膝蓋骨脱臼
Patellar Luxation 対象: 犬 分類: 整形 最終更新: 2026-07-11
食事との関係
特になし(食事が直接の原因・治療対象となる疾患ではない。適正な体重管理という観点では適正給餌が有用)
家で気づけるサイン
- 後ろ足を数歩ぴょんと上げてケンケンする(スキップ様の歩き方)
- 足を上げた後に後肢を伸ばす・振ってから元の歩様に戻す
- 進行すると足を引きずる様子の頻度が増え、常に足を気にするようになる
- 若齢の小型犬では脚がO脚(内弯)に見えることがある
受診の目安
早めに受診(ときどきのスキップ様足を引きずる様子は早めに受診でよいが、急に足を全く着けない・強く痛がる場合は当日受診)
年齢の傾向
若齢に多い(多くは1歳未満で徴候が出始める。どの年齢でも起こりうる)
なりやすいとされる犬種・猫種
- チワワ(疫学的関連・小型/ACVS明示)
- ポメラニアン(疫学的関連・小型/ACVS明示)
- ヨークシャー・テリア(疫学的関連・小型/ACVS明示)
- ボストン・テリア(疫学的関連・小型/ACVS明示)
- プードル(ミニチュア)(疫学的関連・小型/ACVS明示)
- 秋田犬(疫学的関連・大型/ACVS明示)
- シャー・ペイ(疫学的関連・大型/ACVS明示)
- フラットコーテッド・レトリバー(疫学的関連・大型/ACVS明示)
- グレート・ピレニーズ(疫学的関連・大型/ACVS明示)
この病気に触れている図鑑のページ
72件の犬種・猫種のページが、気をつけたい病気としてこの病気を挙げています。 かかりやすさは個体差が大きく、ここに名前があることが「必ずなる」という意味ではありません。
犬種
アーフェンピンシャー・アメリカン・コッカー・スパニエル・イタリアン・グレーハウンド・ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア・オーストラリアン・ケルピー・オーストラリアン・シルキー・テリア・オーストラリアン・テリア・キースホンド・キング・チャールズ・スパニエル・グレート・ピレニーズ・クロアチアン・シープドッグ・ケアーン・テリア・ケリー・ブルー・テリア・コーイケルホンディエ・コトン・ド・テュレアール・シャー・ペイ・ジャーマン・スピッツ・ジャック・ラッセル・テリア・スキッパーキ・スコティッシュ・テリア・スタッフォードシャー・ブル・テリア・スムース・フォックス・テリア・タイワン・ドッグ・ダンディ・ディンモント・テリア・チェスキー・テリア・チベタン・スパニエル・チベタン・テリア・チャイニーズ・クレステッド・ドッグ・チャウ・チャウ・トイ・マンチェスター・テリア・ノーフォーク・テリア・ノーリッチ・テリア・パーソン・ラッセル・テリア・ハバニーズ・パピヨン・ビション・フリーゼ・ピレニアン・シープドッグ・ファラオ・ハウンド・フィニッシュ・ラップフンド・プーミー・プーリー・プチ・ブラバンソン・プラシュスキー・クリサジーク・フラットコーテッド・レトリーバー・ブリュッセル・グリフォン・ブル・テリア・ベドリントン・テリア・ベルジアン・グリフォン・ボーダー・テリア・ポリッシュ・ローランド・シープドッグ・ボロニーズ・マルチーズ・マンチェスター・テリア・ミニチュア・アメリカン・シェパード・ミニチュア・ピンシャー・ミニチュア・ブル・テリア・ムーディー・ラゴット・ロマニョーロ・ラサ・アプソ・ランカシャー・ヒーラー・ローシェン・ロシアン・トイ・ワイアー・フォックス・テリア・紀州犬・甲斐犬・柴・日本スピッツ・日本テリア・北海道犬・狆
詳しい解説
膝蓋骨脱臼(Patellar Luxation)
膝のお皿(膝蓋骨)が本来収まる大腿骨の溝(滑車溝)から内側または外側へ外れてしまう発育性の整形疾患。小型・超小型犬に多いが、近年は大型犬でも増加傾向が知られる(ACVS・MSD)。多くは1歳未満で徴候が出始めるが、どの年齢でも起こりうる。内方(内側)への脱臼が最も多く、外方(外側)への脱臼は大型犬でやや多いとされる(MSD)。
「たまに後ろ足でケンケンする」「歩いていて急に片足を上げ、数歩でまた普通に戻る」といった仕草が典型的で、軽度だと見過ごされやすい。
好発品種(根拠の別)
ACVS(米国獣医外科学会)が好発として明示する小型犬は、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、ボストン・テリア、ミニチュア・プードル。近年に好発が指摘される大型犬として、シャー・ペイ(チャイニーズ・シャー・ペイ)、フラットコーテッド・レトリバー、秋田犬(アキタ)、グレート・ピレニーズが挙げられている。いずれも臨床・疫学的に好発が知られる品種で(疫学的関連)、遺伝子検査が確立しているわけではない。MSD/Merck Veterinary Manual も「小型・超小型犬および大型犬に好発」とし、広く小型・トイ犬種で相対的に多い傾向が知られる。裏付けの取れない個別品種は挙げていない。
