悪性リンパ腫
Lymphoma 対象: 犬・猫 分類: 腫瘍 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
特定の食事が原因・治療の柱となる関連は確立していない(食欲・体重維持の観点で獣医師が食事を指導する場合がある)
家で気づけるサイン
- あご下・脇の下・膝の裏など体の表面のリンパ節が痛みなく左右対称に腫れる(多中心型・犬に最多)
- 元気がない・食欲が落ちる・体重が減る
- 嘔吐・下痢・食欲不振(消化器型・猫に多い)
- 呼吸が速い・咳・動きたがらない(縦隔型で胸に水がたまる場合)
- 水をよく飲み尿量が増える(多飲多尿)
受診の目安
早めに受診(体の表面のしこり=リンパ節腫大に気づいたら数日内に)。呼吸が速い・苦しそう・まったく食べられない・急に衰弱した場合は緊急(夜間救急)
年齢の傾向
犬は中〜高齢(6〜9歳が中心)。猫は高齢の消化器型が多い一方、シャム系の縦隔型は若齢(2歳未満)に多いなど、型により幅がある
なりやすいとされる犬種・猫種
- ゴールデン・レトリバー(犬・疫学的関連・北米で生涯リスクが高いと報告)
- アメリカン・コッカー・スパニエル(犬・疫学的関連)
- ブルドッグ(犬・疫学的関連)
- ボクサー(犬・T細胞型に好発・遺伝環境研究あり)
- バセット・ハウンド(犬・疫学的関連)
- ロットワイラー(犬・疫学的関連)
- セント・バーナード(犬・疫学的関連)
- エアデール・テリア(犬・疫学的関連)
- シャム(猫・若齢の縦隔型に好発・遺伝性示唆)
- オリエンタル(猫・縦隔型に好発・遺伝性示唆)
この病気に触れている図鑑のページ
9件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。
詳しい解説
悪性リンパ腫(Lymphoma)
リンパ球(白血球の一種)ががん化し、リンパ節をはじめ全身のリンパ組織や臓器で増殖する腫瘍。犬・猫のどちらにも比較的多くみられる。犬では全身のリンパ節が腫れる「多中心型」が最も多く(全体の80〜85%)、ほかに消化管に生じる消化器型、胸の中(縦隔)に生じる縦隔型、皮膚・腎臓・神経など特定部位の節外型に分けられる(Merck Vet Manual)。猫では消化器型(消化管型)が多い一方、FeLV(猫白血病ウイルス)感染や品種が関与する縦隔型もみられる。
多中心型の犬では、あご下や脇などのリンパ節が痛みを伴わずに急速に腫れることが最初のサインになりやすい。
好発品種(根拠の別)
犬ではゴールデン・レトリバー、ボクサー、バセット・ハウンド、ロットワイラー、アメリカン・コッカー・スパニエル、セント・バーナード、エアデール・テリア、ブルドッグなどで好発が知られる(疫学的関連)。なかでもゴールデン・レトリバーは北米で生涯リスクが高いと報告され、ボクサーはT細胞型リンパ腫に好発することが遺伝・環境要因の研究で示されている(PMC7517848)。猫では、若齢・FeLV陽性・シャム種に関連する縦隔型リンパ腫が知られ、シャムやオリエンタルなどのシャム系品種では遺伝性が示唆される若齢発症例が報告される(J Feline Med Surg 2014, PMID 24366846)。裏付けの取れない品種名は挙げていない。
飼い主が気づける徴候
- あご下・脇の下・膝の裏など、体の表面のリンパ節が痛みなく左右対称にしこりとして腫れる(多中心型・犬に最多)
- 元気がない・食欲が落ちる・体重が減る
- 嘔吐・下痢・食欲不振(消化器型。猫に多い)
- 呼吸が速い・咳・動きたがらない(縦隔型で胸に水がたまる場合)
- 水をよく飲み、尿量が増える(多飲多尿)
体の表面のリンパ節の腫れは、あごの下や膝の裏側を軽く触れると気づきやすい。
受診目安・予防
体の表面のしこり(リンパ節の腫れ)に気づいたら、痛みがなくても数日内に受診する。呼吸が速い・苦しそう、まったく食べられない、急に衰弱したといった場合は緊急(夜間救急)で受診する。確立した予防法はないが、体の表面リンパ節を日頃から触ってしこりや左右差を早期に見つけること、猫ではFeLV/FIVの検査とFeLVワクチンで感染に関連するリスクを下げることが挙げられる。診断(細胞診・病理・型分類)や治療方針は獣医師の診察に委ねる(本項では治療内容は扱わない)。
費用の目安
悪性リンパ腫にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。
動物病院の料金表から(項目ごと)
| 項目 | 金額 | この検査・処置を行っていない病院 | もとの表 |
|---|---|---|---|
| 細胞診(採取料)犬猫共通 | 750円 | 7.4% | p.67(PDF p.72) |
| 細胞診(検査料)犬猫共通 | 4,000円 | 8.8% | p.68(PDF p.73) |
| 組織診(切除・生検針)犬猫共通 | 8,750円 | 20.8% | p.68(PDF p.73) |
| 骨髄検査(採取料)犬猫共通 | 8,750円 | 57.2% | p.68(PDF p.73) |
| 骨髄検査(検査料)犬猫共通 | 11,250円 | 57.7% | p.69(PDF p.74) |
| 抗がん剤投与A犬猫共通 | 8,800円 | — | 別表2(小動物診療料金表) |
| 抗がん剤投与B犬猫共通 | 11,000円 | — | 別表2(小動物診療料金表) |
「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。
出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)
いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です
読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります
出典: 鳥取大学農学部附属動物医療センター諸料金規則 別表2(小動物診療料金表)
いつのデータか: 2026年4月1日から適用されている、規則に定められた料金です
読むときの注意: 1つの大学病院が公表している料金で、全国の相場ではありません。大学病院は紹介を受けて専門的な診療を行う施設なので、ふだんの動物病院とは料金の決め方も、診る症例の重さも違います。消費税込みの金額です
この数字の読み方
金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。
病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、悪性リンパ腫と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: あご下・脇の下・膝の裏など体の表面のリンパ節が痛みなく左右対称に腫れる(多中心型・犬に最多)/元気がない・食欲が落ちる・体重が減る など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(3件)
Malignant Lymphoma in Dogs
Feline mediastinal lymphoma: a retrospective study of signalment, retroviral status...
Genetic and environmental risk for lymphoma in boxer dogs
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。