犬猫小町(準備中)

歯周病

Periodontal Disease 対象: 犬・猫 分類: 歯科口腔 最終更新: 2026-07-11

食事との関係

デンタルケア用のフードやガム(VOHC認定等)が補助的に使われることがある

家で気づけるサイン

  • 口臭が強くなる
  • 歯に茶色〜黄色の歯石が付着している
  • 歯ぐきが赤く腫れる・触ると出血する
  • よだれが増える・硬いものを嫌がる・片側で噛む
  • 歯がぐらつく・抜ける、食べ方が変わる

受診の目安

早めに受診(口臭・歯ぐきの腫れ・出血に気づいたら歯科の相談を)。顔の腫れ・強い痛み・食べられない場合は当日受診

年齢の傾向

若齢から進行しうる。2歳までに犬の約8割・猫の約7割が何らかの歯周病をもつとされる

なりやすいとされる犬種・猫種

この病気に触れている図鑑のページ

42件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。

詳しい解説

歯周病(Periodontal Disease)

歯垢(プラーク)中の細菌により、歯ぐき(歯肉炎)から歯を支える組織(歯周炎)へと炎症が広がる、犬猫で最も一般的な口腔疾患。MSD Veterinary Manual によれば、2歳までに犬の約80%・猫の約70%が何らかの歯周病をもつとされる。放置すると歯を支える骨が失われて歯が抜けるほか、慢性的な腎疾患リスクの上昇との関連も報告されており、口の中だけの問題にとどまらない。

好発品種

MSD Veterinary Manual は危険因子として「トイ犬種(小型犬)」「免疫を抑える基礎疾患(糖尿病・クッシング症候群)」「栄養状態の不良」「歯並びの異常(咬み合わせ不良で歯垢が溜まりやすい)」を挙げる。チワワヨークシャー・テリアマルチーズ・トイ・プードルポメラニアンパピヨンなどの小型犬や、歯の位置がずれやすい短頭種は、口が小さく歯が密集して歯垢が溜まりやすいため一般に好発とされる。これは犬種固有の遺伝子異常ではなく、口腔の形態・体格に由来する傾向である。

飼い主が気づける徴候

  • 口のにおいが強くなった
  • 歯に茶色〜黄色の歯石が付いている
  • 歯ぐきが赤く腫れている、触ると血がにじむ
  • よだれが増えた、硬いフードやおもちゃを嫌がる、片側だけで噛む
  • 歯がぐらつく・抜ける、食べこぼしが増えた

受診目安・予防

口臭・歯ぐきの腫れや出血に気づいたら、早めに動物病院で口腔チェックを受ける。顔(特に目の下)が腫れる、強く痛がる、食べられないといった場合は当日受診する。予防の中心は毎日の歯みがきで、定期的な口腔チェックと、必要に応じた麻酔下でのスケーリング・歯科レントゲンによる評価が早期発見に有効。表面の歯石だけでなく歯ぐきの内側の状態は麻酔下の検査でないと正確に評価できない。(歯石除去・抜歯などの処置は獣医師の判断による)

食事の考え方

食事だけでこの病気を管理することはできませんが、歯みがきを補うものとしての位置づけがあります。

この節は、獣医師が食事を選ぶときに何を見ているかを説明するものです。銘柄をすすめるものでも、自己判断で始めてよいという意味でもありません。 実際に何を、どれだけ与えるかは、その子の検査結果をもとに獣医師が決めます。

何を なぜ見るか
粒の大きさ・硬さ 噛んだときに歯の表面をこする設計のフードがあります
粒の構造 崩れずに歯が沈み込むよう作られたものがあります

歯みがきの代わりにはなりません。 歯垢は歯と歯ぐきの境目にたまるので、 そこに届くのは基本的にブラシです。食事はあくまで補助と考えてください。

硬いものを噛ませればよいというわけでもありません。硬すぎるおやつや骨で 歯が折れることがあります。何を与えるかは獣医師に相談してください。

食事療法食(療法食)そのものの位置づけは 療法食、袋の読み方は 表示の読み方 にまとめています。

費用の目安

歯周病にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。

実際に支払われた金額から

対象何の金額か金額値の種類もとの表
全診療・犬全体5〜9歳1年間にかかった総額64,357円平均p.61 図表2-3-4(5〜9歳)
全診療・犬全体5〜9歳1年間にかかった総額52,965円まんなかの値p.61 図表2-3-4(5〜9歳)
全診療・犬全体10歳以上1年間にかかった総額66,372円平均p.61 図表2-3-4(10歳以上)
全診療・犬全体10歳以上1年間にかかった総額48,358円まんなかの値p.61 図表2-3-4(10歳以上)
全診療・猫全体10歳以上1年間にかかった総額55,386円平均p.63 図表2-3-8(10歳以上)
全診療・猫全体10歳以上1年間にかかった総額39,820円まんなかの値p.63 図表2-3-8(10歳以上)

出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025

いつのデータか: 2023年4月から2024年3月までに保険の契約を始めた犬と猫の記録です。通院・入院・手術をあわせた金額です

読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています

動物病院の料金表から(項目ごと)

項目金額この検査・処置を行っていない病院もとの表
歯石除去犬猫共通11,250円2.6%p.44(PDF p.49)
抜歯犬猫共通2,500円2.8%p.44(PDF p.49)

「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。

出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)

いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です

読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります

この数字の読み方

金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。

病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。

獣医師に相談するための質問リスト

そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。

  1. いま与えているフードは、歯周病と診断された今の状態に合っていますか?
  2. 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
  3. おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
  4. 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 口臭が強くなる/歯に茶色〜黄色の歯石が付着している など)
  5. 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
  6. 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
  7. 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?

出典(1件)

  • 確認日 2026-07-11

    MSD Veterinary Manual: Periodontal Disea…

    MSD Veterinary Manual: Periodontal Disease in Small Animals(有病率・危険因子・臨床徴候・全身との関連。msdvetmanual.com/digestive-system/dentistry-in-small-animals/periodontal-disease-in-small-animals、確認日2026-07-11)

このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。