表)
- 簡易式(体重 2〜45kg の近似): RER ≒ 30 × 体重(kg) + 70。指数式が正、簡易式は暗算用の近似。
- 例: 体重5kgの避妊済み成猫 → RER = 70 × 5^0.75 ≒ 234 kcal → DER = 234 × 1.2 ≒ 281 kcal/日。
DER 係数表(× RER・Pet Nutrition Alliance)
| 状態 | 犬 | 猫 |
|---|---|---|
| 入院・クリティカルケア | 1.0 | 1.0 |
| 減量・肥満傾向 | 1.0 | 0.8〜1.0 |
| 太りやすい・不活発 | 1.2〜1.4 | 1.0 |
| 避妊・去勢済みの成犬/成猫 | 1.6 | 1.2 |
| 未避妊・未去勢の成犬/成猫 | 1.8 | 1.4 |
| 妊娠 | 1.6〜2.0 | 2〜3 |
| 授乳 | 2〜6 | 2〜6 |
| 成長期(子犬・子猫) | 2〜3 | 2〜3 |
- 妊娠期の増え方は種で異なる(犬は第3期に増加、猫は妊娠を通じ漸増)。成長期の係数は幼齢ほど高く、4か月齢ごろから低下していく(犬種・体格差あり)。
notes(給餌量の前提)
- これは開始点であって処方ではない。個体差は予測値から最大±50%あり得るため、算出値で与えたあとは体重・ボディコンディションスコア(BCS)で増減調整する(Pet Nutrition Alliance 原典が明記)。
- 実務では「現在の食事量+BCS」を出発点にする方法もある。
- 減量プログラム・疾患時のカロリー設計は自己判断で急がず、獣医師の管理下で段階的に行う(→ therapeutic.md)。急激なカロリー制限は避ける(猫では絶食・急激な減量が 肝リピドーシス の誘因として知られるため)。
3. 疾患・状態との接続(詳細は各ページへ)
栄養基準・給餌量の「考え方」が接続する領域のみポインタを置く。個別の食事療法の設計・適応判断は療法食側で扱い、ここでは治療指南を書かない。
このページは受診や診断の代わりにはなりません。迷ったとき、いつもと違うと感じたときは、 かかりつけの獣医師に相談してください。