外耳炎
Otitis Externa 対象: 犬・猫 分類: 皮膚・耳 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
基礎に食物アレルギーがある場合、除去食・療法食が耳症状の管理に関与しうる(→ [[food-allergy|食物アレルギー]]・)
家で気づけるサイン
- 頭をよく振る・耳を後ろ足でしきりに掻く・床にこすりつける
- 耳の中の赤み・腫れ・湿り
- 耳から出る分泌物(黒い/茶色/黄色)と独特の臭い
- 耳を触られるのを嫌がる・痛がる
- 慢性化すると耳道が厚く狭くなる(繰り返す)
受診の目安
早めに受診(頭を振る・耳を掻く・臭い・分泌物は皮膚科的な原因の切り分けが必要)。強く痛がる・急に腫れる・耳から出血や強い悪臭・顔が傾く/ふらつく(内耳への波及疑い)は当日受診
年齢の傾向
全年齢。基礎にアレルギー(アトピー・食物アレルギー)がある場合は若齢から繰り返しやすい
なりやすいとされる犬種・猫種
この病気に触れている図鑑のページ
38件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。
犬種
アイリッシュ・ウォーター・スパニエル・アイリッシュ・セター・アイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリア・アメリカン・フォックスハウンド・イタリアン・スピノーネ・イングリッシュ・コッカー・スパニエル・イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル・イングリッシュ・セター・ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル・グラン・バセット・グリフォン・バンデーン・クランバー・スパニエル・コモンドール・サセックス・スパニエル・シー・ズー・シャー・ペイ・ジャーマン・ワイアーヘアード・ポインター・スモール・ミュンスターレンダー・チベタン・マスティフ・バセット・ハウンド・ハリア・ハンガリアン・ビズラ・フィールド・スパニエル・プチ・バセット・グリフォン・バンデーン・ブラック・アンド・タン・クーンハウンド・ブラッコ・イタリアーノ・ブラッドハウンド・ブリアード・ブリタニー・スパニエル・ポルスレーヌ・ミニチュア・シュナウザー・ラージ・ミュンスターレンダー・紀州犬・甲斐犬・柴・北海道犬
詳しい解説
外耳炎(Otitis Externa)
耳の穴(外耳道)に炎症が起こる、犬でとても多い疾患。英国一次診療の大規模調査(O'Neill DG, et al. 2021, VetCompass, 22,333例)では1年間で7.30%の犬が外耳炎と診断されている。重要なのは、外耳炎の多くが「単独の耳の病気」ではなく、アレルギー(アトピー性皮膚炎・食物アレルギー)・耳ダニ・異物・内分泌疾患などの原発原因を背景に起こる点。MSD/Merck Veterinary Manual は外耳炎を「原発原因(primary causes)/素因(predisposing factors)/維持因子(perpetuating factors)」の3層で整理しており、垂れ耳・狭い耳道・毛深い耳道・多湿といった耳の構造・環境が素因になる(2026-07-11確認)。
猫では耳ダニ(ミミヒゼンダニ)が主な原因になりやすいなど、種による違いもある。繰り返す・治りにくい外耳炎は、耳そのものより「その奥にある原因」を探すことが管理のカギ。治療(点耳・洗浄の方法や薬剤)は獣医師の診断領域であり、自己判断の綿棒清掃や市販薬はかえって悪化させることがある。本ページは受診判断の支援にとどめる。
好発品種(根拠の別)
英国VetCompass研究(O'Neill 2021)でオッズ比が有意に高かった犬種を中心に記載。数値は同研究のオッズ比(OR、雑種比)。
- ビーグル(ビーグル/OR 2.5)・ゴールデン(ゴールデン・レトリバー/OR 2.2)・ラブラドール(ラブラドール・レトリバー/OR 1.6)・フレンチ・ブルドッグ(フレンチ・ブルドッグ/OR 2.1)・ブルドッグ(ブルドッグ/OR 2.1)・パグ(パグ/OR 2.0): いずれも疫学研究でリスク上昇が示された犬種(疫学的関連)。垂れ耳・アレルギー体質・耳道の形態が背景。
- アメリカン・コッカー・スパニエル(アメリカン・コッカー・スパニエル): 垂れ耳と耳道の分泌過多で古典的に外耳炎の代表犬種とされる(一般に好発。VetCompass英国データの「コッカー・スパニエル」は主にイングリッシュ・コッカーを指すため区別)。
- プードル(プードル): 毛深い外耳道が素因になる古典的な好発犬種(一般に好発)。
- KB未収録だがバセットハウンド(OR 5.9で最高)・シャーペイ・ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアもリスクが高い。垂れ耳(1.76倍)・V字ドロップ耳(1.84倍)という耳の形自体が素因。
飼い主が気づける徴候
- 頭をしきりに振る・耳を後ろ足で掻く・床や家具に耳をこすりつける
- 耳の中の赤み・腫れ・湿り気
- 黒〜茶/黄色の分泌物と独特の臭い
- 耳を触られるのを嫌がる・痛がる
- 慢性化して耳道が厚く狭くなり、何度も繰り返す
受診目安・予防
- 早めに受診: 頭振り・耳掻き・臭い・分泌物は、耳ダニ・アレルギーなど原因の切り分けが必要。
- 当日受診: 強く痛がる・急に腫れる・出血や強い悪臭・顔が傾く/ふらつく・平衡感覚がおかしい(中耳・内耳への波及の疑い)。
- 予防・早期発見: 基礎疾患(アレルギー・内分泌)の管理と、垂れ耳・毛深い犬種・水遊び後の耳の乾燥ケア。過度な綿棒清掃は逆効果になりうるため、耳掃除の方法は獣医師に相談を。
- 本ページは受診判断の支援であり、治療の指南ではない。
費用の目安
外耳炎にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。
実際に支払われた金額から
| 対象 | 何の金額か | 金額 | 値の種類 | もとの表 |
|---|---|---|---|---|
| 犬全診療・犬全体5〜9歳 | 1年間にかかった総額 | 25,021円 | 平均 | p.61 図表2-3-4(5〜9歳) |
| 犬全診療・犬全体5〜9歳 | 1年間にかかった総額 | 13,211円 | まんなかの値 | p.61 図表2-3-4(5〜9歳) |
出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025
いつのデータか: 2023年4月から2024年3月までに保険の契約を始めた犬と猫の記録です。通院・入院・手術をあわせた金額です
読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています
動物病院の料金表から(項目ごと)
| 項目 | 金額 | この検査・処置を行っていない病院 | もとの表 |
|---|---|---|---|
| 外耳処置犬猫共通 | 1,500円 | 0.5% | p.44(PDF p.49) |
| 垂直耳道切除犬猫共通 | 35,000円 | 46% | p.50(PDF p.55) |
| 全耳道切除・鼓室胞切開犬猫共通 | 62,500円 | 63% | p.50(PDF p.55) |
「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。
出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)
いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です
読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります
この数字の読み方
金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。
病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、外耳炎と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 頭をよく振る・耳を後ろ足でしきりに掻く・床にこすりつける/耳の中の赤み・腫れ・湿り など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(2件)
- 業界標準
primary causes(原発原因)/predisposing factors(素因)/perpetuating factors(維持因子)
- 査読論文
O'Neill DG, et al. 2021, 横断的疫学研究(英国一次診療V…
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。