飼い主が気づける徴候
- 後ろ足を数歩ぴょんと上げてケンケンし、数歩でまた普通に歩き出す(スキップ様の歩き方)
- 足を上げた後に後肢を後ろへ伸ばす・振ってから元の歩様に戻す
- 進行すると足を引きずる様子の頻度が増え、常に足を気にする・上げたままにする
- 若齢の小型犬では脚がO脚(内弯)に見えることがある
受診目安・予防
ときどきのスキップ様の足を引きずる様子に気づいたら早めに受診し、膝の触診とグレード評価(重症度)を受けるのが望ましい。急に足を全く着けなくなった・強く痛がる場合は、他の整形疾患(前十字靭帯疾患の併発など)の可能性も含めて当日受診が望ましい。好発品種は健診時に膝の触診を受けておくと早期発見につながり、肥満・急な体重増加を避ける体重管理が膝への負担軽減になる。具体的な重症度判定・対応は獣医師の診察に委ねる(本項では扱わない)。
費用の目安
膝蓋骨脱臼にかかるお金は、症状の重さ・通う回数・住んでいる地域・その病院の料金設定で変わります。 ここに出すのは見積もりではなく、公表されている調査から拾った幅です。 自分の家の場合にいくらになるかは、かかりつけの病院で聞くのが確実です。
実際に支払われた金額から
| 対象 | 何の金額か | 金額 | 値の種類 | もとの表 |
|---|---|---|---|---|
| 犬全診療・トイ・プードル | 1年間にかかった総額 | 80,828円 | 平均 | p.20 図表2-2-2 |
| 犬全診療・トイ・プードル | 1年間にかかった総額 | 12,430円 | まんなかの値 | p.20 図表2-2-2 |
| 犬全診療・チワワ | 1年間にかかった総額 | 91,169円 | 平均 | p.21 図表2-2-5 |
| 犬全診療・チワワ | 1年間にかかった総額 | 12,540円 | まんなかの値 | p.21 図表2-2-5 |
出典: アニコム家庭どうぶつ白書2025
いつのデータか: もとの資料に、いつからいつまでを数えたかの記載がありません
読むときの注意: 保険に入っている家庭の記録です。窓口でその場で精算できるぶん受診しやすく、入っていない家庭より金額が高めに出ることがあります。契約できる年齢に上限があるため、高齢になってから迎えた子は含まれにくくなっています
動物病院の料金表から(項目ごと)
| 項目 | 金額 | この検査・処置を行っていない病院 | もとの表 |
|---|---|---|---|
| 膝蓋骨脱臼整復術犬猫共通 | 62,500円 | 45.4% | p.59(PDF p.64) |
「この検査・処置を行っていない病院」の欄は、そう答えた病院の割合です。数字が大きい項目は、 かかりつけでは対応しておらず、紹介先の病院に移ることがあります。
出典: 日本獣医師会 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査 調査結果(令和5年9月)
いつのデータか: 2021年8月から10月にかけて動物病院に行ったアンケートで、そのときの料金設定です
読むときの注意: 回答した病院の自己申告です。獣医師の団体が料金の基準を決めることは法律で禁じられているため、全国共通の定価はありません。回答した病院の96.3%はふだんの診察を担う病院なので、紹介先の専門病院の料金とはずれることがあります
この数字の読み方
金額はどれも過去の調査をまとめたもので、いまの料金や、目の前の子にかかる額とは違います。 税込みか税別かも調査によって扱いが違います。
病院ごとに料金は自由に決められるため、同じ処置でも差が出ます。 気になるときは、受診の前に電話で聞いても構いません。金額を先に確認するのは失礼なことではありません。
獣医師に相談するための質問リスト
そのまま診察に持って行けるように整理しました。答えは診察でしか決まりません。
- いま与えているフードは、膝蓋骨脱臼と診断された今の状態に合っていますか?
- 食事の内容や与え方について、いま変えたほうがよい点はありますか?(種類・量・回数・水分の取り方)
- おやつやトッピングは続けてよいですか?避けたほうがよいものはありますか?
- 家で見ておくべきサインはどれですか?(気づいた変化: 後ろ足を数歩ぴょんと上げてケンケンする(スキップ様の歩き方)/足を上げた後に後肢を伸ばす・振ってから元の歩様に戻す など)
- 次の受診や再検査はいつ頃がよいですか?その間に悪化を示すサインはどれですか?
- 今後の健診や定期検査で、確認しておくとよい項目はありますか?
- 食事以外に、家でできる工夫(環境・運動・体重)はありますか?
出典(2件)
Patellar Luxations
Patellar Luxation in Dogs and Cats
このページは受診の判断を支える一般情報であり、診断や個別の助言ではありません。 症状や食事の方針は、かかりつけの獣医師の診察に基づいて決めてください。