犬猫小町(準備中)

ピルビン酸キナーゼ欠損症

Pyruvate Kinase Deficiency (PK deficiency) 対象: 猫・犬 分類: 血液 最終更新: 2026-07-14

食事との関係

遺伝性で食事で治るものではない。犬では鉄が過剰にたまること(二次性ヘモクロマトーシス)があり、鉄・サプリの扱いは自己判断せず担当獣医師の指示に従う。特定の療法食が主対象ではない

家で気づけるサイン

  • 元気がない、疲れやすい、すぐ横になる(貧血によるもの)
  • 歯茎や舌が白っぽい(粘膜蒼白)
  • 白目や皮膚・歯茎が黄色い(黄疸)
  • 食欲が落ちる、体重が減る、被毛がパサつく
  • 犬では運動を嫌がる、まれに脾臓・肝臓が腫れてお腹が張る
  • ※無症状で経過し、健診の血液検査で貧血として偶然見つかることがある

受診の目安

強い元気消失・粘膜が真っ白・呼吸が速い・ぐったりは重度貧血のおそれで当日〜緊急受診。軽度でも貧血・黄疸に気づいたら受診を

年齢の傾向

溶血の重症度・発症時期は幅が広い。猫は無症状で経過することも多く、症状が出る場合は若〜中年齢(Kohn 2008: 有症状群の発症中央値約1.7歳)。犬は進行性で、多くが5歳頃までに骨髄・肝の障害に至るとされる

なりやすいとされる犬種・猫種

詳しい解説

ピルビン酸キナーゼ欠損症(Pyruvate Kinase Deficiency, PK deficiency)

ピルビン酸キナーゼ(PK)は、赤血球がエネルギーを作るのに欠かせない酵素です。この酵素の設計図となる遺伝子(PKLR)に生まれつき変異があると、赤血球がもろく壊れやすくなり、慢性的に貧血(溶血性貧血)を起こします。遺伝性の病気で、犬にも猫にもみられます。多くは常染色体劣性で、両親から変異を1つずつ受け継いだ個体(ホモ接合)で発症し、変異を1つだけ持つ保因者は発症しないとされます。

臨床像は個体差が大きいのが特徴です。猫では無症状のまま経過することも多く、健診の血液検査で偶然貧血が見つかることがあります(Kohn 2008)。一方、犬では進行性で、慢性の溶血に加えて骨が硬くなる変化(骨硬化症)や鉄の過剰蓄積(二次性ヘモクロマトーシス)を伴い、多くが数年のうちに骨髄・肝の障害へ進むとされます(Gultekin 2012)。

好発品種(遺伝的根拠を明記)

飼い主が気づける徴候

  • 元気がない、疲れやすい、すぐ横になる(貧血によるもの)
  • 歯茎や舌が白っぽい(粘膜蒼白)
  • 白目や皮膚・歯茎が黄色い(黄疸)
  • 食欲が落ちる、体重が減る、被毛がパサつく
  • 犬では運動を嫌がる、まれに脾臓・肝臓が腫れてお腹が張る
  • ※無症状のまま経過し、健診の血液検査で偶然見つかることがある

受診目安・予防

  • 強い元気消失・粘膜が真っ白・呼吸が速い・ぐったりは、重度の貧血が疑われ当日〜緊急。ためらわず受診を。
  • 軽い元気のなさでも、歯茎の白さ・黄疸に気づいたら受診を。血液検査で貧血の有無と程度を確認できます。
  • 好発犬種・猫種では、繁殖前・お迎え時のPKLR遺伝子検査で保因者を判別でき、発症個体を減らすのに役立ちます。
  • 定期健診の血液検査(貧血・網状赤血球・ビリルビン)が早期把握の要になります。
  • 犬では鉄が過剰にたまることがあり、鉄やサプリの扱いは自己判断せず担当獣医師の指示に従います。
  • 本ページは受診判断の支援を目的とし、対応の要否・方法は担当獣医師の診察に基づきます。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、ピルビン酸キナーゼ欠損症と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 元気がない、疲れやすい、すぐ横になる(貧血によるもの)/歯茎や舌が白っぽい(粘膜蒼白) など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(3件)

  • 査読論文確認日 2026-07-14

    Kohn B, Fumi C, 2008, 臨床経過観察研究, Journal …

    アビシニアン・ソマリのPK欠損25頭を最長11.3年追跡。11頭は無症状、14頭で嗜眠・粘膜蒼白・黄疸・食欲不振・被毛不良等。溶血性貧血・網状赤血球増多・高ビリルビン。臨床像は多様で無症状のこともある

    PubMed (PMID 18077199)DOI 10.1016/j.jfms.2007.09.006

  • 査読論文確認日 2026-07-14

    Grahn RA, Grahn JC, Penedo MCT, Helps CR…

    PKLR c.693+304G>A変異がアビシニアン・ベンガル・エジプシャンマウ・ラパーマ・メインクーン・ノルウェージャンフォレスト・サバンナ・サイベリアン・シンガプーラ・ソマリ等で有意頻度。派生品種にも検査を推奨

    PubMed (PMID 23110753)DOI 10.1186/1746-6148-8-207

  • 査読論文確認日 2026-07-14

    Gultekin GI, Raj K, Foureman P, Lehman S…

    犬(ラブラドール c.799C>T・パグ・ビーグル)のPKLR変異を同定し、ウエストハイランドホワイトテリア・ケアーンテリアの既知変異も確認。慢性の溶血性貧血・骨硬化症・二次性ヘモクロマトーシスを伴う

    PubMed (PMID 22805166)DOI 10.1111/j.1939-1676.2012.00958.x

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。