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アトピー性皮膚炎

Canine Atopic Dermatitis (CAD) 対象: 犬 分類: 皮膚 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

主因は環境アレルゲンだが、食物への反応(食物アレルギー)が併存・鑑別に挙がるため除去食試験を行うことがある。皮膚バリアや栄養面の管理で療法食が使われることもある

家で気づけるサイン

  • 強いかゆみ(掻く・舐める・こする・体をこすりつける/季節性のことも通年のこともある)
  • 顔・耳・脇・内股・足先・お腹など皮膚の薄い部位の赤み
  • 足先を執拗に舐めて赤茶色に変色する
  • 外耳炎を繰り返す(耳をかく・頭を振る・耳のにおい)
  • かき壊しによる二次的な皮膚・耳の感染を繰り返す

受診の目安

早めに受診(かゆみで生活の質が下がる・二次感染を繰り返す場合。急に顔が腫れる・呼吸が苦しそうな場合は別疾患として緊急)

年齢の傾向

生後6ヶ月〜3歳の若齢で発症することが多い

なりやすいとされる犬種・猫種

この病気に触れている図鑑のページ

33件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。

詳しい解説

アトピー性皮膚炎(Canine Atopic Dermatitis (CAD))

環境中のアレルゲン(ハウスダストマイト・花粉・カビなど)に対して、遺伝的な素因のある犬が過剰に反応して起こる、慢性のかゆみを主体とする皮膚炎(ICADA 2015/2023)。生後6ヶ月〜3歳の若齢で発症することが多く、かき壊しによる二次的な皮膚・耳の感染を繰り返しやすい。生涯にわたる付き合いになることが多い疾患で、「体質」が背景にあるため根本的に治しきるより、上手にコントロールしていく考え方が中心になる。

見た目のかゆみは食物アレルギーなど他の原因と区別しにくいため、診断は他のかゆみの原因を丁寧に除外したうえで行われる。

好発品種(根拠の別)

MSD/Merck Veterinary Manual が好発品種として挙げるのは、シャー・ペイ、ワイヤーヘアード・フォックス・テリア、ゴールデン・レトリーバーラブラドール・レトリーバーダルメシアンボクサーボストン・テリアラサ・アプソスコティッシュ・テリアシー・ズーウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア。ICADAは「遺伝性疾患で品種好発は強いが、一貫した遺伝マーカーはまだ見つかっていない」としており、これらは遺伝的素因を背景とした好発(=疫学・臨床的に確立)である点に注意する。フィンランドの犬集団研究では、飼い主報告のアトピー様症状の割合が高い上位5犬種としてウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ボクサー、イングリッシュ・ブルドッグ、ダルメシアン、フレンチ・ブルドッグが挙がった(疫学的関連)。裏付けの取れない品種は挙げない。

飼い主が気づける徴候

  • 強いかゆみ(掻く・舐める・こする・体をこすりつける)。季節性のことも通年のこともある
  • 顔・耳・脇・内股・足先・お腹など、皮膚の薄い部位の赤み
  • 足先を執拗に舐めて赤茶色に変色する
  • 外耳炎を繰り返す(耳をかく・頭を振る・耳のにおいが気になる)
  • かき壊しによる二次的な皮膚・耳の感染を繰り返す

受診目安・予防

かゆみで生活の質が下がっている、二次感染を繰り返すといった場合は早めに受診する。なお、急に顔が腫れる・じんましんが出る・呼吸が苦しそうといった症状は、アトピー性皮膚炎とは別のアレルギー反応として緊急の対応が必要なことがある。遺伝的素因が背景にあり根本的な予防は難しいが、好発品種では早期からのスキンケアと二次感染の早期対処が助けになる。診断は外部寄生虫や食物への反応など他のかゆみの原因を除外したうえで行われるため、自己判断のケアを続けず受診する。具体的な治療内容は獣医師の診察に委ね、本項では扱わない。

食事の考え方

食物アレルギーとは別の病気ですが、食事が関わる場合があるため区別が必要です。

この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。

まず食物アレルギーが関わっていないかを確かめるために、除去食試験が行われることがあります。 食事を変えても症状が変わらなければ、食事以外の要因(環境中のものへの反応)を中心に考えていきます。

食事の側では、皮膚のバリアに関わる栄養素が設計に組み込まれます。

何を なぜ見るか
必須脂肪酸 皮膚の状態に関わるため、魚油などのオメガ3を強化した設計があります
たんぱく源 食物アレルギーの可能性を切り分けるあいだは、種類を絞ります

食事だけで完結する病気ではありません。シャンプーや環境の管理と組み合わせて、 獣医師と長く付き合っていく形になります。

食事療法食(療法食)そのものの位置づけは 療法食、袋の読み方は 表示の読み方 にまとめています。

費用の目安

アトピー性皮膚炎にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

実際に支払われた金額から

対象何の金額か金額値の種類もとの表
全診療・犬全体5〜9歳1年間にかかった総額65,107円平均p.61 図表2-3-4(5〜9歳)
全診療・犬全体5〜9歳1年間にかかった総額37,928円まんなかの値p.61 図表2-3-4(5〜9歳)
全診療・柴1年間にかかった総額74,300円平均p.23 図表2-2-11
全診療・柴1年間にかかった総額48,229円まんなかの値p.23 図表2-2-11

出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025

いつのデータか: 2023年4月から2024年3月までに保険の契約を始めた犬と猫の記録です。通院・入院・手術をあわせた金額です

いつのデータか: もとの資料に、いつからいつまでを数えたかの記載がありません

読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています

動物病院の料金表から(項目ごと)

項目金額この検査・処置を行っていない病院もとの表
皮膚生検犬猫共通6,250円15.5%p.67(PDF p.72)

「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。

出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)

いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です

読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、アトピー性皮膚炎と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 強いかゆみ(掻く・舐める・こする・体をこすりつける/季節性のことも通年のこともある)/顔・耳・脇・内股・足先・お腹など皮膚の薄い部位の赤み など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(4件)

  • Canine Atopic Dermatitis

  • Treatment of canine atopic dermatitis: 2015 updated guidelines from ICADA

    DOI 10.1186/s12917-015-0514-6

  • Introduction to the ICADA 2023 canine atopic dermatitis pathogenesis review articles and updated definition

    DOI 10.1111/vde.13183

  • フィンランド犬集団の疫学研究 PMC5453595(飼い主報告のアレルギー/アト…

    フィンランド犬集団の疫学研究 PMC5453595(飼い主報告のアレルギー/アトピー様症状の割合が高い上位5犬種= West Highland White Terrier / Boxer / English Bulldog / Dalmatian / French Bulldog。ncbi.nlm.nih.gov 2026-07-11確認)

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。

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