水晶体脱臼
Lens Luxation (Primary Lens Luxation, PLL) 対象: 犬 分類: 眼 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
家で気づけるサイン
- 目を痛がる・こする・しょぼしょぼさせる
- 白目の充血・角膜の白濁やむくみ
- 涙が増える・まぶしがる
- 目の中でレンズが揺れて見える(獣医師が確認する所見)
- 急な視力低下・目が大きく見える(緑内障併発時)
受診の目安
緊急(夜間救急)— 前方(角膜側)への脱臼は急性緑内障を併発しうるため、当日中の眼科受診が望ましい
年齢の傾向
原発性(遺伝性)は3〜8歳ごろの中年で好発。続発性は緑内障・ぶどう膜炎・外傷に伴い年齢を問わない
なりやすいとされる犬種・猫種
- ジャック・ラッセル・テリア(遺伝子検査あり: ADAMTS17)
- ヨークシャー・テリア(遺伝子検査あり: ADAMTS17)
- ミニチュア・ブル・テリア/シーリハム・テリア/チベタン・テリア等のテリア系(遺伝子検査あり: ADAMTS17)
この病気に触れている図鑑のページ
17件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。
詳しい解説
水晶体脱臼(Lens Luxation)
水晶体脱臼は、目の中でレンズ(水晶体)を支える細い線維(毛様小帯)が切れ、水晶体が本来の位置からずれる(亜脱臼)・外れる(脱臼)状態です。原発性(遺伝性)水晶体脱臼(PLL)は毛様小帯そのものが弱く生まれつき脱臼しやすいもので、テリア系で ADAMTS17 遺伝子変異との関連が知られています。緑内障・ぶどう膜炎・外傷・進行した白内障などに続いて起こる続発性のものもあります。
前方(角膜側)に外れると眼内の水の流れがせき止められ、急性の緑内障を併発して強い痛みと急な視力低下を起こすことがあります。原発性は多くが両眼性で、片眼発症でも反対眼が後日発症しうる点に注意が必要です。
好発品種(根拠の別を明記)
- ジャック・ラッセル・テリア / ヨークシャー・テリア — ADAMTS17 変異による原発性脱臼の遺伝子検査あり(保因・発症リスクを判定可能)。
- ミニチュア・ブル・テリア、シーリハム・テリア、チベタン・テリア等のテリア系 — 同じ ADAMTS17 変異が広く分布することが報告されており、遺伝子検査あり。
- 上記以外の犬種でも、緑内障・ぶどう膜炎・外傷・進行した白内障に続いて続発性に起こりうる。
飼い主が気づける徴候
- 目を痛がる、前足でこする、まぶしそうにしょぼしょぼさせる
- 白目の充血、角膜(黒目の表面)の白濁・むくみ
- 涙が増える、目やに
- 目が急に大きく見える、急な視力低下(緑内障を併発したサインのことがある)
- 目の奥でレンズが揺れて見える(多くは診察で獣医師が確認する所見)
受診目安・予防
- 目の強い痛み・充血・角膜の白濁・急な見えにくさが出たら、**急性緑内障の併発を避けるため当日中(夜間なら救急)**に眼科診療のできる病院へ。
- 片眼が診断されたら、反対眼の経過観察を続ける。
- テリア系では繁殖前の ADAMTS17 遺伝子検査と、成犬期の定期的な眼科検診が早期把握に役立つ。
- 本ページは受診判断の支援を目的とし、治療法の選択は担当獣医師の診察に基づく。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、水晶体脱臼と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 目を痛がる・こする・しょぼしょぼさせる/白目の充血・角膜の白濁やむくみ など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(2件)
- 業界標準確認日 2026-07-11
The Lens in Animals
テリア系でADAMTS17変異による原発性脱臼が多いこと、前方脱臼が角膜むくみ・急性続発性緑内障を伴うことを記載
- 査読論文確認日 2026-07-11
Gould DJ ほか, 2011, 症例集積(複数品種調査), Veterin…
ADAMTS17変異が多品種で原発性水晶体脱臼に関連することを報告
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。