糖尿病
Diabetes Mellitus 対象: 犬・猫 分類: 内分泌 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
— 食事管理(猫では高たんぱく低炭水化物など)が管理の柱の一つ。内容・切替は獣医師の指示による
家で気づけるサイン
- 水をたくさん飲む(多飲)
- おしっこの量・回数が増える(多尿)
- よく食べるのに体重が減る(猫では食欲が落ちることもある)
- 元気がない、毛づやが悪い
- 後ろ足のかかとを地面につけて歩く(猫の神経障害・蹠行姿勢)
- 目が白く濁る(犬の白内障)
受診の目安
早めに受診 — 多飲多尿・体重減少は早めに。ぐったり・嘔吐・呼吸が荒い(ケトアシドーシス疑い)は緊急(夜間救急)
年齢の傾向
中高年齢での発症が多い(猫は7歳以上でリスク上昇)。犬・猫とも中年以降に多い
なりやすいとされる犬種・猫種
- バーミーズ(猫・遺伝的関連の報告/豪州・NZ・欧州)
- ※最大のリスクは肥満・加齢・運動不足で、品種好発は限定的。特定KB内品種の強い好発なし
この病気に触れている図鑑のページ
7件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。
詳しい解説
糖尿病(Diabetes Mellitus)
糖尿病は、膵臓のインスリンが不足する、あるいは効きにくくなることで血糖をうまく細胞に取り込めなくなり、血糖値が高い状態が続く病気です。犬でも猫でも起こります。血糖が高くなると尿に糖が漏れ出し、たくさん飲んでたくさん出す(多飲多尿)、よく食べるのに痩せるといった変化が現れます。
猫では肥満が最大のリスクで、適正体重の猫にくらべ最大4倍発症しやすいと報告されています。加齢(7歳以上)、運動不足、オス・去勢個体でもリスクが上がります。品種としてはバーミーズで遺伝的な関連が報告されていますが、品種好発は限定的で、環境・体格・加齢の要因が中心です。
好発の背景
- バーミーズ(猫) — 豪州・ニュージーランド・欧州の研究で発症率が高いと報告され、遺伝的素因が示唆されています(ISFM 2015)。
- 肥満・加齢・運動不足が最大のリスク因子です。特定のKB内品種に強い好発は知られていません。犬・猫とも中年以降に多く、どの子でも起こりえます。
飼い主が気づける徴候
- 水を飲む量が増える(多飲)
- おしっこの量・回数が増える、猫トイレの砂の固まりが大きくなる(多尿)
- よく食べるのに体重が減る(猫では逆に食欲が落ちることもある)
- 元気がない、毛づやが悪くなる
- 後ろ足のかかとを床につけてペタペタ歩く(猫の神経障害・蹠行姿勢)
- 目が急に白く濁る(犬の白内障)
受診目安・予防
- 多飲多尿・体重減少に気づいたら、早めに受診して血糖・尿の検査を。
- ぐったりして食べない・吐く・呼吸が荒いときは、重い合併症(ケトアシドーシス)の疑いがあり緊急です。夜間でも救急対応のできる病院へ。
- 予防の要は適正体重の維持と運動。肥満を避けることが最も効果的とされます。
- 中高齢では健診での血糖・尿糖チェックが早期発見に役立ちます(猫は緊張で一時的に血糖が上がることがあり、必要に応じ再検査で区別します)。
- 食事管理は管理の柱の一つですが、内容や切り替えは獣医師の指示によります。
- 本ページは受診判断の支援を目的とし、治療の選択は担当獣医師の診察に基づきます。
食事の考え方
犬と猫で設計の方向が違います。 ここがこの病気の食事管理の特徴です。
この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。
| 設計の考え方 | |
|---|---|
| 犬 | 食物繊維を高めて、食後の血糖の上がり方をゆるやかにする。複合炭水化物を使う |
| 猫 | たんぱく質を高め、炭水化物を抑える方向の設計がとられます |
もうひとつ大事なのが与えるタイミングを一定に保つことです。 インスリンを使っている場合、食事の時間と量が日によってばらつくと管理が難しくなります。
体重の管理も並行します。太っている場合は減らす方向に、 痩せてきている場合は増やす方向に、獣医師が目標を決めます。
費用の目安
糖尿病にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。
実際に支払われた金額から
| 対象 | 何の金額か | 金額 | 値の種類 | もとの表 |
|---|---|---|---|---|
| 猫全診療・猫全体10歳以上 | 1年間にかかった総額 | 185,402円 | 平均 | p.63 図表2-3-8(10歳以上) |
| 猫全診療・猫全体10歳以上 | 1年間にかかった総額 | 141,883円 | まんなかの値 | p.63 図表2-3-8(10歳以上) |
| 犬全診療・トイ・プードル | 1年間にかかった総額 | 222,394円 | 平均 | p.20 図表2-2-2 |
| 犬全診療・トイ・プードル | 1年間にかかった総額 | 175,303円 | まんなかの値 | p.20 図表2-2-2 |
出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025
いつのデータか: 2023年4月から2024年3月までに保険の契約を始めた犬と猫の記録です。通院・入院・手術をあわせた金額です
いつのデータか: もとの資料に、いつからいつまでを数えたかの記載がありません
読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています
この数字の読み方
金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。
病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、糖尿病と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 水をたくさん飲む(多飲)/おしっこの量・回数が増える(多尿) など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(2件)
- 査読論文確認日 2026-07-11
Sparkes AH, Cannon M, Church D ほか(ISFM),…
猫のリスク因子として肥満(適正体重の猫の最大4倍)、7歳超の加齢、バーミーズ種、オス・去勢、運動不足を記載。典型症状は多飲多尿・多食・体重減少
- 業界標準確認日 2026-07-11
Diabetes Mellitus in Dogs and Cats
犬猫共通の主徴は多食・多飲多尿・体重減少。犬は白内障、猫は糖尿病性神経障害(蹠行)を生じうると記載
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。