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前十字靭帯断裂

Cranial Cruciate Ligament Rupture 対象: 犬 分類: 整形 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

肥満・過体重が発症・進行のリスク因子として知られる(ACVS)。体重管理が重要で、関節への負担軽減目的で体重管理食が用いられることがある(療法食の適否は獣医師に相談。)

家で気づけるサイン

  • 急に後肢を挙げて体重をかけられない・びっこを引く(急性断裂)
  • 立ち上がりや座るのがつらそう・ジャンプや段差を嫌がる
  • 座るときに患肢を横に投げ出す
  • 患肢の太ももが徐々に細くなる(筋萎縮)
  • 進行すると膝から「カクッ」という音(半月板損傷のサイン)
  • 運動後に足を引きずるのがひどくなり、休むと軽くなる

受診の目安

早めに受診(急に後肢を挙げて体重をかけられない・強い痛みがある場合は当日受診)

年齢の傾向

中〜高齢の中大型犬に多い(変性型が最多)。若齢での外傷性断裂もある

なりやすいとされる犬種・猫種

この病気に触れている図鑑のページ

8件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。

詳しい解説

前十字靭帯断裂(Cranial Cruciate Ligament Rupture)

膝関節内で脛骨の前方への滑りを抑えている前十字靭帯(CCL)が損なわれる病気で、犬が後ろ足を引きずる原因としてもっとも多いものの一つとされる(ACVS)。「転んでスポーツ外傷のように切れる」イメージを持たれがちだが、実際は多くが数か月〜年単位の緩やかな靭帯の変性を背景に起こり、健康な靭帯が一度の外傷で断裂する例はまれとされる(MSD・ACVS)。このため片方が発症すると、対側もいずれ発症しやすい傾向が知られる。若齢での外傷性の急性断裂もある。

肥満・過体重、体格(骨格の形状)、遺伝、避妊去勢などが複合的に関わるとされ、変性型は大型・避妊去勢・雌で相対的に多い。

好発品種(根拠の別)

MSD が名を挙げるのはロットワイラー、ラブラドール・レトリバー、ニューファンドランド。ACVS はこれに加えてスタッフォードシャー・テリア、マスティフ秋田犬セント・バーナード、チェサピーク・ベイ・レトリバーを発生率が高い品種として挙げる。いずれも臨床・疫学的に好発が知られる品種で(疫学的関連)、ニューファンドランドやラブラドールでは遺伝的関与も指摘されるが、単一の確立した遺伝子検査があるわけではない。中大型犬に多い一方、グレイハウンドやダックスフンドは相対的に少ないとされる。裏付けの取れない品種名は挙げていない。

飼い主が気づける徴候

  • 急に後肢を挙げて体重をかけられない・びっこを引く(急性断裂のサイン)
  • 立ち上がりや座る動作がつらそう、ジャンプや段差を嫌がる
  • 座るときに患肢を横に投げ出す
  • 患肢の太もも(大腿)が徐々に細くなる(筋萎縮)
  • 進行すると膝から「カクッ」という音がする(半月板損傷を併発したサインのことがある)
  • 運動後に足を引きずるのがひどくなり、休むと軽くなる

受診目安・予防

若齢のトイ犬ではなく中大型犬で、後ろ足を引きずる・立ち上がりにくいといった状態が続く場合は早めに受診する。急に後肢を挙げて体重をかけられない・強い痛みがある場合は当日受診が望ましい。適正体重の維持と急な過度の運動を避けることが負担軽減につながり、片側発症後は対側の観察も重要。診断は整形外科的検査や画像評価で行うため自己判断で様子見を続けず受診する。具体的な治療内容(手術適応を含む)は獣医師の診察に委ねる(本項では扱わない)。

食事の考え方

切れた靭帯が食事で戻ることはありませんが、体重は手術後の経過にも関わります

この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。

何を なぜ見るか
カロリー 適正体重を保つことが、反対側の脚への負担を減らすことにつながります
オメガ3脂肪酸(EPA 魚油に含まれ、関節ケアの設計に使われます
グルコサミンコンドロイチン 関節ケアのサプリメントとして使われますが、効果の見方は分かれています

片側が切れた子では、もう片方も切れることがあります。 手術後に運動を制限しているあいだは 消費カロリーが落ちるため、同じ量を与え続けると太ります。この時期の給与量は獣医師と決めてください。

食事療法食(療法食)そのものの位置づけは 療法食、袋の読み方は 表示の読み方 にまとめています。

費用の目安

前十字靭帯断裂にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

動物病院の料金表から(項目ごと)

項目金額この検査・処置を行っていない病院もとの表
前十字靭帯断裂手術(関節外法)犬猫共通62,500円56.5%p.59(PDF p.64)
前十字靭帯断裂手術(関節内法)犬猫共通62,500円71.2%p.60(PDF p.65)

「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。

出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)

いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です

読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、前十字靭帯断裂と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 急に後肢を挙げて体重をかけられない・びっこを引く(急性断裂)/立ち上がりや座るのがつらそう・ジャンプや段差を嫌がる など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(2件)

  • Joint Trauma in Dogs and Cats(Cranial Cruciate Ligament Disease)

  • Cranial Cruciate Ligament Disease

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。

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