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僧帽弁閉鎖不全症

Myxomatous Mitral Valve Disease (MMVD) 対象: 犬 分類: 心疾患 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

心不全期にはナトリウム制限などの食事管理が関わることがある(獣医師の指示による)

家で気づけるサイン

  • 初期は無症状(健診で心雑音を指摘されて見つかることが多い)
  • 進行すると咳(特に夜間・明け方や興奮時)
  • 運動を嫌がる・疲れやすい・散歩を渋る
  • 呼吸が速い・苦しそう、安静時呼吸数の増加
  • 失神、歯茎や舌が青白い(チアノーゼ)

受診の目安

早めに受診(心雑音を指摘されたら循環器評価を)。呼吸困難・チアノーゼ・虚脱・失神は緊急(夜間救急)

年齢の傾向

中〜高齢の小型犬に好発。キャバリアは数歳の若齢から。10歳を超える小型犬で高頻度

なりやすいとされる犬種・猫種

この病気に触れている図鑑のページ

8件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。

詳しい解説

僧帽弁閉鎖不全症(Myxomatous Mitral Valve Disease, MMVD)

僧帽弁閉鎖不全症は、左心房と左心室の間にある僧帽弁が加齢とともに変性(粘液腫様変性)して閉じが甘くなり、血液が左心房へ逆流する病気です。犬でもっとも多い後天性心疾患で、高齢の小型犬に多く見られます。逆流によって心臓に雑音(収縮期雑音)が生じ、進行すると左心房・左心室に負担がかかって、やがて肺に水がたまる(肺水腫)うっ血性心不全に至ることがあります。

初期〜中期は症状がなく、健康診断の聴診で心雑音を指摘されて見つかることが少なくありません。進行速度には個体差があり、心雑音があっても長く安定する例もあれば、心不全へ進む例もあります。キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは特に好発かつ若齢から発症しやすいことが知られています。

好発品種(根拠の別を明記)

飼い主が気づける徴候

  • 初期は無症状(健診の聴診で心雑音を指摘されることが多い)
  • 咳、特に夜間・明け方や興奮したとき
  • 運動を嫌がる、疲れやすい、散歩を渋る
  • 呼吸が速い・苦しそう、安静時の呼吸数が増える
  • 失神、歯茎や舌が青白くなる(チアノーゼ)

受診目安・予防

  • 好発の小型犬は年1回の聴診が早期発見に役立つ(ACVIM推奨)。心雑音を指摘されたら、無症状でも心エコー・胸部レントゲンでの病期評価を。
  • 呼吸が速く苦しそう・チアノーゼ・失神・虚脱は緊急。夜間でも救急対応のできる病院へ。
  • キャバリアなど特にリスクの高い犬種では、繁殖前スクリーニングが推奨される。
  • 本ページは受診判断の支援を目的とし、治療(投薬の開始時期を含む)の判断は担当獣医師の診察に基づく。

食事の考え方

進行の段階によって、食事に求められることが変わります。

この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。

何を なぜ見るか
ナトリウム 進行した段階では量の調整が話題になります。早い段階から極端に減らす必要はありません
タウリンL-カルニチン 心臓の筋肉に関わる栄養素として設計に組み込まれることがあります
オメガ3脂肪酸 魚油に多く含まれ、食欲や筋肉の維持の観点から検討されます

痩せさせないことも重要になります。心臓の病気が進むと食欲が落ちて体重が減ることがあり、 そうなると管理が難しくなるためです。

腎臓など他の病気を併せ持つ場合、どちらを優先するかは獣医師が判断します。

食事療法食(療法食)そのものの位置づけは 療法食、袋の読み方は 表示の読み方 にまとめています。

費用の目安

僧帽弁閉鎖不全症にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

実際に支払われた金額から

対象何の金額か金額値の種類もとの表
全診療・犬全体10歳以上1年間にかかった総額156,244円平均p.61 図表2-3-4(10歳以上)
全診療・犬全体10歳以上1年間にかかった総額101,981円まんなかの値p.61 図表2-3-4(10歳以上)
全診療・チワワ1年間にかかった総額149,477円平均p.21 図表2-2-5
全診療・チワワ1年間にかかった総額86,284円まんなかの値p.21 図表2-2-5

出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025

いつのデータか: 2023年4月から2024年3月までに保険の契約を始めた犬と猫の記録です。通院・入院・手術をあわせた金額です

いつのデータか: もとの資料に、いつからいつまでを数えたかの記載がありません

読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています

動物病院の料金表から(項目ごと)

項目金額この検査・処置を行っていない病院もとの表
心エコー検査犬猫共通4,000円16.1%p.74(PDF p.79)

「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。

出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)

いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です

読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、僧帽弁閉鎖不全症と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 初期は無症状(健診で心雑音を指摘されて見つかることが多い)/進行すると咳(特に夜間・明け方や興奮時) など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(2件)

  • 業界標準確認日 2026-07-11

    Myxomatous Atrioventricular Valve Degeneration in Dogs and Cats

    加齢・品種関連で高齢小型犬に高頻度、左心尖部最強点の収縮期雑音、進行で肺水腫・頻呼吸・咳を記載

    出典サイト

  • 業界標準確認日 2026-07-11

    Keene BW ほか, 2019, ACVIMコンセンサスガイドライン, Jo…

    キャバリア・ダックスフンド・トイ/ミニチュアプードル等を好発品種とし、好発小型犬に年1回の聴診スクリーニングを推奨

    PubMed (PMID 30974015)DOI 10.1111/jvim.15488

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。