犬猫小町(準備中)

変性性脊髄症

Degenerative Myelopathy (DM) 対象: 犬 分類: 神経 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

特になし(食事が直接の原因・治療対象となる疾患ではない)

家で気づけるサイン

  • 後ろ足がふらつく・よろける(ふらふら歩く)
  • 後肢の力が入らない・立ち上がりにくい
  • 足先を引きずる、爪が擦り減る・足の甲を地面につけて歩く(ナックリング)
  • 後肢が交差する・つまずく
  • 痛がる様子がないのに徐々に後肢が弱っていく
  • 進行すると自力で立てなくなり、やがて前肢にも及ぶ

受診の目安

早めに受診(急に後肢が立たなくなった・強く痛がる場合は椎間板ヘルニア等の可能性があり当日受診)

年齢の傾向

高齢期に多い(多くは8歳以上で発症)

なりやすいとされる犬種・猫種

この病気に触れている図鑑のページ

14件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。

詳しい解説

変性性脊髄症(Degenerative Myelopathy (DM))

脊髄の白質(神経の通り道)が、痛みを伴わずにゆっくり変性していく病気。後ろ足のふらつきから始まり、数か月〜年単位で徐々に後肢が弱っていく。原因として抗酸化に関わる SOD1 遺伝子の変異が関与することが分かっており(常染色体劣性・不完全浸透)、人の家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)に似た機序が知られる(MSD Vet Manual)。「痛がらないのに後ろ足が弱っていく」のが大きな特徴で、椎間板ヘルニアなど痛みを伴う疾患との区別が重要になる。

進行は緩やかだが確実で、飼い主が早く気づき、滑りにくい床や生活環境の工夫で暮らしやすさを支える視点が大切になる。

好発品種(根拠の別)

MSD Vet Manual が好発として挙げるのは、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークジャーマン・シェパード・ドッグボクサーローデシアン・リッジバックチェサピーク・ベイ・レトリーバー。原因となる SOD1 遺伝子変異が同定されており、遺伝子検査(OFA 等)が利用できる(遺伝子検査確立)。ただし、この変異は他の多くの品種でも保有が報告されており(Zeng 2014)、変異を持つこと=発症ではない(不完全浸透)点に注意。裏付けの取れない品種名は挙げていない。

飼い主が気づける徴候

  • 後ろ足がふらつく・よろける(散歩でふらふらする)
  • 後肢の力が入りにくい、立ち上がりにくい
  • 足先を引きずる、爪が擦り減る、足の甲を地面につけて歩く(ナックリング)
  • 後肢が交差する、つまずきやすい
  • 痛がる様子がないのに、徐々に後肢が弱っていく
  • 進行すると自力で立てなくなり、やがて前肢にも及ぶ

高齢犬の「年のせいで足腰が弱った」と見過ごされやすいが、痛みがないのに後肢だけ弱っていく場合は受診のサインになりうる。

受診目安・予防

後肢のふらつきや引きずりが続く場合は早めに受診する。特に、急に後ろ足が立たなくなった・強く痛がるといった場合は、椎間板ヘルニアなど別の緊急性のある疾患の可能性があるため当日受診が望ましい。変性性脊髄症は他の脊髄疾患を除外して診断されるため、MRI などの検査が必要になることがある。好発品種では SOD1 遺伝子検査で遺伝的リスクを把握できるが、結果の解釈は不完全浸透を踏まえて獣医師と相談する。具体的な治療・リハビリの内容は獣医師の診察に委ねる(本項では扱わない)。

費用の目安

変性性脊髄症にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

動物病院の料金表から(項目ごと)

項目金額この検査・処置を行っていない病院もとの表
リハビリ(ウォータートレッドミル)犬猫共通45,000円83.9%p.62(PDF p.67)

「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。

出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)

いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です

読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、変性性脊髄症と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 後ろ足がふらつく・よろける(ふらふら歩く)/後肢の力が入らない・立ち上がりにくい など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(2件)

  • Degenerative Diseases of the Spinal Column and Cord in Animals(Degenerative Myelopathy)

  • Zeng R, Coates JR, Johnson GC, et al.(20…

    PubMed (PMID 24524809)

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。