皮膚のしわ皮膚炎(間擦性皮膚炎)
Skin Fold Dermatitis 対象: 犬 分類: 皮膚 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
直接の食事療法の対象ではないが、肥満はしわの深さと蒸れを助長するため体重管理が予防に関与する(減量が必要な場合の療法食は)
家で気づけるサイン
- しわの内側が赤くただれる・じくじくする
- しわの間から酸っぱい・生臭い独特のにおいがする
- 患部を気にして舐める・こすりつける・かゆがる
- 目の下・鼻まわり(顔)、口唇、外陰部、尾のつけ根など、しわのある部位に集中する
- 慢性化すると色素沈着(黒ずみ)や被毛のべたつき・変色が出る
受診の目安
早めに受診(じくじく・強いにおい・痛みが出たら二次感染を考えて早めに)
年齢の傾向
どの年齢でも起こりうるが、加齢・肥満で悪化しやすい(O'Neill 2022: 1歳超・去勢/避妊済み・短〜中毛で高リスク傾向)
なりやすいとされる犬種・猫種
この病気に触れている図鑑のページ
6件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。
詳しい解説
皮膚のしわ皮膚炎(間擦性皮膚炎)(Skin Fold Dermatitis)
顔・口唇・外陰部・尾のつけ根などにある皮膚のしわ(ひだ)の内側が、こすれ合い(摩擦)・汗や分泌物による湿り気・通気の悪さで蒸れ、赤くただれて炎症を起こす状態。医学的には間擦性皮膚炎と呼ばれ、しわの中で細菌やマラセチア(酵母)が増えることで悪化する、いわば「体の構造に由来する二次的な皮膚炎」。
飼い主に伝えるべきポイントは、これは特別な感染症というより、しわという構造があるところに湿気と摩擦が重なって起こる、という点。だからこそ、しわの内側を乾いた清潔な状態に保つ日常ケアが大きな意味をもつ。
好発品種(根拠の別)
英国の一次診療データを用いた大規模研究(O'Neill 2022, Scientific Reports)では、交雑種と比べてイングリッシュ・ブルドッグ(オッズ比49.07)、フレンチ・ブルドッグ(同25.92)、パグ(同16.27)、バセット・ハウンド(同10.70)が突出して高リスクだった(疫学的関連)。短頭種全体の有病率は1.02%で、中頭種の0.26%より高い。
しわの部位による好発もあり、シー・ズーなどの短頭種は顔(鼻・目のまわり)のしわ、巻き尾をもつボストン・テリアやブルドッグは尾のつけ根のしわ、口唇のたるみが大きいアメリカン・コッカー・スパニエルは口唇のしわに出やすいとされる(解剖学的素因)。いずれも確立した遺伝子検査があるわけではなく、しわ構造という体質と疫学データに基づく。裏付けの取れない品種名は挙げていない。
飼い主が気づける徴候
- しわの内側が赤くただれる・じくじくと湿る
- しわの間から酸っぱい・生臭い独特のにおいがする
- 患部を気にして舐める・床や家具にこすりつける・かゆがる
- 目の下や鼻まわり(顔)、口唇、外陰部、尾のつけ根など、しわのある部位に集中して症状が出る
- 慢性化するとその部位が黒ずむ(色素沈着)、被毛がべたついて変色する
受診目安・予防
しわの内側の赤み・ただれ・においが続く場合は早めに受診する。じくじくして膿が出る、強いにおいや痛みを伴う場合は二次感染(間擦部膿皮症)を考えて早めの受診が望ましい。
予防の中心は、しわの内側を乾いた清潔な状態に保つ日常ケア。肥満はしわを深くして蒸れを助長するため、体重管理も有効とされる。重度・反復する場合はしわの構造そのものへの外科的対応が検討されることもあるが、その適否の判断は獣医師に委ねる。市販のウェットシートなどで自己流に強くこすると悪化させることがあるので、症状が続く場合は動物病院に相談する。具体的な治療内容は本項では扱わない。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、皮膚のしわ皮膚炎(間擦性皮膚炎)と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: しわの内側が赤くただれる・じくじくする/しわの間から酸っぱい・生臭い独特のにおいがする など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(2件)
Pyoderma in Dogs and Cats
O'Neill DG, Rowe D, Brodbelt DC, Pegram …
PubMed (PMID 35794173)DOI 10.1038/s41598-022-14483-5・PMID:35794173
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。